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国や文化が違えば、発達障害、自閉症が異なるものになっている

time 2019/01/05

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国や文化が違えば、発達障害、自閉症が異なるものになっている

発達障害である自閉症の特徴は、文化や国の違いに関係なく、変わらないと思われるものがあります。
それは、世界規模で使える診断方法の基礎になるものです。
しかし一方で、国や文化によっては捉え方が変わる自閉症の特徴があります。
自閉症の診断や診断ツールを設計する場合には、そのことを考慮する必要があります。
発達障害である自閉症の人が一部の国では診断がされないままになっています。
自閉症の診断方法や診断テストの多くは、アメリカやヨーロッパで開発されたものです。
西洋の文化的な規範に基づいたものだといえるでしょう。
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そのため、西洋ではない地域の親が、子どもの行動について心配になってもそのままでは参考にならないかもしれません。
例えば、南アフリカの農村部では子どもたちが「ハッピーバースデー」を歌ったり、ケーキのろうそくの火を吹いて消したりすることは知りません。
しかし、自閉症の診断における経過観察でそれは注目する行動の一つになっています。
また2011年に行われた研究では、日本の親たちは発達障害である自閉症がもたらす子どもの危険よりも、恥ずかしさや謙虚さを重んじた文化性からか、他の子どもたちとの関わりについての不安を感じています。
自閉症スペクトラム指数を算出するために介護者が記入する50項目からなる質問票があります。
新たな研究では、その質問票を使って3カ国で調査が行われました。
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インドで154人、日本で306人、イギリスで1020人の4歳から9歳の子どもたちが参加しました。
それぞれの国の子どもの半数がその国で自閉症と診断をされています。
介護者は自分の国の言葉で、子どもについて50の項目からなる質問票に答えました。
50項目の中から、自国での自閉症の判定に使える優秀な質問項目の数は国によってまちまちでした。
インドでは16項目、日本では15項目、イギリスでは28項目でした。
3つの国全てで、自閉症の判定に使うことができる項目は28項目でした。
イギリスの親たちは、インドや日本の親たちよりも、子どもの自発性を心配していました。
また、日本の親だけが子どもの独り言を自閉症に関わるものとしていました。
発達障害である自閉症の特徴の捉え方が、文化によって異なることが現れています。
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日本とインドの子育てのスタイルでは、イギリスほど自発性を求めないのかもしれないと研究者たちは考えています。
また、子どもが年配者に対して大人しくふるまうことが期待される日本よりも、インドやイギリスの子どもと大人との関係のほうが自由なのかもしれません。
質問票の翻訳にも問題があるかもしれません。
例えば、‘spontaneous’ (自発的)とは、「事前に計画を立てずに実行する」と「自分自身で計画を立てる」を意味します。しかし、翻訳版では「自分自身で計画を立てる」に偏っている可能性が見受けられました。
英ロンドン大学で発達障害と言語障害を専門としているクーテニー・ナバリ教授は、この研究に関わっていませんがこう言います。
「文化の違いにかかわらず、自閉症の判定に使えるツール開発に今回の研究結果を活かすべきです。」
ただ今回の研究に参加した子どもたちは全員が平均的な知能をもっていたため、自閉症の子どもたち全体を代表できるものではないことを指摘しています。
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また、すでに自閉症と診断をされている子どもたちの親の回答をもとにしているために、これから診断を受ける子どもの親とは状況も違うと指摘します。
「子どもが自閉症かどうかわからない状況で答えているのではありません。
この研究では、子どもが自閉症であることが既にわかっている親が答えているのです。」
文化に関係なく捉えられる、共通的な自閉症の特徴がわかることで、国や文化による自閉症の診断の違いもわかってきます。
「共通的な特徴に対する項目を診断に利用することで、インドで自閉症とされているものが、イギリスでも自閉症とされているものだと考えることに合理性が与えられます。」
この研究結果は”Molecular Autism”に掲載されています。
(出典:米SPECTRUM)(画像:Pixabay
人との関わり、社会性、そうしたことに困難をかかえ特徴をもつ発達障害、自閉症なので、国や文化によって捉え方は異なることに疑いはないでしょう。時代でもですね。まったく気にされなかったり、神のように扱われた時代もあったはずです。
ただ、文化や国によって違うからと、支援を必要としているのに見過ごされている子どもたちがいるのなら、見過ごすことをなくす、こうした世界共通の判断基準は求められるものでしょう。
日本では発達障害の子に知的障害があることを感じる親が多い

(チャーリー)


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