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発達障害の子は痛みを強く感じる?弱く感じる?どっちが正しい?

time 2018/05/07

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

発達障害の子は痛みを強く感じる?弱く感じる?どっちが正しい?

多くの親たちは、自分たちの発達障害の子どもだけが、他の人よりも痛みを感じなかったり、強く感じるのではないかと疑問に思っています。
しかし、それはあなたの子どもだけのことではありません。
発達障害の子の多くは、痛みを感じるのが少ないか、または強く感じていて、発達障害の子の共通的な特徴といえます。
私の息子も発達障害です。息子は痛みをあまり感じません。
生後18ヶ月のときにうでの骨を折っても泣くことはありませんでした。
大きくなって歯が抜けたときには、口に感じる違和感からとなりの歯も自ら引き抜こうとしていました。
息子が痛みをあまり感じないことを気にしなくなってしまったときがあります。
すると、息子は手足の指先の皮膚を向いていたり、出血するまで爪を潰したりしていて、驚きました。
医者のところに連れて行って、怪我について説明し、息子には血を出すようなことをしてはいけないと教えました。
発達障害でない子の親からすれば、信じられないような話かもしれませんが、発達障害の子の親にとってはよくあることです。
なので、あなたの発達障害の子がすごく痛がったり、痛みを感じることが少なくても、めずらしいことではありません。
発達障害の子は痛がるという研究、痛みを感じることが少ないという研究、どちらもあります。
p4
発達障害の子は痛がるという研究です。
Clinical Journal of Painに掲載された研究です。
この研究では次を目的としました。
1.痛みと苦痛の客観的観察尺度を用いて発達障害の子の反応を評価すること
2.発達障害の有無に関わらず、親たちが子ども痛みをどう評価しているのかを見ること
3.静脈注射をしたときの発達障害の子の反応と親の評価を、発達障害でない子とその親と比較すること
研究方法は単純です。
静脈注射をしているときの子どもたちを録画撮影し、3歳から7歳の発達障害の子ども22人とそうでない子ども21人で比較しました。
子どもの親からは、子どもが感じた痛みについて聞き取り、録画された子どもたちの顔から子どもたちが感じている痛みを判定しました。
発達障害の子どもは、その顔から痛みを感じてることがわかりました。しかし、発達障害の子の親からの聞き取りではそうとはいえず、発達障害の子が感じている痛みと親が思っている痛みに一致が見られませんでした。
自閉症スペクトラム障害の子が痛みを感じるのが鈍感であると考えているのは、正しく子どもたちが感じている痛みを理解できていないだけと認める研究が他にもあります。
p2
こちらの研究では、注射を刺しているときの自閉症スペクトラム障害の子どもたちの表情、行動、生理学的反応を調べること、また知的障害の子とそうでない子とも比較しようとしたものです。
自閉症スペクトラム障害の子ども35人、知的障害の子ども32人、障害のない子ども36人が対象となりました。
表情の他に心拍数も記録されました。
その結果、表情や行動、生理学的反応について、3つのグループに明らかな差はありませんでした。
しかし、他の2つのグループに比べて、自閉症スペクトラム障害の子どもは注射が終わった後でも、痛みを示す反応が高いままとなっていました。
つまり、自閉症スペクトラム障害の子どもは同じように痛みを感じるだけでなく、痛みがとれるのに長い時間がかかるということがわかりました。
まとめると、以上の研究から、自閉症スペクトラム障害の子どもも注射は痛いのです。
p5
しかし、こちらは逆に、痛みを感じることが少ないという研究です。
spectrumnews.orgで発表されている研究です。
発達障害の成人17人と、そうでない成人16人が参加して、fMRIと体につけた小さな金属片を使って実験が行われました。
金属は3秒で約50度にまで熱くなり、刺激します。やけどをする温度ではありません。
12秒間、熱くすると室温に戻します。これを十数回行い、脳を測定しました。
この研究では、発達障害の人の痛みへの脳の反応の遅れを、3つの時間に分けて捉えようとfMRIによる脳の画像を分析しました。
熱くなってから7秒の間の段階では、発達障害の人もそうでない人と同じように、痛みにも関係する触覚を司る脳領域、体性感覚皮質が活発になっていました。
しかし、熱くなっている残りの5秒間、そして冷やしている間、発達障害でない人はこれらの脳領域は活発なままでしたが、発達障害の人たちは活発にはなっていませんでした。
そう、この研究を行った米ヴァンダービルド大学のミッシェル・フォリッサ研究員は言います。
p3
痛みを感じるような刺激があってからしばらくは、発達障害でない人は痛みを感じていますが、発達障害の人はもう痛くなくなっているのです。
つまり、痛みを感じ始める刺激が加わった段階では、発達障害の人の脳もそうでない人と同様に処理を行いますが、痛みの認知的、感情的な評価と関連してくる刺激のあとに続いてくる痛みが、発達障害の人にはないのです。
他の人には痛いと感じても、それが刺激によるものではないのであれば、発達障害の人には痛くは感じないのです。
発達障害の人は、痛み伴わない感覚についても過敏であったり鈍感であったりすることから、痛みに対応する脳の反応だけでなく、表情の関係についても今後、研究される予定です。
フォリッサ研究員はこう言います。
「fMRIを利用した脳イメージング技術と、表情を測る他の方法とを組み合わせることによって、さらに発達障害の人の痛みの感じ方がわかるはずです。」
p1
(出典:米Emax Health)(画像:Pixabay)
うちの子は、痛みをあまり感じないと思っています。
注射をしてもけろっとしていましたし、小さな傷があると気になってしまうのでしょうが、平気にぼりぼり掻き出して、傷をもっと大きくして、気づくと血を流していたりするので。
痛みが強いよりは、まわりの人がケガをきちんと見逃さないようにすれば、幸せなんではないかと思ったりします。
しかし、そう思っているだけで、実はすごく痛がっているとしたらと考えると不安になってしまいます。

(チャーリー)


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