この記事が含む Q&A
- 親の関わり方はADHDの子どもの行動や感情にどのように影響しますか?
- 親の温かい関わりは問題を小さく、拒絶や過保護は問題を強める傾向があります。
- スマートフォン依存は親の関わりと子どもの問題の関連をどのように媒介しますか?
- スマホ依存の強さが高いほど行動・感情の問題が強くなり、親の関わり方と問題の関係の一部を説明することがあります。
- 年齢特性として思春期はどのような点が特に注目されましたか?
- 思春期ではスマホ依存傾向が強く、親の関わり方との関連がよりはっきり見られました。
スマートフォンは、子どもたちにとって身近で当たり前の存在になっています。
とくにADHDのある子どもにとっては、その使い方が日々の行動や気持ちにどのような影響を与えるのか、多くの関心が集まっています。
今回の研究では、ADHDのある子どもたちにおいて、家庭での親の関わり方が、子どもの行動や感情の問題にどのようにつながっているのかを調べました。
そしてその間に、「スマートフォンの使いすぎ」がどのような役割を果たしているのかにも注目しています。
この研究は、中国の臨海市にある母子保健病院の小児発達専門外来で行われました。
対象となったのは、6歳から17歳までのADHDと診断された232人の子どもとその保護者です。
子どもたちの行動や感情の状態、スマートフォンの使用状況、そして親の育て方の特徴について、それぞれ質問票を使って詳しく調べられました。
まず、この研究では「親の育て方」をいくつかのタイプに分けています。
子どもに対して愛情や理解を示す「情緒的な温かさ」、批判や拒否的な態度をとる「拒絶」、過度に干渉したり守りすぎたりする「過保護」といった特徴です。

分析の結果、はっきりとした傾向が見えてきました。
親が拒絶的であったり、過保護すぎたりする場合、子どもの行動や感情の問題は強くなる傾向がありました。
一方で、親が温かく関わる場合には、それらの問題は少ない傾向が見られました。
ここまではこれまでの研究とも一致する部分ですが、今回の研究で特に注目されたのは、その間に「スマートフォン依存」が関わっている点です。
子どもたちのスマートフォンの使い方を調べたところ、使いすぎやコントロールの難しさといった依存的な傾向が強いほど、行動や感情の問題も強いことがわかりました。
そしてさらに重要なことに、親の育て方と子どもの問題の関係の一部は、このスマートフォン依存を通して説明できることが示されました。
たとえば、親が拒絶的であったり過保護であったりする場合、その影響の約3割が、スマートフォン依存を通して子どもの問題につながっていました。
逆に、親が温かく関わる場合も、その良い影響の一部が、スマートフォンの使い方を通して子どもに伝わっていることが示されました。
つまり、親の関わり方は直接的に子どもに影響するだけでなく、スマートフォンとの関係を変えることで、間接的にも影響しているということです。

なぜこのようなことが起こるのでしょうか。研究ではいくつかの考え方が示されています。
ひとつは、家庭での関係が満たされていないと、子どもがスマートフォンに逃げ場を求める可能性があるという考え方です。
親からの拒絶や過度なコントロールを感じると、安心できる場所や自分らしくいられる場所を求めて、スマートフォンの中の世界に強く引き寄せられるのかもしれません。
もうひとつは、ADHDの特性との関係です。
ADHDのある子どもは、衝動的に行動したり、報酬に強く反応したりする傾向があります。
そのため、すぐに楽しい刺激が得られるスマートフォンは、とても魅力的な存在になります。
そして一度使い始めると、やめることが難しくなることがあります。
このような背景が重なることで、家庭での関係とスマートフォンの使い方が結びつき、それがさらに行動や感情の問題に影響していく可能性があると考えられます。
また、年齢による違いも見られました。
とくに思春期の子どもでは、スマートフォン依存の傾向が強く、親の関わり方との関係もよりはっきりしていました。
思春期は自立や友人関係が重要になる時期であり、スマートフォンの影響も大きくなりやすいと考えられます。
この研究から見えてくるのは、ADHDのある子どもの支援を考えるときに、「親の関わり方」と「デジタル機器との付き合い方」の両方を一緒に考えることの重要性です。

これまでの支援では、親の関わり方を改善するプログラムが効果を持つことが知られていました。
しかし今回の結果は、それだけでは十分ではない可能性を示しています。
スマートフォンの使い方にも目を向け、適切なルールやサポートを組み合わせることが、より良い結果につながるかもしれません。
ただし、この研究にはいくつかの注意点もあります。
今回の調査は一時点でのデータをもとにしているため、原因と結果の関係を完全に確定することはできません。
また、質問票による評価であるため、実際の行動を直接観察したものではないという限界もあります。
それでもこの研究は、現代の子どもたちを取り巻く環境の中で、どのように問題が生まれ、どのようにつながっているのかを考える重要な手がかりを示しています。
スマートフォンは、便利で楽しい道具である一方で、使い方によっては子どもの生活や心に影響を与える存在でもあります。
そしてその使い方は、家庭の中での関係とも深く結びついています。
子どもの行動や気持ちを理解しようとするとき、その背景にはどのような環境や関係があるのか。
そして、日常の中でどのような習慣が積み重なっているのか。
その両方に目を向けることが、これからますます大切になっていくのかもしれません。
(出典:Frontiers in Psychology DOI: 10.3389/fpsyg.2026.1729300)(画像:たーとるうぃず)
スマホに夢中になってしまうことをただ、止めさせようとしてもなかなかうまくいきません。
どうして、そうなってしまうのか、親の自分についても考える必要がありますね。
(チャーリー)
























