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自閉症の幼い子どもに多い睡眠の乱れと日中の行動との関係

time 2026/01/31

この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。

自閉症の幼い子どもに多い睡眠の乱れと日中の行動との関係

この記事が含む Q&A

自閉症のある幼い子どもでは睡眠の問題はどの程度多く見られますか?
約7割の子どもが2つ以上の睡眠の問題を抱え、睡眠問題が目立つ傾向があります。
睡眠の状態は日中の行動にどの程度影響しますか?
睡眠は日中の行動のばらつきの約4割〜6割を説明し、睡眠の影響のほうが大きい傾向があります。
睡眠の問題を早期に評価・支援する意義は何ですか?
睡眠改善が行動困難を和らげる第一歩になり得る可能性が示されています。

自閉症のある子どもを育てていると、「なかなか寝てくれない」「夜中に何度も起きる」「朝が早すぎる」といった悩みを抱える家庭は少なくありません。
一方で、日中には、落ち着きのなさ、かんしゃく、注意の続きにくさ、イライラしやすさなど、さまざまな行動の困りごとが見られることもあります。

多くの保護者は直感的に、「睡眠の問題と行動の問題は関係していそうだ」と感じています。
しかし、これまでの研究の多くは、学齢期以降の子どもを対象としたものが中心で、診断直後のとても若い年齢の自閉症児を詳しく調べた研究は限られていました。

今回紹介する研究は、その空白を埋める重要な試みです。
ラ・トローブ大学の研究チームは、自閉症と診断されたばかりの幼い子どもたちを対象に、睡眠の状態と日中の行動の関係を同時に詳しく調べました。
この研究に参加したのは、49か月以下で自閉症と診断された173人の子どもたちです。
多くの子どもは、2歳半前後で診断を受けていました。

保護者は、子どもの

・寝つきまでの時間
・夜中の目覚め
・睡眠時間の長さ
・日中の眠気や昼寝の様子

などについて質問票に回答しました。
さらに、子どもの

・多動
・攻撃的な行動
・注意の問題
・不安
・抑うつ的な様子
・特徴的な行動

といった行動面についても評価しました。

研究者たちは、保護者の詳しい記述と年齢ごとの標準的な睡眠時間の目安をもとに、子どもたちを次の3つのグループに分類しました。

・睡眠の問題がみられない子ども
・年齢相応によくある範囲の睡眠の問題がある子ども
・年齢から考えて明らかに重い睡眠の問題がある子ども

このように、単なる点数だけでなく、「年齢に対してどの程度ずれているか」という視点で睡眠を評価した点が、この研究の大きな特徴です。

まず明らかになったのは、睡眠の問題をもつ子どもが非常に多いという事実でした。
参加した子どものうち、およそ7割が、2つ以上の睡眠の問題を同時に抱えていました。
とくに多かったのは、

・睡眠時間が短い
・寝つくまでに時間がかかる
・夜中に目を覚ます

という問題です。

一方で、「睡眠に問題がまったくない」と分類された子どもは全体の約16%にとどまりました。
つまり、自閉症と診断される時期のごく早い段階から、多くの子どもがすでに睡眠の困難を経験していることが示されました。

次に、睡眠の状態と日中の行動の関係を調べたところ、はっきりした傾向が見えてきました。
重い睡眠の問題をもつ子どもは、睡眠に問題のない子どもに比べて、

・多動が強い
・注意の問題が多い
・攻撃的な行動が多い
・特徴的で風変わりに見える行動が多い

といった傾向がありました。

一方で、軽度〜中等度の睡眠の問題をもつ子どもと、睡眠に問題のない子どもとの間では、大きな差が見られない行動項目もありました。
このことから、睡眠の問題が「重くなるほど」行動面の困難も目立ちやすくなる可能性が示唆されます。

さらに研究者たちは、
「睡眠が行動に影響しているのか」
「行動が睡眠に影響しているのか」
を統計的に詳しく分析しました。

その結果、両方向の関係が確認されました。

・行動の困難が強いほど、睡眠の問題も重くなりやすい
・睡眠の問題が重いほど、日中の行動の困難も強くなりやすい

つまり、睡眠と行動は互いに影響し合う関係にあります。
しかし、より重要な発見はここからです。

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睡眠の状態が日中の行動をどれくらい説明できるかを調べると、睡眠は行動のばらつきの約4割〜6割を説明していました。
一方で、行動の状態が睡眠を説明できる割合は約2割〜3割でした。
この結果は、行動よりも、睡眠のほうが日中の行動に与える影響が大きいことを示しています。

とくに強く関連していたのが、

夜中に目を覚ますこと(夜間覚醒・睡眠中の異常行動)

でした。


夜中に何度も起きる子どもほど、

・多動
・注意の問題
・不安
・抑うつ的な様子
・攻撃的な行動

が強い傾向にありました。
また、重い睡眠の問題をもつ子どもでは、

・寝つきの悪さ
・睡眠時間の短さ

も、行動の困難と関連していました。

一方で、自閉症の特性の強さそのものと、睡眠の問題との間には明確な関連は見られませんでした。
これは重要なポイントです。
睡眠の問題は、
「自閉症の特性が重いから仕方ない」
というものではなく、別個に評価し、支援を考えるべき課題であることを示しています。

また、適応行動(生活の中でのスキル)について見ると、睡眠の問題がある子どもは、社会性のスキルがやや低い傾向がありました。
友だちとの関わり、周囲への関心、やりとりの力などが、睡眠の乱れと結びついている可能性があります。

この研究が伝えている最大のメッセージは、次の点です。

自閉症のある幼い子どもの睡眠の問題は、単なる「生活リズムの問題」ではない。早い段階から、子どもの心身の状態や行動に大きな影響を及ぼしている。
そして、睡眠の問題に早く気づき、支援することが、行動の困難を和らげる第一歩になる可能性がある。

ということです。
保護者や支援者にとって、「行動の問題」に目が向きやすいのは自然なことです。
しかし、その背景にある睡眠の質に目を向けることで、違った支援の道が見えてくるかもしれません。

・なかなか寝つけない
・夜中に頻繁に起きる
・睡眠時間が明らかに短い

こうした様子が見られる場合、それは「様子見」で終わらせるのではなく、相談や評価につなげる価値のあるサインです。

この研究は、自閉症のある子どもたちの「困難」だけでなく、支援によって変えられる可能性のあるポイントを示しています。
睡眠を整えることは、子どもが本来もっている力を発揮しやすくする土台づくりでもあります。
小さな改善が、日中の大きな変化につながる。
その可能性を教えてくれる、重要な研究です。

(出典:Journal of Autism and Developmental Disorders DOI: 10.1007/s10803-025-07170-7)(画像:たーとるうぃず)

うちの子も小さな頃は眠らなくてたいへんでした。

私もへろへろでした。

しかし、薬を飲むようになってからは、よく眠ってくれて、私も眠れるようになりました。

何より、昼間はうちの子がぼーっとしていることが少なく、活動的になったように思います。

私も薬を使うことに抵抗が少しありましたが、医師の指示があれば、適切に薬を使うことをオススメします。

自閉症と睡眠の不安定さに夜の「弱い光」が関係する可能性

(チャーリー)

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