
この記事が含む Q&A
- 自閉症の人が仕事で成功するには何が重要ですか?
- 個々の特性に合わせたサポートと理解が重要です。
- 自閉症の人が建設業界で働く際のメリットは何ですか?
- 高い集中力や信頼性、忠誠心など多くの貴重なスキルを発揮できます。
- 自閉症の人たちに向けて、どのようなメッセージが伝えたいですか?
- あきらめずに夢を追い続けてください、あなたは「特別」ではなく「普通の人」です。
ニュージーランドの自閉症支援団体「Autism NZ」によると、同国の人口の1~2%(約9万3,000人)が自閉スペクトラム症(ASD)を抱えています。
4月の「自閉症受容月間」に合わせ、ワイカト・ヘラルド紙の記者マリーシャ・クマールさんは、建設業界で働く若者、**トッド・メイトランドさん(ワイヒ在住)**に話を聞きました。
トッド・メイトランドは4年前、視力が片方の目にないというハンディキャップを抱えながらも、地元の建設会社「ブラウンモア・コンクリート社」で見習いとして働き始めました。自閉スペクトラム症のある人がこの会社で働くのは、彼が初めてです。
自閉スペクトラム症とは、人とのコミュニケーションや学習、行動、社会的な関わり方に特徴があらわれる、発達に関わる特性のひとつです。
「大きなコンクリート板を運ぶのが本当に楽しいんです」と語るトッドは、最近、これまでで一番大きな仕事──1800平方メートルの牛舎にコンクリートを流し込む作業──をやり遂げたばかりです。
彼の上司であるレックス・ポッドモア社長は、トッドが仕事を理解しやすいように、ゆっくり説明したり、視覚的な学習ツールを使ったりと工夫を続けてきました。
「社長はいつもすごく親切にしてくれます」
ポッドモア社長も「ちょっとやり方を変えるだけでした」と語ります。
「少しだけ時間をかけて、私たちの日常のやり方を少しだけトッドに合わせただけなんです。
そもそも『普通』なんてあってないようなものですからね。
彼はチームの一員であり、大切な仲間です。
自閉症の人たちは『普通』じゃないわけじゃないし、旗を掲げているわけでも、壊れているわけでもない。
ただの普通の人なんです」
この4月、自閉症支援団体「オルトゥギャザー・オーティズム」と、建設業の職業訓練を行う団体「BCITO」は連携し、トッドのように自閉症のある人たちにも建設業界でのキャリアを検討してもらえるよう、全国的な啓発活動を始めました。
オルトゥギャザー・オーティズムの代表キャサリン・トレゾナはこう話します。
「自閉症のある人たちは、誤解されたり、孤立したり、差別を受けたりすることが多いです。
でも実際には、職場でとても貴重なスキルを発揮できる人がたくさんいます。
集中力の高さ、信頼性、忠誠心、複雑なシステムを理解する力などが強みです」
BCITOのグレッグ・ダーキン理事も「多様な人が働ける職場づくりを支援したい」と話します。
「神経的な違い、身体的な障がい、学習の困難さを抱える人たちが、建設業でやりがいのあるキャリアを築く事例はたくさんあります。
オルトゥギャザー・オーティズムと連携して、より多くの人たちが見習い制度を利用できるよう支援しています」
ポッドモア社長も、他の企業にも自閉症のある人の雇用を勧めています。
「彼らは『特別』じゃないんです。
企業側が少しやり方を変えればいいだけ。
トッドを雇って本当に良かったと心から思っています。
彼はとても素晴らしい人です」
トッドは仕事だけでなく、バスケットボールにも情熱を注いでいます。
11歳から続けてきたこのスポーツで、昨年はニュージーランド初の知的障害者向けハイファンクションチーム「ファイカハ男子チーム」の副キャプテンに選ばれました。
「黒と白のニュージーランドカラーのユニフォームを着るのは最高にクールです。
プロの選手になるのが夢なんです。
体の調子次第だけど、そこを目指して頑張りたいです」
最後に、トッドは同じような立場の人たちにこんなメッセージをくれました。
「とにかく、あきらめないで。夢は捨てないで」
(出典・画像:ニュージーランドWaikato Herald)
みんなを元気づけてくれる存在ですね。
(チャーリー)