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発達障害児家族が楽しめる美術館の取り組み

time 2016/09/15

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発達障害児家族が楽しめる美術館の取り組み

ラチェル・シュルズが忘れられない言葉があります。
「発達障害の子をもつ全ての親は、いつもどこに出口があるかを知っている。」
彼女の息子、デニスは3歳の時に発達障害と診断をされました。
デニスが大きくなると、ラチェルはどこに買い物に行っても、パニックになった時にどこから出ようかと常に考えていました。
聴覚過敏の問題があり、デニスはスピーカーから出る高周波の雑音が聞こえてしまいます。
店内の放送がかかると、大変なことになるのを知っています。
「デニスはその瞬間に、気が狂ってしまいます。
商品がいっぱいになった買い物かごを手放して、お店から出ていかなければなりません。」
12年前、シュルズがダラスに引っ越してきた頃は、発達障害の子どものためのプログラムやキャンプなどはほとんどありませんでした。
最初に見つけることができたプログラムは、ダラス美術館によるものでした。
今は、この美術館の年に4回開かれる発達障害の家族向けの展示会プログラムとサマーキャンプに参加しています。
そこでは、出口をずっと探している必要はありません。
このプログラムでは、家族に安全な場所を提供し、リラックスすることができます。
子どもたちは好きなようにして、アートの楽しさを発見できます。
このダラス美術館の発達障害の家族向けのプログラムは、2010年に始まりました。
開催組織のアマンダ・ブレイクは、このプログラムはとても求められているものだということを知りました。
最初は、ある発達障害の子どもがいる家族のためだけに行われた活動でした。
「私たちはこの家族が、このようなプログラムがなければ、美術館に来ることができないことを知りました。
家族は、子どもの振る舞いや予期せぬ行動にとても不安になっていました。」
この美術館のプログラムは、ダラスの文化局やテキサス州を通じて、ダラスに住む人たちなどによる寄附により行われていて、これまでにおよそ8400人ほどが参加しています。
このプログラムは好評です。
ブレイクは、発達障害の兄をもつある女の子の言葉を忘れません。
「ここに来て本当によかったです。誰もお兄ちゃんをじろじろ見ませんでした。」
テキサス女子大学とのパートナーシップにより、セラピーを専門としている学生たちが、このプログラムの間に設けられる「落ち着ける部屋」では付き添います。
この部屋は、パニックになってしまうなど、少し静かになれる時間を必要とする子どもたちのためにあります。
学生たちは部屋に、転がりまわってもよいマット、テント、少し重いベスト、大きなボールなどを持ち込んでいます。
それらは、セラピストが発達障害の子どもたちによく使うものです。

アートを作れる場所もあります。
そこでは、スタッフがいろいろな素材をくれます。ねんどや絵の具だけでは、触り心地を苦手とする子どももいるからです。
またプログラムでは、子どもたちが音楽療法士といっしょに、芸術作品に関係する歌を一緒に歌ったりもします。
それは、動いたり、ダンスしたりして行います。

「私たちの目標は、家族たちがここに来て、くつろげるようにすることです。そして、この辺りの他の美術館などでも行われるようになってほしいと思います。」
ラチェル・シュルズは、アートにずっと情熱を抱いていました。
テキサス大学で美術と美術史について学び、ジョージ・ワシントン大学では美術史修士を取得しています。
ダラスに引っ越して来る前には、夫のポールとワシントンDCに住み、国立美術館の教育プログラムのコーディネートを行っていました。
「とても楽しかったです。
たくさんの美術館で仕事をしました。しかし、息子のデニスを連れて行くことはありませんでした。
しかし今は、当時とは別の世界になりました。」
デニスには聴覚過敏の問題があるものの、関わることができる曲もあります。
完全なリズムで、両手を使ってピアノを引くことができました。3度目のレッスンです。
このレッスンは、彼のお気に入りのプログラムのひとつです。

多くの発達障害の子どもと同じように、デニスは話すことができませんでしたが、書くことと読むことができました。
6歳の時には、高校生並の読書能力がありました。しかし、記憶することが苦手でした。
しかし、今彼はこの美術館のプログラムで習った歌の全てを覚えています。
最近は、ハンス・ホフマンが描いた「草の上にある黄色いテーブル」と呼ばれている絵を見て、ビートルズのイエロー・サブマリンを歌いました。イエロー、グリーンと歌う時には、その色を示すハンドサインもしながら。
デニスは言います。
「美術館のなかをいろいろ見て回るのはとてもおもしろいです。
ここに来ている、友だちや先生と会えるのも楽しみです。」

デニスがここ数年で、このプログラムで作った10の作品が並べられています。
もっとも大事なものは、ロマレ・バーデンの「3つの魂」という絵に触発されたものです。
五線紙やピアノの写真などをさまざまに切って、思うように貼り付けたものです。
この絵について話が終わると、ピアノを弾いているかのように指を動かして楽しそうです。
ラチェルはこのプログラムは、デニスが自由に歩き、そして思い出せる機会だと言います。
「息子には、お気に入りの絵があります。そして、どこにあるのかを正確に覚えています。」
この美術館のプログラムには、発達障害の子がいる家族であれば、みんな参加することができます。
デニスの弟のヘンリーも一緒につれて、シュルズの心配をすることなく、楽しめる機会になっています。
「今のデニスにとって、このプログラムは本当に素晴らしいものです。
これに参加することに、息子は全く疑問をもちません。
もう、息子の場所なんです。それも特別な場所です。」

(出典・画像:米The Dallas Morning News)

発達障害の子どもと家族が楽しめる機会がどんどん増えているようです。
とてもうれしいことですね。
私の住んでいるところでは、知的障害などがある子どもと家族がクラッシックの演奏会の本番前のリハーサルを聴けるという機会が提供されていて、何回か子どもと一緒に行ったことがあります。
子どもが騒いでも、問題なし。
とても、文化的でうれしい体験ができました。ありがとうございます。

家族支援の取り組みではアクティブなものもあります。
スケートボードで発達障害の子を支援

(チャーリー)


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