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自閉症の子の伝える力の課題。「語用的言語能力」の支援方法

time 2025/01/23

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

自閉症の子の伝える力の課題。「語用的言語能力」の支援方法
  • 自閉スペクトラム症の子どもが社会で活躍するためには、どのような支援が最も効果的ですか?
  • 親子の遊び時間が子どもの言語発達に与える影響とは何ですか?
  • 語用的言語能力を高めるために、具体的にどのような活動が有効でしょうか?

自閉スペクトラム症(ASD)を持つ子どもたちが社会でより活躍できるようになるためには、どのようなサポートが必要なのでしょうか?
中国・南京医科大学のケ・シャオヤン(Ke Xiaoyan)博士が率いる研究チームは、ASDを持つ子どもの「語用的言語能力」に焦点を当てた調査を実施し、将来的な改善に役立つ重要な要素を明らかにしました。

この語用的言語能力とは、社会的な場面や文脈に応じて適切に言葉を選び、使い分ける力のことを指します。

ASDの子どもたちは、とくに社会的なコミュニケーションに課題を抱えることが多いと言われています。
この研究では、ASDを持つ71人の子どもと、典型発達(TD)と呼ばれる38人の子どもを対象に、3年間の追跡調査を行いました。
この間、彼らの親子のやり取りや初期の言語スキルが、その後の語用的能力の発達にどのような影響を与えるのかが詳細に分析されました。

研究では、まずすべての参加者の基礎情報を収集しました。
その後、ASDグループは、幼児期に「親子の自由遊び」セッションを観察されました。
これにより、親子がどのように相互作用し、子どもがどの程度親との関わりを持とうとしているのかが評価されました。
また、すべての子どもたちが5~6歳になった際に、中国語版の「Language Use Inventory(LUI-Mandarin)」を用いて語用的能力を測定しました。
この評価方法は、言葉をどのように使って他者と交流しているかを具体的に観察するために設計されたものです。

さらに、ASDグループの子どもたちについては、共同関与(Supported Joint Engagement, SJE)の頻度も測定されました。
SJEとは、親子が同じおもちゃや活動に集中し、共通の目標や興味を持って遊ぶことを指します。
研究チームは、これが語用的言語能力の発達にどのように影響を与えるのかを追跡しました。

この調査結果によると、ASDグループはTDグループと比べて、語用的言語能力が著しく低いことが明らかになりました。
しかし、ASDグループの中でも、親子の遊びの中でSJEが頻繁に観察された子どもたちは、その後の語用的能力が高い傾向にありました。

また、ASDの症状が重いほど語用的能力が低下することも確認されましたが、初期の言語スキルが高い子どもたちや、親子の相互作用が積極的であった子どもたちは、比較的良好な語用的能力を示しました。
このことは、早期の支援や介入がASDの子どもたちの言語発達にとって重要であることを示唆しています。

語用的言語能力とは、単に言葉を覚えるだけではなく、それを使って相手と効果的にコミュニケーションをとる力を指します。
この能力が高い子どもたちは、将来的に友人関係や社会生活、さらには職場での人間関係にも良い影響を与えることが知られています。
一方で、この能力が不足している場合、友人ともうまく意思疎通ができず、孤立したり、誤解を受けることが多くなる可能性があります。
研究者たちはこう述べています。

「ASDの子どもたちにとって、語用的言語能力の向上は、社会での成功に直結します。
この力を育むために、親子の相互作用を積極的に支援し、具体的な遊びや活動を通じてサポートすることが重要です」

この研究でとくに注目されたのが、親子の遊び時間の質です。
SJEが多いほど、語用的言語能力の発達に良い影響を与えることが分かっています。
これは、単におもちゃで遊ぶだけでなく、親子が同じ興味や目標を持ち、お互いに関心を示す遊び方を指します。

たとえば、親が子どもの興味に合わせておもちゃを選び、一緒に遊びながら子どもが新しい言葉を使えるように促すことで、言語発達が進む可能性があります。
このような親子の相互作用を早期に取り入れることで、語用的能力だけでなく、社会的なスキル全般の向上にもつながると考えられます。

今回の研究は、ASDの子どもたちのための新しい介入方法を示唆しています。
とくに、親子の相互作用を意識的に改善することで、子どもたちの言語能力や社会的スキルが向上する可能性があります。
ケ・シャオヤン博士はこう強調します。

「親子が共有する時間を大切にし、楽しみながら子どもの成長をサポートする方法を模索することが重要です」

私たち一人ひとりが、この研究の成果を日常の中でどのように活かせるかを考えることが、ASDを持つ子どもたちを支える第一歩になるでしょう。
研究者たちは、今後さらに効果的な療育方法を探ることで、より多くの子どもたちが自信を持って社会に羽ばたける未来を目指しています。

(出典:BMC Psychiatry)(画像:たーとるうぃず)

「親子が共有する時間を大切にし、楽しみながら子どもの成長をサポートする」

ずっと続く長いマラソンです。

ですから、親子楽しく生きていきましょう。
私もずっとそうしてきましたし、これからもそうです。

自閉症の子に「多言語」環境が与えるポジティブな影響。研究

(チャーリー)


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