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発達障害の子の母は冷たく虐待する「冷蔵庫マザー」と呼ばれた

time 2018/04/09

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発達障害の子の母は冷たく虐待する「冷蔵庫マザー」と呼ばれた

ドナルドにはすごい記憶力がありました。しかし、母親に泣いて知らせることはありませんでした。
バージニアは他の子どもたちと遊ぶことは決してありませんでした。そして、母親とは全く似ていないと父親は言っていました。
ハーバードは全く話しません。ハーバードの母親は医師でしたが、自分の子どもを理解することができませんでした。
それぞれの子どもたちは自閉症と診断をされ、当時は発達障害、自閉症になる原因の一部は母親にもあると考えられていました。
1940年代から1960年代の間には、自閉症の子の母親は子どもに冷たく、怠慢で、虐待を行っていると考えられたために「冷蔵庫マザー」と呼ばれました。
現在は否定されているその考えは、母親が子どもの自閉症を引き起こしている原因であると非難し、自閉症スペクトラム障害の子どもたちを理解し、育てている女性たちをひどい状況にしました。
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自閉症の原因は母にあるとした当時の考えは、自閉症を定義した精神科医のレオ・カナーの発表を根拠にしていました。1943年の論文では、11人の自閉症の子の親たちについて、知的であるが脅迫的であり、本当にあたたかな父親も母親もいなかったと述べています。
カナーは自閉症の子の研究を続け、3年後にこう伝えています。
「ほとんどの子どもたちは、親の冷たさ、脅迫、機械的な注意にずっとさらされてきました。
子どもたちは、まるで冷蔵庫の中で氷漬けにされているようでした。」
当時、フロイト心理学では親、特に母親が子どもの発達において、さまざまな精神的、神経的状態を引き起こすと考えられていました。
シカゴ大学の心理学部のブルーノ・ベツレヘムもフロイト心理学を信じ、カナーの研究から自閉症の原因は強く母親にあると考えました。
ホロコーストを生き延びたベツレヘムは、精神に問題がある子どもたちを扱う居住施設の所長をつとめ、1960年代には自閉症の専門医を名乗りました。
ベツレヘムは、冷蔵庫の母理論を推し進めて、母親が子どもを放置することが自閉症の主な原因だと理論化しました。
ベツレヘムは、親たちからの愛情不足が子どもの心理的障害を引き起こすと考えました。
現在では、親がそのように見える行動をとったのにはさまざまな原因があったと考えられます。
自閉症の子どもをどう育ててよいかわからず、困惑していたのかもしれません。
そうした親たちの行動は、カナーやベツレヘムからすれば、子どもたちに愛情をもっているようには見えなかったでしょう。
ベツレヘムは自分の理論を検証するための研究を行っていませんでしたが、自分の考えを発表しつづけていました。
1967年の「冷蔵庫の母」と自らが体験した強制収容所での生活を比較した著書”The Empty Fortress”は人気になりました。
ベツレヘムのホローコストでの実体験とその高名さから、当時は反論するのが難しくなっていました。
「子どもの自閉症は、極度の状況下で全く希望がない中で、発達した心の状態です。」
そう著しています。
ベツレヘムのこの本により、自閉症の子をもつ母親は、自分自身に原因を求めました。
自閉症の子をもつ母親の多くが、非難されました。
抗議する母親もいましたが、自閉症の子を育てるのに困難をかかえてきた母親に、さらなる困難がのしかかったのです。
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最終的には研究によって、自閉症は親の育児によるものではなく、生物学的な問題に根ざしているものであることがわかりました。
1960年代には、自閉症は心理学的な問題ではないことを示すための研究結果が蓄積されてきました。
1964年にバーナード・リムランドにより、自閉症には生物学的な根拠があるとの最初の本を発表し、「冷蔵庫の母」の考え方から、自閉症の原因は生物学的、遺伝学的なものにあると変わりました。
現在は、すべての自閉症に関連する一つの生物学的原因について、まだ特定はできていませんが遺伝子が関わっていると考えられています。
自閉症の原因についての考えが変わったのと同じように、ベツレヘムへの評価も変わりました。
1990年にベツレヘムは自殺をしました。
その後、施設で子どもたちに虐待を行っていたと非難をされるようになりました。
典型的なものは、ベツレヘムの施設で10年間を過ごした作家のチャールズ・ベコウによって発表されたものです。
ベコウや他の人たちは、ベツレヘムたちに殴打され、苦しまされ、性的な虐待も受けてきたと非難をしました。
ベツレヘムのキャリアにも疑いがかかり、記者たちが調べると心理学についての学位や正式に学んだ記録もなく、戦前に受けた教育を誇張していたことがわかりました。
現在では「冷蔵庫の母」理論は、社会が受け入れることを拒むために、親たちを非難し利用する方法の一つだったとことが明らかになっています。
米国疾病管理予防センター(CDC)は、米国の子どもの68人に一人は自閉症スペクトラム障害だと発表しています。
「治す」方法はありませんが、親たちが自閉症などの発達障害について情熱をもって啓蒙をしてきたことで、過去にはなかった優れた治療法や診断方法が生まれてきました。
現在では、ベツレヘムの「冷蔵庫の母」は全く信用することができない理論になっています。
しかし自閉症など発達障害の理解が十分になされるまで、予防接種のワクチンが原因だ、というようなおかしな考えはずっとでてくるでしょう。
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(出典・米History)(画像:Pixabay
残念ながら今でも、「親の愛情が足りないからだ。」「もっと接してあげなさい。」とか言われることがあります。
うちの子は一人になりたがることがよくあり、誰からも邪魔されない時間と場所が欲しかったりするのです。
なので、ひとり離れて違う部屋に行き、そうしているのです。
聞き流すようにしていますが、耐えられない人もいると思います。
親はずっと考え、考えるだけでなく向き合って、そして子も自分も楽しく過ごせるようにしているのです。
(自分を無視しては、長くはもちません。)
当の親と子にとっては、これまでもこれからも真剣に向き合っていく、何十年単位のことについてなんです。
善意なんでしょうが、よく知らないで言ってくるのはどうかと思います。
発達障害の子のママはやっぱり楽観的がいい

(チャーリー)

 
 

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