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日本では発達障害の子に知的障害があることを感じる親が多い

time 2017/04/15

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

日本では発達障害の子に知的障害があることを感じる親が多い

新しい研究調査によると、米国の親は子どもの発達障害の特徴を他の4カ国の両親よりも重症であると評価する傾向があるとのことです。
この研究は、異なる文化の親がどのようにして発達障害を認識するのかを、0から考える最初の試みとなるものです。
文化によって発達障害の特徴が異なるのは珍しいことではありません。
そう、英キングス・カレッジ・ロンドンの心理学者ローサ・ホクスターは言います。
「特に、異なる文化で診断基準を用いる場合には、そのことを理解していることが重要です。」
この新しい研究調査でも、国ごとに違っている診療や診断テストの違いの影響が出ている可能性があると、英ロンドン大学の臨床心理学の上級講師、ウィリアム・マンディも批判します。
今回の新しい研究調査では、公立と私立の診療所からのデータが混在しており、比較対象がそもそも異なっている可能性もあります。
「比較グループが違っています。この違いがどう現れるのかも不明なままです。
また、このように評価対象の選定時点で起こる問題について、研究グループが理解できているとも思えません。」
この新しい研究調査に対し、マンディは批判しています。
p2
批判の対象となっている今回の新しい研究調査では、米国および他の4カ国の臨床医に、発達障害児の診断方法として、
幼児用対人コミュニケーション行動評価尺度(BISCUIT)を使用するように依頼しました。
BISCUITは米国で開発された17〜37カ月齢の小児の発達障害を診断するための基本的な調査です。
BISCUITは、発達障害児の3つの特徴群から評価を行います。
社会行動や非言語的コミュニケーション、常同行動やこだわり、そして言葉です。
「介護者から話を聞く、その年令での適切な発達段階、その行動への見方などは、多くの文化的要因によって影響を受ける可能性が高いものです。それで発達障害の診断を行っているのです。」
今回の新しい研究調査の研究者の一人、米ルイジアナ州立大学マトソン研究所のマヤ・マテスはそう言います。
今回の研究では、各国で発達障害と診断されている250人の幼児のBISCUITに対する反応を分析しました。
ギリシャからは39人、イタリアからは50人、日本からは49人、ポーランドからは58人、米国からは54人の幼児が参加しています。
米国の子どもたちのBISCUITのスコアが最も高く、ギリシャの子どもたちは最も低いスコアでした。
(つまり、ギリシャで発達障害と診断された子どもたちは、米国の診断基準では発達障害の程度は低いということになります。)
知的な面でも、他の子どもたちと発達障害と診断された自分の子が違っていると答えた親は、米国では25%でした。
それに比べて、日本は70%の親が他の子どもと自分の子は知的な面でも違っていると答えました。
この結果から考えられるのは、
・日本の親は発達障害が知的な面に影響を与えていると、米国の親に比べて思い込んでいる。
・日本で発達障害と診断をされる子どもは、米国に比べると実際に知的に問題があることも多い。
の二つです。
これだけの情報では、どちらなのかはわかりません。
親からの回答だけなので、
米国に比べて日本では「発達障害の子は知的障害であることも多い」のは、親の思い込みなのか、実際に多いのかがわからないのです。
どちらなのかは、発達障害の特徴と同じように知性を客観的に測ることを今回の研究者たちがしていれば、それはわかったはずだと英キングス・カレッジ・ロンドンの心理学者ローサ・ホクスターからは指摘されています。
p3
また、今回の新しい研究調査では子どもの常同行動やこだわりについて、国が違うと親の認識に微妙な違いがあることも明らかにしています。
ポーランドの親たちの多くは、子どもにはこだわりがあると言いました。
米国の親たちの多くは、子どもには常同行動があると言いました。
ギリシャの親たちの多くは、子どもはふつうではない行動をし、儀式をすると言いました。
「発達障害に関係する症状の中で、こだわりや常同行動のとらえ方は、文化があまりに大きく影響を与えすぎるため、診断に利用するのは問題があるかもしれません。」
そう、今回の新しい研究調査を行った米ルイジアナ州立大学マトソン研究所のマヤ・マテスは言います。
発達障害の診断方法を、国によって異なる文化にあわせるためには、考慮することが多く必要だろうと研究者たちは伝えています。
今回の新しい研究調査を行った研究者たちは、今後各国のもっと多くの親を対象に調査を行う予定です。
(出典:米SPECTRUM)(画像:pixabay
年齢が上がってくると、違いが大きくなってくるので客観的な診断もしやすそうですが、
まだ話せなくて当たり前の幼い頃の診断だと「親からみた様子」などを頼りにするしかありません。
自分が見てきた経験、そういうものだろうという価値観など、親の文化・社会的な環境が、その子の診断に大きく影響を与えるだろうことは容易に想像できます。
だからといって、親を頼りにしない客観的に診断をするにも、どんどん成長していく可能性がある脳や体について、その時点だけの評価だけでは難しいとも思います。
なので、今までも両方を組み合わせて行われていると認識しています。
うちの子どもも違うかなと思って、2歳、3歳など機会がある時に診てもらうと、いつも「様子をみましょう」でした。
はっきりしたのは、5歳くらいだったでしょうか。
今回の研究では頼りないところが多く、批判も書かれていましたが、
「国や文化の違いで診断が変わる。」というのが調査結果をもって明らかにされていることはよいことだと思います。
「別の国だったら、別の時代だったら、発達障害と診断されなかった。」
そう思えるのも、悪くないじゃないですか。
人類進化において発達障害の人は重要だった

(チャーリー)

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