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自閉症に関する全米調査報告書。診断された子の割合は過去最高

time 2025/04/16

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自閉症に関する全米調査報告書。診断された子の割合は過去最高

この記事が含む Q&A

2022年のアメリカでの8歳児のASD有病率はどのくらいですか?
32.2人/1000人で、過去最高を記録しました。
地域や人種によるASDの有病率の差はどのくらいありますか?
カリフォルニア州で53.1人/1000人、テキサス州ラレドで9.7人/1000人と大きな差があります。

2022年、アメリカの16地域において、4歳および8歳の子どもを対象に、自閉症スペクトラム障害(ASD)の有病率と早期発見に関する全国的な監視調査が実施されました。
この調査は、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が運営する「自閉症および発達障害監視ネットワーク(ADDMネットワーク)」により行われ、2025年4月に公的報告書として発表されました。

この調査により、ASDに関する重要な傾向と進展、そして地域間や人種間の格差が浮き彫りとなりました。

調査の結果、2022年における8歳児のASD有病率は1000人あたり32.2人となり、これは過去の同様の調査結果と比較して最も高い水準であることが明らかになりました。
これは、ASDと診断された子どもの割合が過去最高に達したことを示しています。
前回の調査(2020年)と比べても、約22%の増加となっており、この上昇傾向の背景には社会的・制度的な変化があると考えられます。

【8歳児におけるASD有病率(1000人あたり)】

地域 有病率(人)
カリフォルニア州 53.1
ニュージャージー州 47.4
ペンシルベニア州 45.2
プエルトリコ 41.8
テキサス州ラレド 9.7
全体平均 32.2

 

8歳の子どもにおけるASDの平均有病率は、1000人中32.2人でした。最も高かったのはカリフォルニア州、最も低かったのはテキサス州ラレドであり、地域によって大きな差がありました。

 

【性別によるASD有病率(8歳児)】

性別 有病率(人/1000人)
男子 49.2
女子 14.3
男女比 約3.4倍

 

男子は女子の約3.4倍の頻度でASDと診断されていました。この傾向は長年見られてきましたが、近年わずかに縮小傾向にあります。

 

【人種・民族別ASD有病率(8歳児)】

人種・民族 有病率(人/1000人)
アジア系・太平洋諸島系 38.2
アメリカ先住民・アラスカ先住民 37.5
黒人 36.6
ヒスパニック系 33.0
複数人種 31.9
白人 27.7

 

かつては白人の子どもに多く見られるとされたASDですが、近年では他の人種・民族における有病率が上回っています。

【知的障害の併存率(ASD診断ありの8歳児)】

人種・民族 知的障害併存率(%)
黒人 52.8
アメリカ先住民・アラスカ先住民 50.0
アジア系・太平洋諸島系 43.9
ヒスパニック系 38.8
白人 32.7
複数人種 31.2

 

全体では約40%のASD児が知的障害(IQ70以下)を併せ持っていました。人種ごとに大きな差が見られます。

 

【ASDの初回診断年齢(中央値)】

地域 初回診断年齢(ヶ月)
カリフォルニア州 36
プエルトリコ 39
ペンシルベニア州 42
テキサス州ラレド 69.5
全体平均 47

 

診断年齢も地域によって差があり、最も早かった地域では3歳、遅い地域では5歳後半で診断されていました。

2022年における4歳児のASD診断状況を、8歳児のデータと比較すると、明らかに早期診断の傾向が進んでいることが示されました。
2018年生まれの子ども(4歳時点)では、2014年生まれ(8歳時点)よりも1.7倍多く、48ヶ月(4歳)までに診断されていました。
とくにプエルトリコではその差が3.1倍にのぼりました。

新型コロナウイルス感染症による影響については、2020年初頭に一時的な減少が見られたものの、その後回復し、早期評価と診断の流れはむしろ加速しました。
遠隔評価(テレヘルス)も一部導入され、アクセス手段の多様化が支援の継続に貢献したとみられます。

【ASD診断に使われた主な検査(8歳児)】

検査名 実施割合(%)
ADOS(観察スケジュール) 39.6
ASRS(評価尺度) 30.2
CARS(小児自閉症評価) 24.1
GARS(ギリアム尺度) 12.2
SRS(社会応答性尺度) 12.0
ADI-R(診断インタビュー) 2.7

 

使用される検査にも地域差があり、実施率は24.7%~93.5%の間でばらつきがありました。
検査の組み合わせによって診断の質が左右される可能性もあります。

ASDの診断数が過去最高となった背景には、ASDそのものが増えているというよりも、「診断されやすくなった」という社会的な要因が関係していると報告書は指摘しています。

ひとつは、医師や教育者によるスクリーニング体制が強化され、発達評価がより早期に行われるようになったことです。
とりわけ、医療機関と連携した早期評価の地域モデル(カリフォルニア州の「Get SET Early」など)が成果を上げています。

また、かつては診断が難しかった人種や社会経済層の子どもたちが、制度整備や支援拡充により適切な評価を受けられるようになってきたことも大きいです。
たとえばペンシルベニア州では、所得に関係なく、障害のある子どもが州の医療保険を利用できるようになっており、診断の促進につながっています。

さらに、医師や保育関係者のASDに対する認識の向上、家庭や学校における観察の精度の向上も診断数の増加に寄与しているとされています。

報告書では、ASDを引き起こす環境要因が増えたことを示唆するデータや見解は示されておらず、「ASDそのものが増加している」とは断定していません。
あくまで、診断率の上昇は「発見と評価の制度的・社会的な進歩」を反映しているというスタンスです。

ASDの診断は着実に早まり、支援の手がこれまで届かなかった層にも届くようになりつつあります。
一方で、地域や人種間でのばらつき、知的障害との関係、診断の質の統一など、課題も依然として残っています。
今後は、より多くの子どもたちが等しく評価と支援を受けられる体制づくりと、診断後のライフステージに応じた切れ目のない支援が求められます。

(出典:米CDC(米国疾病管理予防センター))(画像:たーとるうぃず)

現在、米国では保健福祉長官ロバート・F・ケネディ・ジュニアが主導し、2025年9月までに自閉症の「原因」を明らかにすることを目指しています。
調査には、世界中の数百人の科学者が参加し、ワクチン、食品、空気、水質、育児環境など、さまざまな環境要因や人工的要因が検討されていますが、
この米CDCの報告書が伝えるとおり、
多くの研究で、「診断率の上昇は『発見と評価の制度的・社会的な進歩』を反映」とすでに考えられており、ケネディ長官のワクチンとの関連の再調査には、多くの批判や懸念の声が高まっています。

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(チャーリー)


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