
この記事が含む Q&A
- 夏の変化に対して自閉症のお子さんはどのように対応すれば良いですか?
- 前もって計画を立て、静かな環境や安心できるアイテムを整えることが大切です。
- お子さんの夏休みの予定をわかりやすく伝えるにはどうしたら良いですか?
- 簡単なイラストやシールを使ったカレンダーやソーシャルストーリーがおすすめです。
- 旅行中にお子さんが安心して過ごせるために親が心がけることは何ですか?
- いつものルールやリズムをできる範囲で維持し、サポートや休憩を多めにとることです。
夏は、さまざまな変化が訪れる季節です。学校で決まっていた毎日の流れが終わり、新しい生活リズムが始まります。
多くのご家庭にとって、夏休みは特別な非日常であり、大きな変化のときです。
旅行に出かけたり、親戚や友人と過ごしたり、家の近くで新しい場所を訪れたり、サマースクールなど新しい体験をすることも多いでしょう。
お子さんが自閉症の場合、こうした変化は「成長のチャンス」でもあり、「ちょっとした挑戦」でもあります。
夏にやってくる変化にうまく対応するための、実践的なヒントをいくつかご紹介します。
1. 変化を前向きに受け入れる
自閉症のお子さんにとって、変化は新しいスキルを身につける絶好の機会でもあります。慣れない人と会ったり、見知らぬ場所へ出かけたりすることで、少しずつ社会性も育ちます。
うまくいかないこともあるかもしれませんが、親子で新しい経験を積み重ねていきましょう。
2. カレンダーを作ってみる
「明日はどんな日になるか」を見通せるように、簡単なカレンダーを作ると良いです。シールやイラスト、子どもがわかりやすい言葉で予定を書き込み、翌日の流れを伝えてあげましょう。
たとえば、「明日は家で朝ごはんじゃなくて、飛行機の中で食べるよ」と伝えてあげると安心です。
毎晩寝る前や朝ごはんのときに、家族でカレンダーを見ながら予定を確認するのもおすすめです。
3. ソーシャルストーリー(絵本やイラスト)を活用する
新しい体験や、初めて会う親戚、飛行機に乗ることなど、普段と違う出来事を説明した「ソーシャルストーリー」を用意しておくと安心です。
インターネットで購入したり、自分で簡単な絵やイラストを描いて作ることもできます。
「同じような経験をした子どものお話」を通じて、不安をやわらげてあげましょう。
4. 飛行機や電車の移動は事前に練習を
もし空港や駅に不慣れなら、出発の数日前に下見に行ってみるのも良い方法です。
その場所で、「ここで切符を買うよ」「ここで荷物を預けて、到着したら返してもらうよ」など、具体的に説明しましょう。
空港には「静かな待合室」や「授乳室」が用意されていることも多く、騒がしい場所が苦手なお子さんにとっては助かる場所です。
5. 配慮をお願いしてみる
航空会社によっては、搭乗時に優先して案内してもらえたり、逆に最後に乗ることもできます。お子さんに合ったタイミングを選びましょう。
6. 車での旅行は休憩を多めに
車での移動は、いつもよりこまめに休憩を取るとスムーズです。トイレ休憩や、少し外で体を動かす時間を多めに入れてあげることで、トラブルも減りやすくなります。
7. 「安心アイテム」と遊び道具を持っていく
お子さんが落ち着けるぬいぐるみや本、お気に入りのお菓子、映画など、できるだけ「いつものもの」を旅先にも持っていきましょう。
それに加えて、ぬりえやパズル、知育ゲーム、動画など、飽きずに楽しめるものを多めに準備しておくのがおすすめです。
小さい子には「色塗り絵本」など、簡単で汚れにくいものも人気ですし、大きい子にはレゴブロックも役立ちます。
8. できるだけ普段のリズムを維持する
旅行中に普段通りの生活リズムをすべて守るのは難しいですが、家庭で行っている支援や声かけ、ルールなどはできる範囲で続けてみましょう。
そうすることで、「どこにいてもおうちと同じルール」という安心感が生まれます。
9. 事前にサポートを頼んでおく
「いつもと違うことで困るかも」と思ったときは、あらかじめ家族や親せき、友人にお世話を頼んでおくと安心です。
たとえば、「朝は一人が早起きしてお世話」「夜のお風呂はもう一人が担当」など、役割分担を決めておくと、トラブルが起きても慌てずに済みます。
もし一人で子育てをしている場合も、さきほどのような工夫やアクティビティを利用して、親御さん自身が少しでもリフレッシュできる時間を作ることが大切です。
10. 親御さん自身にもやさしくすること
自閉症のお子さんを育てるとき、つい「子ども優先」になりがちですが、ご自身のことも忘れずに。
旅先でのちょっとした楽しみや、リラックスできる時間を大切にしてください。
ストレスが少し和らぐだけで、お子さんにも良い影響が出ます。
完璧にやろうとしなくても大丈夫です。
どんなご家庭でも、旅行や夏休みの「非日常」では普段どおりにいかないものです。
失敗やうまくいかないことも、みんな経験しています。
ご自身を信じてください。
お子さんとご家族のことを一番よくわかっているのは、やはり親御さんご自身です。
もし「これはうちには合わないな」と思うアドバイスがあっても、気にしなくて大丈夫。どの家庭も違って当然です。
夏は楽しい思い出を作る季節です。
すべての子どもとご家族に、素敵な経験が訪れますように。
少しの準備と工夫で、自閉症のお子さんも、ご家族みんなも、夏休みを十分に楽しめます。
(出典:米Autism Parenting Magazine)(画像:たーとるうぃず)
無理はしないで、親子ともに楽しみましょう!
(チャーリー)