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ADHDの子に運動を、薬に頼らない支援としての効果。研究

time 2025/07/08

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

ADHDの子に運動を、薬に頼らない支援としての効果。研究

この記事が含む Q&A

ADHDの子どもの体の動きの遅れにはどのような特徴がありますか?
走る・バランス・手先の動きに遅れや難しさが見られます。
運動はADHDの子どもたちにどのように役立ちますか?
体の動きや手先のスキル向上とともに、自信や心の成長を促します。
どのくらいの頻度や期間で運動を行うと効果的ですか?
週3回の運動を3週間から12週間続けるとより良い成果が期待されます。

注意欠如・多動症(ADHD)は、世界中の子どものおよそ6%から7%が持つとされる発達の特徴です。
ADHDの子どもは、じっとしているのが苦手だったり、集中するのが難しかったりするだけでなく、体を動かすスキルも発達しにくいことがわかっています。

これまでの調べで、ADHDの子どもの3割から5割ほどに、体の動かし方に遅れが見られるとされています。
発達のペースは、同じ年ごろの子どもと比べると、およそ2年ほどゆっくり進むといわれています。

ここでいう体の動かし方には、大きく体を使う動きと、手先を使う細かい動きの両方が含まれます。
たとえば、走ったりバランスを取ったりするのが苦手だったり、字を書くときに手先が思うように動かなかったりします。

このため、学校生活での自信をなくしやすく、友だちと遊ぶときにも戸惑うことがあり、結果として勉強や人間関係に影響が出ることがあります。

ADHDの治療としては薬を使う方法がよく知られていますが、副作用が心配だったり、すべての家庭で続けられるわけではなかったりします。
そこで注目されているのが、薬に頼らずにできるサポートの一つとしての「運動」です。
運動は特別な器具がいらないことも多く、学校や家庭でも取り組みやすいため、世界中で研究が進められています。

中国の中国石油大学のチームが中心になり、これまで発表された世界中のデータを集めて分析し、運動がADHDの子どもの体の動きにどれだけ役立つかをまとめる研究が行われました。
研究では、6歳から14歳のADHDと診断された子どもが、3週間以上の運動プログラムを続けた場合に、どのような変化があったかを調べました。

調べた研究の数は全部で9件で、対象は合計で300人以上の子どもたちです。
対象となった研究が行われた国は、中国、スイス、ブラジル、オランダ、イラン、ドイツなど、地域もさまざまでした。
運動の内容には、卓球、水泳、柔道、ゲームを使った運動、高い運動強度のトレーニングなどが含まれていました。
どの研究でも、週に1回から3回のペースで、期間は3週間から12週間とさまざまでした。

子どもたちの体の動きがどれくらい変わったかを知るために、走る速さやバランスの取り方、手先の使い方などをテストしました。
運動をする前と後で比べて、どれくらいスキルが上がったかを調べました。

その結果、運動を続けた子どもは、そうでない子どもに比べて、体の動きがはっきりと良くなっていることがわかりました。

とくに、運動を週に3回行った子どもは、1〜2回だけの子どもに比べて大きな効果がありました。
期間については、3〜6週間の比較的短い期間でも効果がありましたし、8〜12週間と長く続けても同じように効果が出ていました。

運動で良くなったのは、大きな体の動きと手先の動きの両方です。
たとえば、バランスを取ったり走ったりする力と、字を書くときなどに必要な手先の力の両方が良くなったとされています。
とくに、卓球や水泳のような運動は、手先の細かい動きを助けるだけでなく、全身を使うことで体の土台を作り、細かい動きにつながるという考え方です。

ただし、どのような運動がとくに良いかについては、まだはっきりとした違いはわかっていませんでした。
運動の種類を「昔からある伝統的な運動」と「新しい形の運動」に分けても、どちらも効果がありました。
最近では、ゲームを使った運動なども増えていますが、こうした新しい運動も体の動きを良くする助けになる可能性があります。

今回の研究は、これまでの研究データをまとめたものなので、すぐに全員に当てはまるわけではありません。
それでも、薬だけに頼らずにできる方法として、運動が役に立つかもしれないことを示してくれています。

一方で、この研究にも課題があります。
研究の多くは英語で書かれたものだけを集めているので、他の言語の研究が含まれていないこと。
研究ごとにテストのやり方が違うこと。
運動の時間や強さが詳しくわからないものもあったことです。
今後は、どのくらいの強さで、どのくらいの時間、どんな運動をどれくらいの頻度でやるのが良いのかを、もっと詳しく調べていくことが大事になります。

それでも、今回の結果は、学校や家庭で子どもたちを支えるときのヒントになります。
運動は特別な道具がなくてもできることが多く、お金もあまりかからず、家族や友だちと一緒に楽しく取り組めるのが良いところです。
週に3回くらい続けると、より良い変化が期待できることが今回の分析で示されました。

ADHDの子どもたちは、運動の苦手さで自信をなくしてしまいがちです。
でも、運動を通じて少しずつ「できた!」という経験を積み重ねていくことは、心の成長にもつながります。
学校や地域で、みんなが安心して体を動かせる場を作ることが、これからもっと必要になるでしょう。

薬だけでなく、運動も大事なサポートの一つとして取り入れながら、いろいろな方法で子どもたちを支えていくことが求められています。
体を動かすことは心にも良い影響があります。
家族で一緒に遊び感覚で取り組めば、笑顔の時間が増えます。ADHDの子どもたちの毎日がもっと楽しく、自信を持って過ごせるように、大人の私たちができることはたくさんあります。

(出典:ResearchGate)(画像:たーとるうぃず)

「ADHDの子どもの3割から5割ほどに、体の動かし方に遅れが見られる」

「ADHDの子どもたちは、運動の苦手さで自信をなくしてしまいがちです。
でも、運動を通じて少しずつ「できた!」という経験を積み重ねていくことは、心の成長にもつながります。」

多くの、「体育」の先生には、よく知っていただきたいです。

よろしくお願いします。

自閉症の子がもっと運動できるように。ChatGPTが支援

(チャーリー)


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