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私は60歳になってから自閉症と診断。それは大きな贈りもの

time 2022/04/11

この記事を読むのに必要な時間は約 13 分です。

私は60歳になってから自閉症と診断。それは大きな贈りもの

私は壊れている。そのときは思いました。
診断を受けてから、私は60年にわたる人間関係、行動、振る舞いを、この新しい別のレンズを通してゆっくりと見直してきました。
自分がどのように、そしてなぜそのように行動するのか、理解が広がっています。
それは、啓示であり、不安でもあります。

科学ジャーナリストである私は当然ながら調査を行い、私だけが特別な存在ではないことを知りました。
米国疾病対策予防センターは、世界人口の1パーセントが自閉症スペクトラムであると推定しています。

つまり、私は世界にいる7400万人のうちの一人です。
ほとんどの人は、子どもの頃に診断を受けます。
その子どもたちの多くは男の子になります。
英国の国立自閉症協会(NAS)によると、自閉症の男女比は約3:1です。
しかし、自閉症と診断される女性の数は増えてきています。

自閉症の専門家は比較的最近になって、一部の女児が男児とは異なる「見せ方」をすることに気づき、これが過去の診断不足の原因になっている可能性があるとしています。
女の子は、男性の行動観察に基づいて評価されていたからです。

自閉症は、スペクトラムという言葉が示すように、さまざまな状態を含んでいます。
世界保健機関(WHO)は、「社会的相互作用やコミュニケーションにある程度の困難があること」とともに、「ある活動から別の活動への移行の困難、細部へのこだわり、感覚への異常な反応など、異なる形態の行動によって特徴づけられる」と定義しています。

そう、感覚の問題があります。
私は明るい光に目が敏感なため、屋外ではほとんどサングラスをかけて過ごしています。
また、特定の感触や音を極端に嫌います。
まわりの子どもの食事がうるさいという理由で登校拒否になったこともありますし、若い頃はトマトスープとチョコレートプリンしか食べない時期が長く続きました。
20代の頃は、初めて食べた日本食で、刺身を見ただけでむせ返り、空腹のまま帰ってしまったこともあります。

また、体を近づけられたりすると、まったく気が休みなせん。
この不快感は、自己紹介のときには握手や笑顔を見せることでごまかしています。
しかし、不意を突かれることがあります。
一度、フランスの科学者がフランス式の挨拶のために私の頬に近づいてきたとき、私はパニックになり、かなり強引に彼に言ってしまいました。「近づかないで」と。

それから、色に対して私は癖があります。
なぜかというと、オレンジと黄色を一緒に食べることができないのです。
イングリッシュ・ブレックファストを注文するときは、豆と卵を同じ皿に盛らないようにしたり、ソーセージで防波堤を作ったりします。

「私はイギリス人だから」と説明して、頬へのキスを拒んだことが3回あります。
しかし、少々コミュニケーションに障害があっても、コミュニケーションを伴うキャリアをそれなりに成功させるのに支障にはなりませんでした。
なぜなら、私は社交的でおしゃべり、ポッドキャストを発表し、人前で話すことができるからです。
多くの自閉症の人たちと違って、アイコンタクトも問題なくできます。

しかし、その裏側には、自閉症であることの苦しみや困難が見え隠れしているのです。
私は、興味のない話題に興味を示すのが苦手で、人と知り合うために重要な世間話も苦手です。
そのため、時には孤立し、強い孤独感や拒絶感を感じることもあります。

イベントや放送の前には、緊張で胃けいれんを起こしたり、パニック発作を起こしたり、最悪の場合、夫以外にはばれないようなパニックを起こしたりすることもあります。

また、物事が計画通りに進まないという不安も常に抱えているので毎日いくつものリストを作ります。
そして、仕事が済めば、すぐに引きこもって横になってしまいます。
人付き合いが多いと、体力的に疲れます。
あのうるさくておしゃべりな女性だった私が、孤独を歓迎するために引きこもってしまうのです。

しかし、これはどうやら、自閉症の女性の多くやよくやることらしいです。
私たちは「仮面」をかぶったり、ごまかしたりするのです。
温和さと学習された社会的行動を見せて、不快感を隠しています。

私は、BBCワールドサービスのチームと一緒に、毎週新しいラジオ・ドキュメンタリーを制作し始めました。
誰もが恐ろしい新しい現実を理解しようと奮闘する中、この番組は世界中の人々を集め、深い意味のある会話を共有させることに成功しています。
当然ながら、こうした会話の多くは生々しく、感情的なものです。
この仕事は、その会話を繰り返し聞いて編集することを意味します。
インドの病院の医師が、父親を新型コロナから救うことができなかったこと。
カナダの大草原やオーストラリアの奥地で孤立した人々が抱く孤独感。
大切な人を一人で亡くした人たちの耐え難い悲しみ、嘆き。

私は1年近く不眠症に悩まされました。
私は涙を流しながら仕事をしました。

多くの人がそうであるように、この新型コロナ感染拡大は、私の精神にダメージを与える原因になりました。
私は憂鬱になりました。
あるときは、惑星や月の絵を描くのをやめられず、野草を夢中になって観察していました。
それから、特定のキノコを見つけるために何時間も歩き回るような、菌類への執着も始まりました。
私の感覚はおかしくなっていきました。
寝室の壁から聞こえるバスルームの換気扇の音が、身体的にも精神的にも苦痛となりました。

2019年に行われたNASの調査では、不安とうつが自閉症の人に最も多いメンタルヘルスの問題であり、過去5年間に成人の4人に3人がメンタルヘルスの助けを必要としたと報告されています。
その数字が今どうなっているのか、考えると恐ろしくなります。

幸いなことに、2021年、すばらしい偶然の瞬間が訪れました。
私は、知能に対する科学的・社会的態度から性差別を検証する『賢い女、男の天才』を制作することになりました。

自閉症の状態は、生涯にわたるケアを必要とする言語、認知の問題から、より軽度の社会的問題まで、多岐にわたります。
そして、自閉症と知能との関連について調べているうちに、関連性が証明されていないにもかかわらず、天才はしばしばアスペルガー症候群と呼ばれる自閉症の一種と関連付けられていることを発見しました。
このことは、アスペルガー症候群と診断される男性が多いことから、天才の多くは男性であるという誤解を生む原因となっています。

オーストリアの小児科医で、子どもたちを対象とした重要な自閉症研究を行った、ハンス・アスペルガーから名づけられましたが、彼がナチスドイツと協力して子どもたちを殺害したことが歴史的に明らかになったため、ほとんどの専門家は彼の名前を使うのを避けています。
アメリカ精神医学会は2013年、『診断・統計マニュアル』第5版からアスペルガーという言葉を削除したほどです。

現在では、すべてのタイプの自閉症を指す言葉として、自閉症スペクトラム障害(ASD)が使われています。
しかし、ASDも皆に好かれているわけではありません。
「障害」には否定的な意味合いがあるため、ASDを自閉症スペクトラム状態(ASC)とすることも見かけます。

私は、生化学者のカミラ・パンを番組のゲストとして招きました。
彼女は子どもの頃にアスペルガーと診断され、自分の症状について『Explaining Humans』を書き、受賞しています。
その本を読んでいると、光が射すような瞬間が何度も訪れました。
インタビューを終えて、私は彼女の体験が私の体験と重なるところが多く、自閉症の診断を受けたいと思うようになったことを伝えました。

私の地域では、子どもが自閉症の診断を受けるために2年間も待たされることがあります。
それは大人の私にはさらに長く感じる時間のため、お金を支払いプライベートでの診断を受けることにしました。
いくつかの大規模なアンケートや心理学者との面談を含むものです。
子どもの頃の私の行動について母に数時間インタビューをすることもありました。

そして、自閉症と診断されました。

それまで自分の行動がどのように受け取られるのか、ほとんど意識していなかったことが、報告書から痛いほどよくわかりました。
自分の好きな話題について、いかに効果的に独白(私の言葉であって、彼らの言葉ではない)していたかを読み、私は強い恥ずかしさを感じました。
自分がうまくいったと思うことと、臨床的な判断との間に、笑ってしまうほどの差がありました。
アイコンタクトも必ずしもうまくはありませんでした。

私は生後18ヶ月まで言葉を発しませんでしたが、クリスマスになると「look at the lights」という文章を発するようになりました。
また、私が知らなかったこと、あるいは思い出そうとしなかったこととして、11歳から12歳の間にストレスで髪が抜けてしまったことも明らかになりました。

30ページに及ぶ詳細な評価の報告書でした。
そして、推薦された9冊の本のうち6冊がアスペルガーに関するものでした。

アスペルガーの気候活動家グレタ・トゥンバーグは、自閉症に起因する考え方の違いを「スーパーパワー」と表現しています。
私はまだこの段階ではありません。
しかし、私の「見え隠れする」自閉症の特性は、私の過去と現在の両方に影響を与えています。

アセスメントは、私や夫が私の行動や不安を理解するのに役立っています。
夫は、私が科学特派員として耐え難いほどのストレスを感じていたのは、自閉症のせいだと考えています。

ニュースとは、その定義からして、すべてが変化することです。
しかし、夫のような多くの報道記者とは異なり、私は更新や速報を嫌います。
それは、自分の計画を狂わせるからです。
基本的に、予期せぬ変化に不安を感じる人間にとっては、最悪の仕事です。

私が長編のドキュメンタリーに傾倒した理由もそこにあります。
これらの仕事はストレスが少なく、私の強迫観念を満足させ、細部にまで注意を払うことができます。
私は些細なことに磨きをかけることができます。

家族や友人たちは、私が自閉症と診断されることに、信じられないほど協力的でした。
誰も過度に驚かなかった。
そして、私が思っていた以上に、家族の何人かも自閉症であることが判明しました。

そして、重要なことは、これまで私が個人的に話してきた私と同じような症状を持つある若い女性が、自ら診断の道を歩み始めるようになったことです。
また別の友人は、娘が私と同じであることに気づき、ようやく診断を受けようとしています。

私は自閉症であることを公表した理由はそれです。
人生に対して、新しくとらえられることは、大きな贈り物です。
もっと早く診断を受けていればよかったと私は思います。
確かに、私はまだすべてを処理中ですが、もはや自分が壊れているとは思っていません。
私は単に配線が違うだけなのです。そして、それでいいのです。

(出典:英BBC)(画像:Pixabay)

ますます前向きになれるのなら、素晴らしいことに他ならないでしょう。

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(チャーリー)

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