この記事が含む Q&A
- 自閉症の人の自殺予防で最も重要とされた取り組みは何ですか?
- 医療・専門職の理解と訓練の強化で、特に自閉症特有のコミュニケーション理解や訴えを受け止める姿勢が重視されました。
- 診断アクセスと診断後支援の充実とは具体的にどんな点ですか?
- 診断待機期間の短縮や診断後の継続的な支援、女性・見えにくい自閉症の認識向上などが挙げられました。
- 社会環境へのアプローチとして優先された取り組みは何ですか?
- いじめ対策や教育現場の柔軟な支援、職場の過度な負荷の軽減、休める仕組み、経済的支援、地域での継続的な生活支援などが挙げられました。
自閉症のある人にとって、自殺は決して遠い問題ではありません。
世界的な研究から、自閉症のある人は一般人口に比べて自殺で亡くなるリスクが高いことが示されています。
しかし、「どうすれば防げるのか」という問いに対して、具体的で体系的な答えは、これまでほとんど示されてきませんでした。
この研究は、その空白を埋めようとしたものです。
研究は、イギリスのボーンマス大学スクール・オブ・サイコロジー、ケンブリッジ大学精神医学部自閉症研究センターを中心とする研究チームによって行われました。
オーストラリアのラ・トローブ大学オルガ・テニソン自閉症研究センターなども参加しています。
この研究の特徴は、「専門家が考えた対策」ではなく、「自閉症のある人や支援者が本当に必要だと考えていること」を大規模に集め、その優先順位まで明らかにした点にあります。
研究は二段階で行われました。
第一段階では、自閉症のある人、支援者、遺族に対し、「自閉症のある人の自殺を防ぐために必要な政策や支援」を自由に書いてもらいました。その結果、2373件の提案が集まりました。研究チームはそれらを整理し、重なりを統合して63の具体的なアイデアにまとめました。
第二段階では、その63のアイデアの中から、最も重要だと思うものを最大10個まで選び、順位をつけてもらいました。
参加者は4000人を超えています。
単に意見を集めるだけでなく、「何が本当に優先されるのか」を明確にした点が、この研究の大きな意義です。

集まった声は多岐にわたりましたが、優先順位の高いものは大きく三つの方向に整理できます。
まず一つ目は、医療や専門職の理解と訓練の強化です。
参加者が求めたのは、単なる自殺対応マニュアルの普及ではありませんでした。
とくに重視されたのは、次のような点です。
・自閉症特有のコミュニケーションの理解
・バーンアウトやトラウマの現れ方への理解
・自閉症における自殺念慮の表れ方の違いの理解
・訴えを真剣に受け止める姿勢
多くの参加者が、「話を聞いてもらえなかった」「深刻さが伝わらなかった」という経験を語っています。
とくに一般開業医や精神保健専門職への訓練が重要だとされました。
最初の窓口で理解されないことが、その後の支援につながらない大きな要因になるからです。

二つ目は、診断へのアクセスと診断後支援の充実です。
研究では、成人後に診断された人の平均診断年齢は30代半ばでした。
長いあいだ自分の困難の理由が分からないまま過ごしてきた人が少なくありませんでした。
参加者が重視したのは、次のような改善です。
・診断待機期間の短縮
・女性や見えにくいタイプの自閉症の認識向上
・子ども時代に見逃された人への再評価
・診断後の継続的な支援
診断は単なるラベルではなく、自己理解や適切な支援への入り口になります。
しかし、診断直後は感情が大きく揺れることもあります。
そのため、診断後のポスト診断支援が不可欠だと強調されました。

三つ目は、社会的環境そのものへのアプローチです。
参加者は、自殺を個人の内面の問題だけとしては見ていませんでした。
むしろ、長期的な社会的圧力が積み重なった結果だと感じていました。
具体的に優先されたのは、
・学校でのいじめ対策
・教育現場での柔軟な支援
・職場での過度な負荷の軽減
・必要なときに休める仕組み
・経済的支援の強化
・地域での継続的な生活支援
といった取り組みです。
とくに「早期で予防的なメンタルヘルス支援」は、危機対応よりも高く評価されました。
アプリなどの技術的な対策よりも、制度や人間関係の改善が重視されていた点も特徴的です。
研究では、当事者と支援者のあいだに一定の違いも見られました。
支援者は教育分野の対策をより重視し、当事者はテキスト相談窓口や経済的支援、仕事からの休息の確保をより強く求める傾向がありました。
また、性別や年齢、診断状況によっても優先順位に違いがありました。
女性やトランスジェンダーの参加者は、より早期で自閉症特性に合わせた支援や安全な危機対応空間を重視していました。
若年層は学校支援やいじめ対策を優先していました。診断前の人は、診断アクセスの改善を特に重要視していました。

それでも、研究は「違いよりも合意の方が大きかった」と結論づけています。
その合意とは、自閉症のある人の自殺予防は、危機にある個人への対応だけでは不十分だという認識です。
参加者が繰り返し示したのは、次のような視点でした。
・危機対応だけではなく、危機に至らない仕組みをつくること
・医療だけでなく、教育・雇用・福祉を含めた横断的な取り組みが必要であること
・社会的排除や孤立を減らすことが根本的な予防につながること
自閉症のある人の自殺は、精神医療だけの問題ではありません。
社会全体の構造と深く結びついています。
参加者が求めていたのは、「もっと努力しなさい」という言葉ではありませんでした。
無理をしなくても生きられる構造、理解される医療、孤立しない環境、継続的な支えでした。
この研究は、完璧な解決策を示したわけではありません。
しかし、大規模に当事者の声を集め、「何が最も必要か」を明確にしました。
自殺予防とは、単に命を守ることではなく、その人が日常の中で「ここにいていい」と感じられる社会をつくることです。
この研究は、その方向を具体的に示した重要な一歩だと言えます。
(出典:Autism in Adulthood DOI:10.1177/25739581261415)(画像:たーとるうぃず)
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自閉症のある人の自殺は、精神医療だけの問題ではありません。
社会全体の構造と深く結びついています。
「学校でのいじめ対策」
今でもなお、動画が話題になったように、あからさまな暴力によるいじめがあります。
明らかに犯罪です。
徹底的に取り締まって、撲滅することを願います。
私は子どもの頃から、学校にこそ交番を置くべきだと思っています。
いじめについては、側からはわかりづらい、陰湿ないじめが多くあります。
すべてのいじめをなくすことは難しくても、明らかに犯罪であるいじめはなくせます。
いじめられた子が学校に行けなくなるのではなくて、そんないじめを行った子が学校に来れないようにするべきです。
(チャーリー)




























