ベン・ページは６人を連れて、米ロサンゼルスの北にあるアンヘルズ国立森林公園の中を歩いています。
カエデの木の下の道を過ぎ、小川を過ぎ、円になって並んで立って、目の前の光景や音、においを感じます。
自然にマイクを向ける。
ページは参加者たちにそう教えます。
参加しているリリー・アーバンは、ロサンゼルスの自宅を出て、混んでいる高速道路を使って、ここに到着してからどんなに気分が変わったかを伝えます。
「自然は私たちを歓迎してくれています。
私たちの気持ちを前向きなものに変えてくれます。」
アーバンは、数十年にわたって、日本で伝統的に行われている「森林浴」を行っています。
日本の研究者は、ストレスホルモンのコルチゾールのレベルの低下、血圧の低下により免疫システムが強化されることなどから、森林浴が健康によいことを実証しています。
アイオワ州ウェブスター市のバンディエストメディカルセンターのバートレット・ハックミラー医師は治癒の速度を早めるようなものだと言います。
バートレット医師も、森林浴のガイドになるための訓練を受けています。
アモス・クリフォードがこの森林浴の協会を設立し、２０１４年からガイドの訓練を行っています。
これまでに１５人のガイドが訓練を修了したといいます。現在２７０人が訓練を受けています。
カリフォルニア州、中西部、五大湖、ニューイングランド州で活動をしています。
およそ１０００人が、森林浴療法に参加しているそうです。
ガイドたちは、発達障害、知的障害、うつ病などの問題をかかえている人、車椅子を利用している人、幅広い年齢の人たちに森林浴を体験させています。
セルビア、フランス、スペイン、ポルトガル、イングランド、アイルランド、フィンランド、オーストリア、ニュージーランド、メキシコ、ベトナムを含む約20カ国のガイドも訓練しています。
「森林浴は私たちにリラックスできる機会を与えます。そしてリセットさせてくれます。
そうして、私たちの体がもつ治癒能力が回復するんです。」
そうクリフォードは言います。
森林浴には、ハイキングやツーリングをするのとは違う、自然の見かたが求められます。
「たいていは、流れる風景を見てすぐに行ってしまいます。
しかし森林浴は、今ここにいることを楽しむようにします。」
森林浴のガイドとしてクリフォードは言います。
「私たちは道から外れて、木樹に活躍してもらいます。
そして私たちは、静かな状態になるのです。
私たちは急ぎすぎです。
私たちには信じられないほどの自己治癒能力が備わっているのです。」
森林浴のガイドでるバートレット・ハックミラー医師は、森林浴の参加者には冒険心や競争心は自宅に置いてくるように注意します。
「自然のなかでゆったりとし、ただ時間を過ごすことができれば、美しい変化がおきるのです。」
森林浴は、人を落ち着かせ、免疫機能を高め、健康を改善することにつながる様々なレベルでの働きかけがあると研究者たちはいいます。
日本の研究者は、森林環境での歩行は血圧の低下、ストレスホルモンのコルチゾールの低下、都市環境での歩行よりも脈拍数が低下することを伝えています。
森林、都市、それぞれの環境で280人の男女が過ごし、その反応を比較しました。
森林環境では、コルチゾールが低下していました。
それは、頭痛、高血圧、心臓の問題に関係するものです。
そして、森林浴は病気予防に役立つ、いわゆるナチュラルキラー細胞も増やします。
ある研究では、二日間に１日２回、森の中を２時間歩いた男性は、感染症やガンと闘うナチュラルキラー細胞と呼ばれる白血球の一種の活性が５０％増加しているのを確認しました。
フィトニシドのような、木樹やその他の植物が出す芳香物質も、炎症や腫瘍への抵抗力、脳の機能維持に役立ちます。
森林浴はまた、創造性の向上、問題解決、気分の改善にも関連します。
デューク大学のデュークインテグレーテッドメディスンセンターのフィリップ・バー医師たちは、この森林浴の効果に期待をしています。
森林浴が、ヨガやマインドフルネス、瞑想のようなものになると考えています。
バー医師は、免疫システムの強化と行動するためのシステムと回復するためのシステムのバランスを学ぶ療法のようなものだと説明しています。
また、静かに座って瞑想をする方法を学ぶのと変わらないともいいます。
誰でも、森林に行って静かに姿勢を整えれば、森林浴をすることができます。
しかし、最初にガイドに教えてもらえば、より正しいやりかたがわかるといいます。
バー医師は、森林浴はだれにでもできるシンプルな点がよいと考えています。
ジムに通ったり、ヨガスタジオに行く必要はありません。
最初だけガイドにやりかたを教えてもらえば、その後は森さえ見つければよいからです。
（出典：米WebMD）（画像：Pixabay）
せっかくの夏休みです。
子どもと一緒に、森林浴。ぜひ！
海もいいみたいです。
発達障害の子どもたちと一緒にサーフィン
（チャーリー）
