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男の子とは異なり自閉症の女の子は「私たち」「彼ら」を使う

time 2021/01/08

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

男の子とは異なり自閉症の女の子は「私たち」「彼ら」を使う

新しい研究によれば、自閉症の男の子とは異なり、自閉症の女の子は会話中に「私たち」「彼ら」などグループに関わる言葉を使います。

この研究結果は、男の子よりも診断される頻度が低い、診断が遅れる、傾向がある女の子の自閉症の診断に役立つ可能性があると研究チームは言います。

発達障害である自閉症の診断が正しくされないことは、自閉症の女の子の不安症やうつ病、自殺などの精神衛生上の問題につながります。

「自閉症の女の子が適切に理解されていなければ、これらの女の子は必要なサポートを得ることができない可能性があります」

そう今回の研究を行った、米ペンシルバニア大学の精神医学、ジュリア・パリッシュ=モリス助教授は言います。

パリッシュ=モリス助教授らの研究チームは、自閉症の中核的な特徴である社会的コミュニケーションの問題における性差についての洞察を得るために、自閉症の女の子とそうでない男の子が会話の中でどのように他の人について話すかを分析しました。

「これは、自閉症の少年少女とそうでない少年少女の間の社会的関心の違いを調べたものです。
標準化されたテストへの応答ではなく、自然言語のサンプルを使用した数少ない研究の一つです」

そうこの研究に関与していない言語病理学者ジェニー・バートンは言います。
また、自閉症の男の子と比較して、自閉症の女の子は社会的相互作用が得意でモチベーションも持っているという考えを支持する数少ない研究の一つであると言います。

研究チームは、各参加者が学部生や研究助手との非公式な 5 分間の「あなたを知ってもらう」会話に参加したときの音声とビデオを記録しました。

自閉症の女の子17人と男の子33人、自閉症でない女の子15人と男の子22人が参加しました。
全員が8歳から17歳で、年齢と知能指数をあわせています。
また、自閉症の子どもたちについては、社会的障害のレベルであわせています。

書き写した会話から、コンピューターによって複数の人称代名詞の数をカウントしました。
“we””us”「私たち」、”they””them”「彼ら」ような人々のグループを参照するものだけでなく、「家族」や「友人」などの社会的な意味合いを持つ単語についてです。
また、これらの単語を使用する頻度を会話全体の単語の合計数と比較して計算しました。

その結果、自閉症の女の子は、自閉症の男の子のほぼ2倍の頻度で複数の人称代名詞を使用し、彼らは同様に社会的な単語をより頻繁に使用していることがわかりました。

この研究は”Journal of Child Psychology and Psychiatry”で発表されています。

この研究結果から、女の子は「社会的に適合するように圧力をかけられている」ことを示しているのかもしれないとパリッシュ=モリス助教授は言います。

「利用する代名詞は、自閉症のような社会的課題を持つ条件で問題となる、社会的組み込み性や社会的帰属感についてのヒントとなります」

この研究結果は、自閉症の女の子は自閉症の男の子よりも社会化に意欲的であることを示唆するこれまでの研究と合致します。

例えば、自閉症の女の子は遊び場で他の子どもの近くに寄り添う傾向があるのに対し、自閉症の男の子は一人で遊ぶ傾向があります。

また、自閉症の女の子は自閉症でない女の子よりも”they””them”「彼ら、彼女ら」を頻繁に使うこともわかりました。
自閉症の女の子が、自分が属していないグループの話をすることは、自分たちの社会的排除を自覚していることを示している可能性があると研究チームは指摘しています。

「私たちはこれをした、あれをした」と言うことと、「彼らはこれをした、あれをした」と言うこととは、全く異なるとパリッシュ=モリス助教授は言います。

全体的にこの研究では、自閉症の子どもや若者は、自閉症でない人と比較して、複数の人称代名詞を使用することが著しく少ないことを示しています。

同じパターンが幼い子どもにも当てはまるならば、人称代名詞の使用が減少したり、非定型になったりした場合には、自閉症の診断を検討したほうがよいと研究チームは示唆しています。

「自閉症はみんな同じではなく、性別や年齢、文化の違いによって異なる症状を示す」という考えを、この研究結果は強化するものだとパリッシュ=モリス助教授は言います。

研究チームは次のステップでは、自閉症の女の子と男の子が、大人とではなく他の子どもと話したときにどのように異なるか、自閉症の女の子と男の子が使う特定の社会的に結びつけられた言葉を調べたいとしています。

今回の研究に関わっていない米カンザス大学小児科のレネ・ジャミソン准教授はこう言います。

「仲間との社会的活動が少なくなり、家族との時間が多くなる可能性があるため、家族を参照する言葉、仲間を参照する言葉について知ることは興味深いことでしょう。

私の研究では、8歳から12歳まで女の子であれば、自閉症のある女の子もない女の子も、仲間よりも家族を参照します。
成長するにつれて、自閉症のない女の子はより多くの外部の社会的なグループを参照するようになります。
シ自閉症の女の子は変化しないことを発見しています」

(出典:米SPECTRUM)(画像:Pixabay

支援が必要な方へ適切な支援がされるためには、正しい理解が必要です。

正しく理解するためのこうした研究が推進されていくのを期待しています。

自閉症の女の子は困難が深刻になる思春期に多く診断されている

(チャーリー)


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