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自閉症の息子と二人のきょうだい。大人になった今、私は考える

time 2021/06/10

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

自閉症の息子と二人のきょうだい。大人になった今、私は考える

二人めの息子となるマックスが生まれると、私は本当にうれしくなりました。
私はこの子をずっと抱きしめて眺めていたいと思いました。
隣の家の人がマックスに手を伸ばしたときも距離をおいたことを覚えています。
誰にも抱かせたくない、私だけの赤ちゃんだと思っていました。

その頃、長男のナットには不安が募っていました。
ナットは、遊び方もコミュニケーションの取り方も変わっていて、質問されると、こちらが言ったことをそのまま返すような子だったのです。

2歳半になったナットは、何度も不安発作を起こし、頻繁に泣き叫んでいました。
遊び場でもベビーカーから降りて他の子どものところへ行こうとすることはありませんでした。
人のいる部屋に入るのも苦手でした。
私はナットを慰めることもできず、どうしたらいいかわからなくなっていました。

祖母はそう言っていましたが、生まれたばかりの弟のマックスにも、ナットがそうした反応をとるとは思っていませんでした。

ナットは3歳のときに発達障害の自閉症と診断されました。
それからは療育に力を入れました。学習や発達が進むように務めました。
しばらくは双子のように二人の子を抱いていました。

次の子も自閉症であるかもしれないと思っていましたが、3人めの子どもも欲しいと思いました。
二人が発達してくれれば、大丈夫だと考えました。

そして、二男のマックスが生まれてから6年後にベンが生まれました。
ベンとマックスはとても仲が良くて、二人は子犬のように一緒に遊びました。
がっちりとした体格のマックスと、ひょろひょろのベン、二人を見ているのは楽しいものでした。

しかし私は、自閉症の長男のナットをどうやって二人の弟たちと遊ばせたらいいのかわかりませんでした。
ベンとマックスは、ナットの攻撃的な行動を無視したり、かわしたりすることが多かったのです。

私はナットに遊び友だちが欲しいと思っていましたが、特別支援学校に通っているためにクラスメートは近くには住んでいなく、また守秘義務の問題もあって、学校側は学校外での交友関係を築くことに協力することはありませんでした。

ナット、マックス、ベン、それぞれ違う育て方になったと思います。
私が育った家では、姉と私は一緒に遊ぶことを強く勧められました。
しかし、私は母親になって、息子たちを無理やり一緒に遊ばせようとは思いませんでした。
子どもたちには、それぞれの選択、それぞれの道を歩む権利があると考えたからです。

8歳年下のベンは、長男のナットのことをいつも気にかけていましたが、夫のネッドと私はマックスにもベンにも、ナットと一緒に遊ぼうと言ったことはほとんどありませんでした。

二男のマックスが12歳になる頃には、シッターが確保できないときにはマックスにお願いしました。
マックスは快くそれに応じてくれました。
しかし本当は、マックスは不安を抱えていました。
それを知らずに、私がそう思っていただけでした。

二男のマックスと三男のベンが社会に出て、私たち家族以外の生活を始めてからも、自閉症の長男のナットは自分だけの世界にいました。

私たちは、マックスとベンを誇りに思っていました。
複雑な家族の中から、混乱の中でも立派になったのですから。

今、ナットは31歳、マックスは29歳、ベンは23歳です。

ナットは、多くのサポートがある良いグループホームで暮らしています。
24時間365日、しっかりとしたケアを受けています。

マックスとベンはニューヨークに住んでいて、仕事も人間関係もしっかりしています。
しかし、二人が自閉症の長男のナットのことを尋ねてくることはほとんどありません。
自ら、ナットのところへ訪れようとすることもありません。

最近、私がみんなで「ズーム」で毎週ナットと話をしたいと、二人にお願いをしました。
同意してくれましたが、口数は多くありませんでした。
私は週に1回、2分間のズームで会話をすることはどうとでもないことだとわかっているものの、二人にはたいへんなお願いをしたのかもと心配もしました。

私には、二人ともナットのことを気にかけているのに、それを表現する習慣がないように感じられます。
二人ともナットとの関係を望んでいますが、その方法を知らないのだと思います。

私は、自分を責めざるを得ません。
二人とナットにそうした絆を育むことができなかったからです。

ただ、ナットのためにマックスとベンを抑圧したくないと考え、どうすればよいかわかりませんでした。
夫と私は、ナットから二人を切り離していました。
ナットのヘルパーとして生まれてきたと思うようなことが絶対にないように、そう選択したのです。
なので、二人は週に一度のズームへの参加以外には、何をしたらいいのかわからないのです。

しかし夫と私は永遠に生きられるわけではありません。
自閉症のナットの様子を心配したり、一緒に遊んだり、グループホーム以外の活動に連れて行ってくれる後見人を雇うこともできます。
しかし、ナットにはそれ以上の存在が必要になるときがあるはずです。

ナットはパンデミックの間、家に戻ってきて一緒に暮らしました。
これまでも、うまくいかない生活環境のために2度家に戻ってきています。

私がいなくなったら、そうしたときナットはどこに行けばいいのだろう?
将来、マックスとベンが介護者になってくれるにはどうすればいいのだろう?

私は今、そう考えるようになりました。

(出典:米Psychology Today)(画像:Pixabay

うちの子のきょうだいにも、うちの子のために嫌な思いをさせたくない、迷惑をかけたくない。

そんな考えから、できるだけうちの子の世話などには関わらせないようにしてきました。

しかし、どうしても親が不在になってしまうときには、結局助けられています。

そして私たち親がいなくなってしまった後は、うちの子にも絶対に必要な存在で、全く頼りにしないわけにはいかないとも思います。

発達障害の子のきょうだいに負担はかけたくない、親が考えること

(チャーリー)


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