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両親祖父母がいつどこで生まれたかが子供の自閉症に関連。研究

time 2022/12/22

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

両親祖父母がいつどこで生まれたかが子供の自閉症に関連。研究

疫学者(病気の謎を解明する医学者)にとって、「いつ」「どこで」死亡したかは、しばしば重要な手がかりとなります。

19世紀のロンドン。ジョン・スノーという医師がコレラの死因を地図に記録し、その発生源を街の中の1つの井戸に突き止めました。

「その井戸を閉めれば、コレラの流行は終息する」

米ユタ大学保健学部の研究チームは、ユタ大学地理学部と共同で、ユタ州の子どもたちの両親や祖父母がいつどこで生まれ育ったかが、その子どもたちの自閉症リスクの上昇に寄与している可能性があるという研究を発表しました。

研究チームは、この新しいアプローチは、家族の血統情報が得られるあらゆる病気の時間的・空間的側面を探るために利用できると考えています。

International Journal of Health Geographics誌に掲載されたこの研究は、世代を超えた時間と空間(いつ、どこで)が自閉症のリスク上昇に及ぼす影響を評価した初めての研究です。

やがて、この発見が、世代間で受け継がれる遺伝情報に破壊的な影響を及ぼす可能性のある汚染物質への曝露などの環境要因の特定につながるかもしれないと研究チームは述べています。

「家族を振り返り、彼らがいつ、どこに住んでいたかを調べることで、その子孫の間で、その後の自閉症のリスクが高いと思われる人の集団を検出することができました。
自閉症の子の両親と祖父母が空間と時間を共有していたことを知ることで、この健康結果に影響を与えたかもしれない環境因子の理解に近づくことができます」

そう、ユタ大学の公衆衛生部門の環境疫学者でこの研究の上級著者であるジェームズ・バンダースライス博士は述べています。

「世代を超えた疫学的研究は難しく、時間がかかります」

この研究の研究責任者でユタ大学地理学部の大学院生であるレベッカ・リチャーズ=スティードはそう言います。
実際、こうした研究のほとんどは、繁殖が早く、人間よりも短い期間で何世代にもわたって追跡調査が可能な動物を使って行われてきました。

バンダースライス博士とリチャーズ=スティードは、既存の技術を新しい方法で利用することにより、この欠点を回避しました。

研究チームは、米ユタ州人口データベース(UPDB)と連携した「ユタ州自閉症・発達障害登録データ」を用いて、1989年から2014年の間に生まれた自閉症を持つ子どもの両親と祖父母を特定しました。
そして、UPDBの出生証明書、運転免許証の情報、国勢調査、医療記録から、これらの人々がいつ、どこに住んでいたかを追跡しました。
比較のために、UPDBのデータベースから自閉症と診断されていない子どもの両親と祖父母も無作為に選びました。
なお、個人の名前は研究者には伏せられています。

そして、7900人の両親と31600人の祖父母がどこで生まれ育ったかを突き止めました。
州内に散在する20の主要な集団が特定されました。

解析の結果、20の集団のうち13の集団が、その子供や孫の自閉症リスクの上昇と関連していました。

特に、特定の父方の祖父母の子孫は、予想より約3倍も自閉症になりやすいことがわかりました。

「我々が見たものは、父方の遺伝が進化の変化と適応にいかに重要であるかという現在の科学的理解と一致しています。
つまり、自閉症の場合、環境経験によって部分的に形成された信号が、父系からやってきて、それが家族を通して受け継がれている可能性があるのです」

そう、リチャーズ=スティードは言います。

7つの集団については、全て地方にあり、自閉症と家系との関連は低くなっていました。

「なぜ、ある地方に、保護効果とでもいうべきものがあるように見えたのかは、本当によくわかりません。
都市部に住む両親や祖父母とは、異なる環境暴露や経験をしていた可能性は確かにあります。

今回の調査結果に基づいて言えることは、現在の私たちの環境は、おそらく私たちや私たちの子供たちだけでなく、もしかしたら子供の子供たちにも影響を及ぼしているかもしれないということです」

今後、研究チームは、これらの結果を説明するのに役立つ、ライフスタイルを含む要因をさらに掘り下げていく予定です。
バンダースライス博士はこう言います。

「我々の環境が、我々の成長と発達に決定論的な影響を与えることを示す証拠があります。
我々の祖先が共有した空間と時間を調べることで、将来の世代で病気のリスクを高める生物学的変化をもたらすかもしれない環境要因についての手がかりを得ることができるかもしれません」

研究チームは、この新しいアプローチは家族の血統情報が利用できる他の疾患についても、時間的、空間的側面から探るのに使えると考えています。

「このアイデアは、自閉症に限るものではありません。
どんな病気にも適用できます。
遺伝的要因と環境要因の合流が家族に長期的な健康影響を与えることをより理解できるようになるはずです」

(出典:米ユタ大学保健学部)(画像:Pixabay

遺伝的要因と環境要因。

自閉症など発達障害については、それらの相互作用の結果だと概ね考えられています。

必要な方への適切な支援につながるよう、研究を期待しています。

自閉症の私が自閉症の研究に思うこと。私は原因には興味ない

(チャーリー)


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