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自閉症の子どもたちの「内受容」スキルも促進する音楽療法

time 2023/07/12

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

自閉症の子どもたちの「内受容」スキルも促進する音楽療法

人類の歴史を通じて、音楽は癒しのために使われてきました。
最近の研究では、音楽が不安やうつ病への対処から癌への対処まで、幅広い治療環境で役立つ可能性があることが示されています。
米南カリフォルニア大学脳創造研究所の研究によれば、音楽は子どもの学習や行動の向上にも役立つ可能性があり、楽器を習う子どもたちの認知機能が向上することが判明しています。

南カリフォルニア大学の音楽教育と学習の准教授であるベアトリス・イラリは、音楽を学び始めたばかりの6歳と7歳の子どもたちを追跡した研究を行いました。

彼らの音楽的、社会的、認知的、脳の発達は、MRI と EEG スキャン、行動テストと音楽テストを使用して追跡されました。

数年にわたる研究で、音楽に取り組んでいる子どもたちは、計画を立て、注意を集中し、記憶し、複数のタスクをやりくりすることを可能にする精神的プロセスである実行機能のスコアが高いことが示されました。
また、過活動や攻撃性もあまりありませんでした。

香港のドレミ音楽療法センターの創設者ヤウ・ワンはそれは当然だといいます。

音楽を聴いたり、演奏したりすることはポジティブな経験になる可能性があると彼女は言います。
音楽は、心の傷を抱えている人にとって心を動かすものとなります。
フラストレーションを軽減し、管理するのに役立つとワンは言います。

「私たちは、彼が完璧な記憶力を持っており、そして音楽が心を落ち着かせる影響を与えたことを目にしました」

ワンが自閉症の少年をそう言います。

米国の作業療法士ケリー・マーラーによる最近の研究では、自閉症、トラウマ、うつ病を持つ人の中には内受容スキルが十分に機能していない可能性があることが示されています。
内受容とは、自分の体の中で何が起こっているのかを感じて理解し、どのように反応すればよいかを知る感覚を指します。
たとえば、喉が渇いたと感じると、脳は水を飲むように促します。

正常な内受容意識を持つ人は、自分の気持ちを認識し、それに反応することができます。
しかし、自閉症の子どもたちはこれができないことが多いとワンは言います。

「そして、これは感情の認識にも及びます。
優れた内受容スキルを持つ人は、他人の感情だけでなく自分自身の感情にもどう反応するかを理解しています。
音楽を聴くことに、楽器を演奏すること、音楽によるそれらは、さまざまな感情を促し、優れた内受容スキルを持たない人々の感情認識を発達させるのに役立ちます」

子どもが幸福、怒り、フラストレーションなどの感情を区別できるようになる。
そうすると、それらの感情にどう対処するか、感情のエスカレートを防ぐ方法を学び始めることができ、感情のコントロールをより良く維持するのに役立つのです。

子どもたちは活気のある音楽に合わせてドラムを叩いたり、横になって内省的な音楽を楽しんだりするところから始まります。

「成長にあわせて、自己表現の手段として、そして達成感と自信を築くためにピアノを教えます」

6歳で入学しただったヤン・ホン・ユエについて、ワンは説明します。

「彼は自閉症です。
理路整然と話すことができず、話しかけられた言葉を繰り返すことしかできませんでした。
通常の学校では過ごすことができませんでした。
しかし、ここにきて数回練習すると、彼が完璧な記憶力を持っており、音楽が彼に非常に心を落ち着かせる影響を与えていることがわかりました」

自閉症の子どもたちにとって、細かい運動能力を磨くのは簡単ではないといいます。
ピアノを習うことで運動能力を高めたヤンの場合のように、楽器を学ぶことはこれらの能力を伸ばすのにも役立ちます。
また、ヤンは、音楽を通じて感情について学ぶにつれて、感情スキルも向上しました。
最終的にヤンは、英ロンドン王立音楽学校の関連委員会で卒業証書レベルの試験を受けるまで成長しました。

ワンにとって最もやりがいを感じた瞬間は2022年に訪れました。
15年間の勉強を経て、イースト・ウェスト芸術協会が主催する第5回香港パシフィック・ピアノ・オープン・コンクールで、ヨンが部門で第1位を獲得したからです。
このコンクールは、障害を持つ子どもたちのための部門を設けた初のコンクールでした。
音楽に伴う楽しさや成功、その経験が息子の自尊心を育むのに役立ったと母親からはとても感謝されました。

「すべての子どもには、成功と成果を享受する資格があります」

自閉症スペクトラムの子どもたちは、その多くがパターンや数学について信じられないほどの理解を示しているにもかかわらず、学業で遅れをとることが多いとワンは言います。

音楽は、曲を学ぶときでも、音楽の試験を受けるときでも、本当の達成感を得る機会を提供します。
音楽を聴いたり、楽器の演奏を習ったりすることは、子どもたちに多くの機会を与えます。
ストレスを解消し、集中し、アイデンティティを築き、仲間と協力し、自分自身の何かを見つける機会となります。

そして、これらすべてが組み合わさって自信を築きます。
結果的には、認知能力も向上しているはずです。

(出典・画像:香港South China Morning Post

うちの子も、小さな頃からずっと音楽は大好きです。

お気に入りの曲であれば、踊りだします。

最近は、私も大好きなYOASOBIの曲で発動しています。

自閉症の子の「体の中」のテンポにあわせた音楽療育の可能性

(チャーリー)


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