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自閉症の子たちの増加、1/4以上が「重度自閉症」米国調査

time 2023/04/20

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自閉症の子たちの増加、1/4以上が「重度自閉症」米国調査

Public Health Reports誌に掲載された研究によれば、米国における自閉症の8歳児の4分の1以上が「重度自閉症」であることがわかりました。
この年齢層における重度自閉症の割合は2002年から2016年にかけて上昇しました。

そして、重度ではない自閉症の割合はさらに急激な速度で上昇していることも確認されました。

この結果は、過去30年間の自閉症の劇的な増加の多くが診断の変更に起因するという考えと一致するものです。

米カリフォルニア大学ロサンゼルス校の精神医学・教育学の教授で、今回の研究には参加していないキャサリン・ロードはこう言います。

「知的障害を持たない、流暢な言葉を話す自閉症の人たちは、20年前、30年前には自閉症とは診断されなかったかもしれません」

「重度自閉症」という言葉は、2021年12月に「自閉症のケアと臨床研究の未来に関するランセット委員会」の一環としてロードらによって導入されたものです。

生涯に渡って24時間365日のケアが必要な必要な自閉症の人を表すもので、その多くは知的障害、コミュニケーション能力の制限、またはその両方を有しています。
同委員会は、米国、英国、ノルウェーの3つのデータセットを分析した結果、自閉症の人の18〜48パーセントが重度自閉症に当てはまる可能性があると推定しています。

今回の研究の、米国疾病管理予防センター(CDC)の自閉症・発達障害モニタリング(ADDM)ネットワークが収集した20135人の自閉症の子どものデータに基づく初めての推定値は、この範囲の中間に位置する26.7パーセントでした。

また、非白人の自閉症の子どもは、白人の同級生よりも重度自閉症である可能性が高いことも、この研究で明らかになりました。

黒人の子どもは76パーセント、アジア系、ネイティブハワイ系、その他の太平洋諸島系の子どもは55パーセント、ヒスパニック系の子どもは50パーセント、アメリカインディアン(ネイティブアメリカン)およびアラスカ先住民の子どもは33パーセントも白人の重度自閉症の割合より高くなっていました。

なお、重度自閉症の子どもたちは、重度でない自閉症の子どもたちと比べて、社会経済的な状況も低いことが多くなっていました。

これらの違いは、コミュニティが異なる場合、医師が自閉症を診断する方法も異なっていることを示しているとロードは言います。

「私たちはおそらく、少数民族の自閉症の子どもたちを見つけることができていないのです。
この結果は、自閉症である子どもたちの数よりも、自閉症であるにもかかわらず見つけられていない子どもがたくさんいることを教えています」

また、重度自閉症の割合は、性別や地域によっても異なることが明らかになりました。
米国疾病管理予防センターの疫学者、ミッチェル・ハッジはこう言います。

「この調査結果は、研究者や医師が、重度自閉症の基準を満たす人々が生涯にわたって必要とするであろうサービスや支援について計画するのに役立ちます。
私たちは、この研究結果を、データを用いて議論する機会だと考えます」

CDCのADDMネットワークは、2000年以来、2年ごとに米国内の研究施設における自閉症の人の割合に関する報告書を発表しています。
報告書では、研究者は医療記録と教育記録のデータを用いて、その年の自閉症の4歳児と8歳児の人数を推定しています。

今回の研究では、CDCの研究者が、2000年から2016年までの調査対象年のうち、子どもの言語能力に関する情報がなかった2012年と2014年を除いて、重度自閉症の8歳児の数を推定しました。
医師が彼らの記録を確認し、彼らが自閉症の診断基準に当てはまると判断し、記録が非言語、最小限の言語、またはIQが50未満であることを示した場合、子どもたちを重度自閉症と分類し行いました。

その結果、次のことがわかりました。

2000年時点では、ネットワーク内の
1万人の子どものうち27人が重度自閉症でした。
1万人の子どものうち39人が重度でない自閉症でした。

そしてその後16年間で、どちらの割合も増加しましたが、
重度でない自閉症の子どもの割合は急激に増加し、1万人あたり143人になりました。
重度自閉症の子どもの割合は1万人あたり46人となっていました。

また、重度自閉症の割合は地域による違いはあまりなかったにもかかわらず、重度でない自閉症の割合は大きく違っていることが示されました。

こうした地域差は、米国内のその州でサービスがどれだけ利用しやすいか、また、その場所の人種や民族構成によって説明できるかもしれないと、ロードは述べています。

なお、自閉症の女の子は、男の子に比べて重度自閉症と分類される可能性が約25パーセント高いことも明らかになりました。

重度でない自閉症の女の子の多くが診断されていない可能性もあるものの、女の子の方が男の子よりも、このような自閉症の症状を引き起こす遺伝子変異を持っていても表れない可能性が高いとも考えられる、とロードは言います。

ロードは、今回の研究結果は、Lancet誌の委員会が期待したものとほぼ一致すると言います。

たとえば、重度自閉症の子どもたちの多くは、適応機能スコアが低く、重度でない自閉症の子どもたちよりも自傷行為や発作を起こす可能性が高いことも、今回の研究で明らかになっています。

自閉症の子どもたちがどのような存在で、どのような特徴を持っているのかをより完全に把握することは、研究者や医師が彼らの幸福のためにより良い提案をするのに役立つだろうと言います。

しかし、この種の研究は初めてであり再確認する必要もあると、記録の不完全さなど方法論上の問題点も指摘しました。
今回の研究では、体系的に収集されていないデータから推論しなければならないところもあったためです。

この研究に参加していない、米ペンシルベニア州立大学ユニバーシティパーク校のゲノム学准教授であるサントシ・ギリラヤンは、今後、非白人集団における自閉症について理解を深めることも重要だと指摘します。

「白人の集団に対し有効な方法が、非白人の集団でも有効だとは限りません。
文化的・家族的な違いを考慮し、自閉症と判断するいくつかの評価項目を再定義する必要があるかもしれません」

(出典:米SPECTRUM)(画像:Pixabay

必要となる方に適切な支援がされるよう、政策を作る上で正確な把握は基礎となります。

自ら伝えることができないため、隠れてしまいがちですが、うちの子のような「重度自閉症」の子が多いことも知っていただきたいと願います。

自閉症スペクトラム障害の子どもは36人に1人。米国最新データ

(チャーリー)


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