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自閉症でIQ120以上の子どもの自殺リスクは6倍。米大研究

time 2023/03/06

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自閉症でIQ120以上の子どもの自殺リスクは6倍。米大研究

米アイオワ大学の研究者が行った最新の研究によると、自閉症と診断され、かつ優れた認知能力を持つ「二重に特別」な子どもたちは、自殺を考えるリスクが高いことが明らかになりました。

具体的には、IQ120以上の自閉症の子どもは、平均的なIQの子どもに比べて、自殺を考える可能性が6倍近く高いことがわかりました。

一般に、高い認知能力は自殺念慮を防ぐと考えられています。
また、自閉症の人の自殺率はすでに著しく高いことから、この発見は予想外であり、懸念すべきものです。

「従来の常識では、IQが高いほど良い結果をもたらすとされてきました。
ADHDや自閉症などの発達障害、統合失調症や双極性障害などの神経精神疾患、パーキンソン病やアルツハイマー病などの神経変性疾患のいずれについてもです」

そう、アイオワ大学大学精神医学准教授で本研究の上級著者であるヤコブ・ミカエルソン博士は述べています。

「一般には、IQが高いほど自殺を考えることが少なくなります。
しかし、自閉症の人のIQに注目すると、その逆でした。
自閉症の子どもでは、認知能力が高いほど自殺願望が強いという関係があることがわかりました。

また、一般的に自閉症の人は自殺のリスクが高くなっています。
この研究は、その影響がIQがとても高い人ではそれが強まることを示唆しています」

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「二重に特別 ”Twice-Exceptionality”」(2e)は、自閉症、注意欠陥多動性障害、不安、またはうつ病などの神経発達の違いや状態も持っていて、かつ高度な才能を持つ人を表します。

アイオワ大学には、2eの遺伝的なルーツから、2eの人を生涯にわたって支援する最善の方法まで、2eに関する理解を深めることを目的とした研究を行っています。

Neurobiology of Learning and Memory誌に掲載されたこの新しい研究は、アイオワ神経科学研究所のメンバーでもあるミカエルソン博士と筆頭著者ルーカス・カステンによって主導されました。
この研究は、自閉症の青少年における自殺念慮の危険因子について、遺伝学的知見に基づくこれまでで最大の研究であり、複数の大規模サンプルで自閉症、卓越した認知能力、自殺念慮、遺伝学との関係を検討した初めての研究である。

本研究では、3つの大規模な子どもたちから得られたデータが含まれています。

  • 自閉症に関する全国的な遺伝子研究であるSPARK(Simons Foundation Powering Autism Research for Knowledge)の約7000人の子ども
  • アイオワ大学の自閉症を含むさまざまな神経発達疾患を持つ1000人以上の学業成績優秀な子ども
  • 米国の定型発達児を対象とした進行中の縦断研究である一般集団ABCDコホートからの約12000人の子ども

今回の研究チームちは、IQを測定するために、標準的な評価からIQの遺伝的予測に至るまで、さまざまな方法を用いました。
この情報を、自閉症の臨床診断、および親が報告した子どもの自殺念慮に関するデータから得られた自殺念慮の割合と組み合わせて、自殺念慮、自閉症の診断、IQの関係を明らかにしました。

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その結果、自閉症でない青少年においては、高いIQは自殺リスクを減らすことがわかりました。
しかし、自閉症の青少年ではその傾向が逆で、卓越した認知能力を持つ人の自殺念慮のリスクを高めていました。

研究チームは、2eの人の自殺念慮の割合と、IQを一致させた自閉症でない人のその割合を直接比較することで、自閉症の有無が認知能力と自殺念慮の関係において決定的な要因であることを発見しました。

この研究は、高い認知能力の傾向と自殺念慮との間に遺伝的な関係があることを示した初めての研究となります。
この研究で、認知能力に関する遺伝的予測因子の上昇は、自殺念慮の上昇と関連していることがわかりました。

注目すべきは、これらの自閉症の子どもの両親においても同様の傾向が見られたことです。
両親の学業成績に関する遺伝的予測因子が高いほど、自殺念慮の増加と関連していました。
このことは、単に自閉症と診断を受けているだけではなく、潜在的な遺伝的危険因子が高いIQと組み合わさることで、自殺リスクを増大させている可能性が高いことを示唆しています。

総合すると、遺伝子レベルでも、観察された行動でも、高い認知能力は、自閉症と診断された人、あるいはそのリスクのある人において、自殺のリスク要因であることが示唆されました。

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ミカエルソン博士はこう言います。

「私たちは、複数の角度から、複数の大規模な個人サンプルでこのことを調べ、この結果が一貫していることを発見しました。

私たちの包括的な目標は、自閉症の人たちが生き生きと生活できるようにすることです。
この問題に注目することで、教育システム、精神科医療、家庭生活を強化し、これらの課題を予測し、高能力自閉症者が大人になるにつれて直面する独特の課題にうまく対処できるよう、よりよく備えることができればと考えています」

(出典:米アイオワ大学医学部)(画像:Pixabay

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意外とは思わず、当然のように思います。

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そんな負の方向へ進まないよう、環境と支援がなされるようになることを願います。

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(チャーリー)

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