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犬がもたらす安心感。発達障害のある子どもと家族の変化

time 2025/07/31

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犬がもたらす安心感。発達障害のある子どもと家族の変化

この記事が含む Q&A

犬との暮らしは発達障害の子どもに良い効果をもたらすのでしょうか?
社会性や感情表現の改善など、多くの研究からポジティブな影響が示されています。
自閉スペクトラム症(ASD)の子どもに犬を飼うことはどんな効果がありますか?
不安やストレスの軽減、情緒の安定、言葉や注意力の向上などが報告されています。
犬との暮らしを始める際に考慮すべきことは何ですか?
費用や世話の負担、子どもの犬への適応、家族全体の協力が必要です。

犬との暮らしが、発達障害のある子どもたちとその家族に「ポジティブ」な影響をもたらすことが、初めての体系的なレビューによって明らかになりました。

アイルランドのトリニティ・カレッジ・ダブリンを中心とする研究チームは、犬を飼うことが発達障害のある子どもにどのような影響を与えるのかについて、これまでに発表された論文を詳細に分析しました。

とくに注目されたのは、自閉スペクトラム症(ASD)の子どもに対する効果です。
今回のレビューに含まれた16本の論文のうち、15本がASDの子どもたちを対象にしていました。

レビューでは、犬との生活が社会性や感情の発達にもっとも大きな効果を与えていることがわかりました。
たとえば、落ち着きやすくなったり、人との関わりが増えたり、感情表現が豊かになったりする様子が報告されていました。

犬との絆が強いほど、安心感を得られたり、眠りにつきやすくなったり、ストレスが軽減されたりするなど、情緒面での良い変化が多く見られたといいます。

また、犬とのやりとりを通じて言葉数が増えた、注意力が高まった、身のまわりのことに意欲を持てるようになったという認知面での改善もいくつかの論文で報告されていました。

犬の世話をする中で、食器の準備や毛づくろいを手伝うといった動作が増え、細かい手の動きや、体の使い方が上達するという報告もあります。
運動不足になりがちな子どもたちが、犬といっしょに歩くことで歩行テンポや姿勢が改善されたという例もありました。

さらに、犬との生活が子ども本人だけでなく、家族全体の関係性やストレスにも良い影響をもたらすことが、多くの研究で共通して報告されていました。

たとえば、犬といっしょに出かける機会が増えて家族の行動範囲が広がった、家の中での会話や笑いが増えた、親の不安やストレスが軽減されたという声が多数あがっています。

一部の研究では、親のストレスホルモンであるコルチゾールの値が実際に下がっていたことも確認されています。

犬を飼うことの負担や課題についても、いくつかの研究で言及されています。
しつけや健康管理の費用、掃除や旅行の制限などの問題にくわえ、子どもが犬に対して予期せぬ行動をとる心配もあります。

それでも、家族の多くは「犬の存在による効果が、負担を大きく上回る」と感じているようです。

今回のレビューでは、ラブラドール・レトリバーやゴールデン・レトリバーなどの中型~大型犬が多く登場していました。
家庭内に複数の動物がいるケースもあり、犬以外の影響も完全には分離できない点も指摘されています。

また、研究方法にはバラつきがあり、標準化された評価尺度を使っている研究は少なく、主観的な報告に頼る傾向があることも、今後の課題とされています。

さらに、ASD以外のNDD(ADHD、知的障害、学習障害など)については、研究がほとんど行われておらず、犬との生活がどう影響するかは不明です。

研究チームは今後の課題として、より多様な発達障害に対して、標準化された方法で犬との暮らしの影響を調べる大規模な研究を呼びかけています。

また、「犬とのふれあい時間の長さ」「犬との絆の強さ」「犬の年齢や性格」といった要因が、どのように子どもの発達に作用するかについても、くわしく検討する必要があると述べています。

同時に、犬との生活が子どもの脳や免疫、腸内環境に与える影響を分子レベルで探る研究も今後期待されます。
すでに乳児期に犬と接することで、アレルギーや喘息になりにくくなるといった報告もあり、「衛生仮説」や「腸内細菌の多様性」との関係が注目されています。

犬がもたらす影響は、単なる「癒やし」だけにとどまりません。
社会性の発達、情緒の安定、体の発達、親の心のケア、家族関係の変化まで、さまざまな面に広がっていることが示されました。

もちろん、犬を飼うことは簡単なことではありません。
責任と時間、経済的な余裕が必要です。
子どもや家族の状況によって向き・不向きもあります。

それでも、薬に頼らない支援の一つとして、犬との暮らしが持つ可能性を、私たちはもっと真剣に考えてみるべきかもしれません。

今後の研究が進めば、「犬との出会い」が、発達障害のある子どもたちとその家族にとって、よりよい暮らしへの第一歩となる日がくるかもしれません。

(出典: Pediatric Research)(画像:たーとるうぃず)

わんちゃんいいですね。

うちの子にもいつかと思い続けています。

自閉症の子どもと家族に一番良いペットになる動物はなに?

(チャーリー)


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