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自閉症の人の感情は「顔のわずかな動き」に現れていた。研究

time 2025/04/15

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自閉症の人の感情は「顔のわずかな動き」に現れていた。研究

この記事が含む Q&A

自閉症スペクトラム障害(ASD)の人たちの感情や社会的な力はスマホのカメラで測定できますか?
最新のAI顔解析技術を用いて、短時間の顔の動きから推測可能です。
ASDの人は「感情が少ない」と言われますが、実際にはどうですか?
彼らの顔の微細な動きは一般の人と比べてより不規則で速いため、感情表現に違いがあることがわかりました。

自閉症スペクトラム障害(ASD)の人たちの「本当の感情や社会的な力」を、スマホのカメラで簡単に測定できるかもしれない、という新しい研究が行われました。
アメリカのラトガース大学のエリザベス・トレスたちの研究チームによるものです。

この研究は、ASDの人たちに関するこれまでの見方に大きな疑問を投げかけました。

ASDの人は「感情が少ない」「コミュニケーションが苦手」と言われがちですが、それは本当に事実なのか?

その答えを探るために、研究チームは最新のデジタル技術を活用したのです。
研究に参加したのは、ASDの人たち56人と、そうでない一般の人たち70人、合わせて126人です。
年齢は子どもから大人まで幅広く含まれていました。
場所は学校、クリニック、イベント会場などさまざまで、できるだけ自然な環境で測定が行われました。

使った道具は、スマホやタブレットのカメラ。
そしてAIによる顔解析ソフトです。
やることはとてもシンプルで、参加者に次のような簡単な表情をお願いしました。

  • 無表情でじっとする(5秒間)
  • 笑顔を作る(5秒間)
  • 驚いた顔をする(5秒間)

これだけの短い映像から、研究チームは顔の68か所の細かい点の動きを追跡しました。
そして、その動きの「速さ」や「揺れ方」を詳しく分析したのです。

このとき注目されたのが、「マイクロモーション(微細な動き)」と呼ばれる、ごく小さな顔の動きです。
たとえば、口の端がピクッと動いたり、眉がわずかに上下したりする、そうした動きに含まれる情報が研究のカギとなりました。

研究チームは、これらの動きの特徴を数学的にとらえる方法を考案しました。
とくに、動きのランダムさ(不規則さ)や、動きのスピードの変化に注目しました。
これらの特徴は「ガンマ分布」という統計モデルで表すことができ、そこから「動きの特徴量」を取り出して比較したのです。

その結果はとても興味深いものでした。
ASDの人たちは、無表情のときでも、顔の微細な動きが一般の人と比べてずっと不規則で、速い動きが多いことがわかりました。
逆に、感情を表現しようとしたときの動きも、スムーズさに欠け、ランダムな要素が強く現れていました。

つまり、ASDの人たちは「動いていない」のではなく、「動き方が違う」。
そしてその動きは、私たちの目にはとてもわかりにくい形で現れていることがわかったのです。

さらに研究チームは、顔の動きを担当する「アクションユニット(AU)」という筋肉の活動パターンにも注目しました。
これは、顔のどの部分がどのくらい動いたかを示す情報です。
結果として、ASDの人たちも一般の人たちと同じように、AUはしっかりと出ていることがわかりました。
ただし、その強さや現れ方が違っていたのです。

こうした違いは、従来の観察だけでは気づかれにくいものでした。
しかし、AIによる詳細な解析によって、はじめて見えてきたものです。

また、この研究では、ASDの人たちの「支援の必要度」と顔の動きの特徴との関係も明らかになってきました。
支援が多く必要な人ほど、顔の動きのランダムさや速さが強く現れる傾向があったのです。
とくに、「アプラクシア(運動失行)」という診断がある人たちは、その傾向がより強かったと報告されています。

この研究は、わずか5秒間の顔の映像から、人の感情や社会的な力のヒントを見つけ出せる可能性を示したものです。
しかも、その方法は特別な機械を使うわけではなく、私たちの身近にあるスマホやタブレットだけで実現できるという点も、大きな特徴のひとつです。

研究チームは、こうした新しい技術によって、ASDの人たちへの理解や支援の方法が変わっていくことを期待しています。
とくに重要なのは、「見えにくいけれど、確かに存在する感情や力」を、正しく読み取るための技術が生まれつつあるということです。

(出典:Frontiers in Psychiatry)(画像:たーとるうぃず)

「感情が少ない」「コミュニケーションが苦手」というのは誤解。

表情=顔の筋肉の使い方 が違うだけで、わかりづらいだけであり、そんなことはない。

広く認識されることを願っています。

自閉症の人と神経典型の人との間に生じる「二重共感問題」

(チャーリー)


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