
この記事が含む Q&A
- 家族旅行で自閉症の子どもに安心を提供するサポートはありますか?
- 専任スタッフの付き添いや事前の情報共有による個別サポートが利用できます。
- 海外のリゾートやホテルではどのような自閉症支援が行われていますか?
- 自閉症対応の認証取得や専用の地図、キャンプ、事前の情報シートの利用など多様な工夫があります。
- 旅行計画時に自閉症の子どもがより安心して過ごせる方法は何ですか?
- 事前に「自閉症パスポート」を作成し、スタッフと共有することや、旅行会社に特別配慮を依頼するのがおすすめです。
家族旅行といえば、みんなで一緒に過ごすことをイメージしますが、今回の旅行では私たち夫婦は久しぶりに息子と離れて自分たちの時間を楽しんでいます。
場所はカリブ海に浮かぶタークス・カイコス諸島という小さなリゾート地のビーチです。
息子はリゾートのウォータースライダーで遊び、私たちはきれいな海でシュノーケリングをしていました。
私たちの息子ベネットは自閉症があります。
普段の旅行では、息子から目を離さずに一緒に過ごさなければなりません。
しかし、このリゾートには「ビーチズ・バディ」という専任スタッフがいて、追加料金を払うことで一対一で付き添いをしてくれます。
そのスタッフは息子と一緒に泳いだり、バスケットボールをしたり、合間にフライドポテトを食べたりと、さまざまな遊びをサポートしてくれます。
このスタッフは、自閉症について専門的なトレーニングを受けています。
たとえば、「好きなもの・嫌いなもの」「苦手なこと」「落ち着く方法」などを事前のアンケートで伝えておけば、それをきちんと理解して接してくれます。
このリゾートの担当者は「子ども一人ひとりの違いに合わせて準備することが大切」と言っています。
このようなサポートのおかげで、息子が自閉症だとわかった14年前には夢にも思わなかった、安心してリゾートを満喫できる旅行ができるようになりました。
ここ十数年で、海外の旅行事情は大きく変わりました。
今では、自閉症や発達障害など“見えない障害”を持つ人たちにもやさしいホテルやクルーズ船、観光地が増えています。
しかし、ここまで細やかな対応をしてくれる場所は、まだめずらしいのが現実です。
それでも、海外では徐々にこうしたサービスが広がり始めています。
たとえば、ビーチズ・リゾートという有名な南国リゾートでは、専任スタッフの付き添いだけでなく、子ども向けの無料のキャンプや、食事のこだわりに対応できる料理担当、リゾート内の「うるさい場所」や「静かな場所」をわかりやすく示した地図など、さまざまな工夫をしています。
今後も新しいリゾートを複数オープンする予定で、どの施設も自閉症対応の認証を受ける方針です。
また、カリブ海やメキシコなどにある他のホテルでも、同じように自閉症に詳しいスタッフがサポートできる体制をとっています。
家族が事前に「自閉症パスポート」と呼ばれるシートで「何が苦手か」「どうしたら安心するか」「食べ物の好み」などを書いておき、スタッフと共有することで、現地でスムーズに過ごせるようにしています。
質問や要望があればメールでも相談できます。
こうした細かな対応について、ある専門家は「とても大変だけれど、自閉症のある方には特に必要なサービス」と話しています。
クルーズ旅行でも、特別なサポート体制があります。
たとえば、「オーティズム・オン・ザ・シーズ」という団体は、発達障害のある子どもを持つ家族が安心して楽しめるよう、世界中の有名なクルーズ会社と協力して専門スタッフを乗船させています。
スタッフは特別支援教育や発達支援の経験者で、事前に家族が提出した情報をもとに、一人ひとりの子どもに合わせたサポートをします。
船内では、専用の遊び場や優先的な席、食事の特別対応などが受けられます。
また、海外の空港や航空会社も、発達障害のある人が安心して利用できるよう工夫しています。
たとえば「ひまわりのマーク」が付いたストラップを首にかけていると、空港スタッフが「手助けが必要な人」とすぐに分かる仕組みです。
搭乗手続きや保安検査のときに配慮してもらうことができます。
また、事前に空港の中を歩いたり、飛行機の乗り降りの流れを練習できる体験ツアーを行っている都市もあります。
こうした体験は、初めて飛行機に乗る子どもや、環境の変化が苦手な人にはとても役立ちます。
ホテルによっては「手遊びグッズ」のプレゼントや、静かな時間帯だけ開放される水族館など、感覚が敏感な人に配慮したサービスも増えています。
カナダでは、こうした自閉症や発達障害のある人へのサポートはまだ発展の途中ですが、スキー場や山のリゾートで特別なガイド付きのアクティビティを体験できたり、ホテルや観光施設で個別に配慮をしてくれるところが増えています。
旅行を計画する際、旅行会社がホテルや航空会社に事前に連絡し、「静かな部屋」や「優先搭乗」などを手配したり、旅行の流れをイラスト付きで説明する「ソーシャルストーリー」と呼ばれる冊子を用意したりして、安心して旅ができる工夫もされています。
このように、海外の旅行業界では自閉症や発達障害のある人や家族が、もっと安心して楽しい時間を過ごせるよう、さまざまな工夫やサポートが進んでいます。
世界中で、今後こうしたサービスが広がっていくことが期待されています。
(出典・画像:カナダTHE GLOBE AND MAIL)
いいですね。うらやましい。
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(チャーリー)