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自閉症スペクトラム障害とは何か?多様な個性と支援のあり方

time 2025/06/12

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自閉症スペクトラム障害とは何か?多様な個性と支援のあり方

この記事が含む Q&A

自閉症スペクトラム障害(ASD)とはどのような特徴があるのでしょうか?
社会的なコミュニケーションや制限された反復行動など、多様な特徴があり個人差があります。
自閉症のレベルはどのように判断されるのですか?
生活や支援の必要性に基づき、レベル1からレベル3まで分類されますが、重さや重症度を示すものではありません。
自閉症は治すべき病気ですか?
いいえ、自閉症は自然に生じる特徴のひとつであり、理解と受け入れが重要とされています。

自閉症という言葉を聞いたとき、多くの人は特定の特徴を思い浮かべるかもしれません。

しかし実際には、「自閉症スペクトラム障害(ASD)」という名前の通り、自閉症は幅広い違いがある「スペクトラム」であり、一人ひとりが世界を体験する方法もさまざまです。

米ユタ大学のハンツマン精神健康研究所で自閉症スペクトラム障害クリニックの臨床ディレクターを務める心理学者、ナタリー・ビュアガーは、自閉症について「主に社会的なコミュニケーションの面に影響する神経発達の特徴」と説明しています。

「自閉症のある人がみんな同じ体験をしているわけではありません」

自閉症には中心となる特徴のほかに、医師たちが「制限された反復的な行動」と呼ぶものが見られることもあります。
これには、強い興味の対象、感覚の受け取り方の違い、柔軟に対応することの難しさ、そしてさまざまな繰り返しの行動などが含まれます。

しかし、こうした定義だけでは、自閉症の本当の姿のごく一部しか捉えていません。

「一つの型にはめることはできません」とビュアガーは言います。

「たとえばコミュニケーションや社会的なやりとりといった中心的な基準ですら、その中での体験は非常に幅広いのです」

言葉で自分を表現しない人もいれば、とてもおしゃべりな人もいますが、そうした人でも表情を読み取ったり、声のトーンを理解したりすることが苦手なことがあります。
人と積極的に関わろうとする人もいれば、一人でいることや決まったパターンを大切にする人もいます。

これは感覚の受け取り方にも当てはまります。
ある人にとっては大きな音や特定の感触がつらく感じられることもあれば、逆に強い感覚刺激を求める人もいます。

自閉症について米国では「レベル1、レベル2、レベル3」といった言い方をすることがありますが、これは多くの人が考える「重さ」や「重症度」を意味しているわけではありません。

「レベル3だからといって“重い自閉症”ということではありません。
これは、その人が日常生活でどのくらいサポートを必要とするかを示しているだけなのです」

たとえばレベル1と診断された人は、ほとんど自立して生活でき、少しのサポートで済む場合があります。
一方、レベル3とされる人は、コミュニケーションや変化への対応などの面で、より一貫したサポートが必要なことがあります。

ビュアガーが自閉症についてとくに望んでいる大きな変化の一つは、「自閉症は直すべき問題」という見方から、「どう理解し、受け入れるか」へと意識が移っていくことです。

「自閉症は自然に生じる特徴のひとつです。それは“治すべき病気”ではありません」と彼女は話します。

「大切なのは、『自閉症のある人がこの環境の中でよりよく過ごすにはどう支えればよいか』と考えることであり、社会の側が“普通”の基準にあわせることを求めるのは生産的でも思いやりがあるともいえません」

もちろん、自閉症のある人が自分のスキルや対処法を身につける努力をしないわけではありません。
誰しもと同じように、自分なりに成長し、適応し、学びながら生きていきます。
ただし、そのすべての責任を本人だけに負わせるべきではありません。

人の脳や考え方には自然な違いがある、という「ニューロダイバーシティ(神経多様性)」という考え方が少しずつ広がっています。「自閉症」「定型発達」「ニューロダイバージェント」などの言葉もよく使われるようになってきました。
しかし、進歩が見られる一方で、ビュアガーは「まだ道半ば」だと語ります。

「研究も、社会での見えやすさも、そして支援を求める声も増えていますが、それでも本当の意味での“受け入れやすさ”や“支援のしやすさ”には、まだ課題が多いのが現状です。
正しい方向に進んでいるのは確かですが、十分とは言えません」

「自閉症は一言で説明できるものではなく、単なるラベルでもありません。
それぞれの人がもつ力や困難、経験は誰一人として同じではありません」

自閉症は、その人の個性や可能性を消してしまうものではありません。
ただ脳の働き方が違うというだけであり、その違いこそが理解され、支えられ、尊重されるべきものです。

「自閉症と診断されたからといって、夢をあきらめる理由にはなりません。
ただ、その夢への道筋が少し変わるだけなのです」

(出典:米ユタ大学医学部)(画像:たーとるうぃず)

「その夢への道筋が少し変わるだけ」

まわりも、ご本人も、思い出してください。

「自閉症とは?」ゲームを通じて語られた当事者の真実。研究

(チャーリー)


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