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自閉症の特徴とされる感覚過敏。実は他の子どもにも多い可能性

time 2026/03/23

この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。

自閉症の特徴とされる感覚過敏。実は他の子どもにも多い可能性

この記事が含む Q&A

感覚の反応の違いは自閉症だけの特徴なのでしょうか?
記事では、感覚の違いは自閉症だけに特有とは限らず、ADHDや言語障害、不安症などでも見られる可能性が示されています。
「感覚回避」や「感覚敏感」は自閉症で必ず強く出るのでしょうか?
研究結果では「感覚回避」と「感覚敏感」のスコアが自閉症ではない子どもの方が高い場合があり、自閉症だけで判断しにくいと述べられています。
感覚の特徴は日常生活の能力とどんな関係がありますか?
記事では、感覚の違いが強い子ほどコミュニケーションや日常生活スキル、社会的な関わりなどの能力が低い傾向があるとされています。

子どもが音や光、触覚などの刺激にどのように反応するかは、人によって大きく違います。
例えば、大きな音にとても敏感な子もいれば、周囲の刺激にあまり気づかない子もいます。

自閉症の研究では、こうした感覚の違いはとても重要な特徴の一つと考えられています。
しかし、最近の研究では、感覚の違いは自閉症だけに特有のものではない可能性も指摘されています。

今回、アメリカのネバダ大学リノ校医学部の研究チームは、自閉症の評価のために紹介された子どもたちを対象に、感覚の反応と日常生活の能力の関係を詳しく調べました。
この研究は、自閉症の診断を受けた子どもだけでなく、診断には至らなかった子どもも含めて分析した点に特徴があります。
つまり、実際の臨床現場に近い、多様な発達プロフィールを持つ子どもたちのデータを使った研究なのです。

研究では、3歳から14歳までの238人の子どもが対象になりました。
この子どもたちは、いずれも「自閉症の可能性があるのではないか」という理由で大学の自閉症クリニックに紹介された子どもたちです。
最終的な診断の結果、121人が自閉症と診断され、117人は自閉症ではありませんでした。
ただし、自閉症ではないグループの多くの子どもにも、ADHD、不安症、言語障害、知的障害など、さまざまな発達や行動の課題が見られていました。

研究では、保護者の質問票を使って、子どもたちの感覚の反応を調べました。
この質問票では、感覚の特徴を次の4つのタイプに分けて評価します。

1つ目は「感覚探索(sensory seeking)」です。
これは、強い刺激を求める行動のことです。

例えば、体を激しく動かしたり、物を触り続けたりする行動がこれに当たります。

2つ目は「感覚回避(sensory avoiding)」です。
これは、刺激を避けようとする行動です。

例えば、大きな音がする場所を避けたり、特定の触感を嫌がったりする場合です。

3つ目は「感覚敏感(sensory sensitivity)」です。
これは、刺激にとても敏感で、すぐに気づいてしまう特徴です。

4つ目は「感覚登録(sensory registration)」です。
これは、周囲の刺激に気づきにくい傾向を指します。

例えば、名前を呼ばれても気づきにくい、周囲の出来事に反応しにくいなどの行動が含まれます。

研究者たちは、これらの感覚の特徴と、自閉症の症状の強さ、そして日常生活の能力との関係を分析しました。
まず、研究者たちが予想していたのは、自閉症の子どもの方が感覚の違いが強いだろうということでした。
しかし、実際の結果は少し違っていました。

「感覚回避」と「感覚敏感」のスコアは、むしろ自閉症ではない子どもの方が高かったのです。
つまり、刺激を避ける傾向や刺激への敏感さは、自閉症の子どもよりも、他の発達課題を持つ子どもたちの方が強い場合もあったのです。
一方で、「感覚探索」と「感覚登録」については、自閉症と非自閉症のグループの間に大きな差は見られませんでした。

この結果は、感覚の違いが必ずしも自閉症だけの特徴ではないことを示しています。
研究者たちは、この理由として、研究に参加した子どもたちの特徴を指摘しています。
今回の研究の子どもたちは、すべて「何らかの発達や行動の心配がある」としてクリニックに紹介された子どもたちでした。
そのため、自閉症ではない子どもたちの中にも、不安や注意の問題など、感覚の反応に影響する特徴を持つ子どもが多く含まれていました。

例えば、大きな音を避ける行動は、感覚の問題だけでなく、不安やストレスの影響でも起こることがあります。
また、感覚回避の行動は、刺激が多すぎる環境で自分を守るための対処方法として現れることもあります。
つまり、感覚の行動だけを見て「これは自閉症の特徴だ」と判断することは難しい可能性があるのです。

研究では、感覚の特徴と日常生活の能力の関係も調べました。
日常生活の能力とは、例えば次のような能力です。

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・コミュニケーション
・日常生活のスキル
・社会的な関わり

分析の結果、感覚の違いが強い子どもほど、これらの能力が低い傾向があることがわかりました。

とくに「感覚敏感」は、コミュニケーション、日常生活、社会性のすべてと関係していました。
つまり、周囲の刺激にとても敏感な子どもほど、日常生活で困難を感じやすい可能性があるのです。

一方で、少し意外な結果もありました。
「感覚探索」の行動は、日常生活のスキルと正の関係を示すこともありました。
つまり、刺激を求める行動が強い子どもほど、日常生活の能力が高い場合もあったのです。

研究者たちは、この理由として、探索行動が子どもの経験を増やす可能性を指摘しています。
たとえば、物を触ったり、環境を探索したりする行動は、日常生活のスキルを学ぶ機会を増やす可能性があります。
ただし、この関係は単純ではなく、すべての探索行動が役立つとは限らないとも研究者たちは述べています。

今回の研究では、感覚の特徴と自閉症の症状の強さの関係も調べました。
その結果、感覚回避が強いほど、自閉症の症状がやや弱い傾向が見られました。

研究者たちは、この結果についても慎重な解釈が必要だと述べています。
感覚回避の行動は、自閉症の症状そのものではなく、不安や自己調整の違いを反映している可能性があるからです。

また、感覚の特徴だけでは、自閉症の症状の強さを説明することはできませんでした。
つまり、感覚の違いは自閉症の重要な特徴ではあるものの、それだけで症状の程度を決めるわけではないということです。

研究者たちは、この研究からいくつかの重要な点が見えてくると述べています。

まず、感覚の違いは自閉症だけに特有のものではありません。
ADHDや言語障害、不安症など、さまざまな発達や行動の特徴を持つ子どもたちにも見られます。
そのため、感覚の行動を理解するためには、子どもの全体的な発達や環境を考える必要があります。

もう一つ重要なのは、感覚の特徴が日常生活の能力と深く関係していることです。
感覚の違いは、子どもが環境とどのように関わるかに影響します。
その結果、コミュニケーションや社会的な関係、日常生活のスキルにも影響が及ぶ可能性があります。

研究者たちは、感覚の行動を詳しく評価することは、さまざまな発達プロフィールを持つ子どもを理解するうえで重要だと述べています。
とくに臨床の現場では、感覚の特徴だけでなく、不安、注意、自己調整などの要素も含めて考えることが必要だと指摘しています。

今回の研究は、自閉症の診断のために紹介された子どもたちを対象に、感覚の特徴を広く調べた研究です。
その結果、感覚の違いは特定の診断だけで説明できるものではなく、多様な発達の特徴と重なり合っていることが示されました。
そして、感覚の特徴は、子どもが日常生活の中でどのように学び、生活していくかとも深く関係している可能性があります。
子どもの感覚の世界を理解することは、その子どもの生活や発達を理解することにつながるのかもしれません。

(出典:Brain Sciences DOI:10.3390/brainsci16030310

  • 感覚の違いは自閉症だけに特有のものではない
  • 感覚の特徴が日常生活の能力と深く関係している

正しく知っておく必要がありますね。

自閉症の子どもの感覚過敏や回避行動、親の育児負担と深く関係

(チャーリー)

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