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自閉症の人の多くに、ロボットのような歩行など運動機能の問題も

time 2017/06/02

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自閉症の人の多くに、ロボットのような歩行など運動機能の問題も

6歳のメイシーにとって、昼食の時間は勉強をちょっと休める休憩時間ではありません。
むしろ、不満がたまる時間です。
母親のビクトリアが、メイシーの昼休みを説明します。
特別支援の教室では、メイシーのクラスメイトたちが大きな正方形のテーブルに座って、おしゃべりしながら、それぞれ食べ物をとったりしながら過ごします。
一方でメイシーは、部屋の隅に小さなテーブルを置いて、本棚に顔を向けています。
右手でスプーンをつかんで、ごはんを乗せますがうまくできず、こぼしてしまいます。
メイシーは、友だちと一緒に大きなテーブルに座りたいと思っていますが、食べることに集中をして、他に気を紛らわせないように離れて座っているのです。
食事が終わると、子どもたちは遊び場へ向かいます。
ヘルメットをつけているメイシーは、介助する人の手をとって、後ろを歩いています。
メイシーは歩くことはできるのですが、しばしば転んでしまいます。
高さをうまく認識できないことが多く、遊具で遊ぼうとしてけがをしたこともあります。
3歳になって、歩きはじめました。
砂場から出ようとして、転んで顔をぶつけて、歯が抜けたこともあります。
階段を少なくして、部屋のレイアウトも変えないように母親がしたので、家の周りではメイシーが困ることはありません。
メイシーの母親、ビクトリアの一番の心配はメイシーの運動機能の問題が、今後の生活に与える影響です。
メイシーは、まわりとのやりとりが上手で、大人とのやりとりも好きです。
しかし、メイシーのことを理解できていないと、機嫌が悪くなります。
昨年、メイシーは兄といとこが家の前で自転車に乗るのを見ました。
兄が、自転車を倒して休憩をしていると、メイシーは何とかして自転車に乗ってみようとしました。
しかし、乗ることはできませんでした。
母親はそれを思い出します。
「メイシーはよろけていました。ケガをするのではないかと怖くなりました。」
母親は自転車からメイシーを離れさせると、メイシーの目から涙をあふれさせながら、叫びました。
「自転車に乗りたい!」
メイシーは、今後の人生においてずっと運動機能の問題をかかえます。
15q重複症候群という先天的な問題をかかえ、そしてこの15q重複症候群の子の多くと同じく自閉症です。
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自閉症の人々の約80%は、不器用さ、ロボットのような歩行、メイシーのような深刻な状態に至るまで、何らかの運動機能の問題をかかえています。
米メリーランド州ボルチモアにあるケネディ・クリゲール研究所の神経発達・イメージング研究センターの責任者、スチュワート・モストフスキーが述べます。
「自閉症の子どもが運動機能に問題をかかえるのは、とてもよくあることです。」
よくあることなのに、運動機能の問題は、自閉症の決定的な特徴とはみなされていません。
自閉症の診断には、必要とされていないのです。
まわりとのやりとができないことや、常同行動で、診断がされているのです。
オーストラリアのディーキン大学児童養成センターのディレクター、ニコール・ラインハートはこう言います。
「数年にも渡って、その検証がなされることはありませんでした。」
ラインハートやモストフスキーなどの研究者は、運動機能の問題の根底であるかもしれない、脳の特徴を見つけるために、メイシーのような子どもの動きを正確に測定し研究しています。
運動機能の問題は、乳児期に発症することが少なくないため、自閉症の他の特徴よりも早く、診断ができるようになるかもしれないと考えられ、研究が進められています。
運動機能の問題は、自閉症の人々が社会で過ごしていくためには、困難につながっていくとも考えられます。
周りの環境を探ることに苦労をした子どもたちは、社会的な交流の機会を逃し、コミュニケーションすることや社会的なスキルを学ぶことが難しくなっていきます。
その結果、社会的な関わりができなくなっていくのです。
この考えは議論の余地がありますが、もしこれが正しいのであれば、自閉症の子にはもっと動けるように教えていく療育方法が、他者とのやりとりも助けるということになります。
1943年、レオ・カナーは自閉症と診断をされた最初の11人の子どもの病歴を記録しました。
何人かの親は、歩き始めるのが遅かったとカナー伝えています。
だっこをしても、腕を上げたり、脚をつかんだりすることもありませんでした。
1年後、オーストリアの小児科医ハンス・アスペルガーは自閉症の4人の男の子の奇妙な体の動かし方と姿勢について説明しています。
少年の一人フリッツは、自分の思うように体を動かすことができず、筆跡もひどいものだった。
他の少年についても、どんなにやさしく投げても、ボールをつかむことはできなかったと伝えています。
その後、数十年の間、研究者たちはまわりとのやりとりができない等の自閉症の問題に焦点をあててきました。
しかし、1980年代になって、運動機能の問題についても確認されるようになってきました。
運動機能の問題は人によって異なりますが、自閉症の人のほとんどは、動きにあわせて頭を動かしたり、バランスをとるなどに困難をかかえます。
その結果、シャツのボタンをしめるようなことから、もっと単純な走る、ジャンプする、ボールをキャッチするという日常生活での動きが難しくなります。
これまでの研究では、このような運動機能の困難は、生まれてから早い段階で始まることが示唆されています。
ビデオ分析による研究では、後に自閉症と診断をされた子どもたちは、よく転んだり、眠るのに困る傾向があることが明らかになっています。
また、動きが対称になっていないことも、めずらしくありません。
歩いたり、ハイハイするときに、左右の手足の動きが同じになっていないのです。
まわりの子どもに比べて歩き始めるのが遅かったり、三輪車に乗るような複雑なことができない。
そう、親は医者に伝えるとモストフスキーは言います。
「自閉症の子の親に質問をすると、みんな同じような説明をするのです。」
母親のビクトリアは、メイシーが2歳になるまで歩き始めることなく、それでおかしいと思いました。
メイシーが歩き始めても、しっかり歩くことはできなかったため、
「よっばらいが歩いているように見えた。」
そうビクトリアは言います。
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自閉症の子どもたちが、この運動機能の問題をかかえる理由ははっきりしていません。
しかし、最近の研究ではいくつかの手がかりを得ています。
2400人の自閉症の子を対象にした研究では、自閉症に深く関わるある種のめずらしい突然変異を持った子どもはそうでない子に比べると運動障害が起きる可能性が高いと伝えています。
これは、自閉症の子どもの運動機能障害には、遺伝的なことが関係することを示唆しています。
別の研究では、ある作業を行う際に、体のどの部分が適切に動いていないかを、正確に測定しています。
自閉症の人は何かをする時に、脳や神経が関係すると思われる、特徴的な困難をかかえます。
測定したデータから、実際に何が起きているのかを正確に知ることができるのです。
(出典・画像:米SPECTRUM
言われてみれば、うちの子どもも走る時など左右対称でないですね。
うちの子が通う学校風景を思い出しても、たしかに動きが左右対称でない子は多いです。というかそれがふつうです。
新しい発見というよりも、たしかにそうだ。という感じです。
自閉症の子は運動機能障害もかかえることが多い。その理由がきちんとわかれば、
他の特徴と比べると、運動機能障害は早い時期に現れるので、発達障害の早期診断に使える。ということでした。
 
発達障害の子どもについて、知っておきたいことは他にもあります。
発達障害の困難は余るほどの知覚能力が原因

(チャーリー)

 


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