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ジキルとハイドになる子、発達障害に伴う病的要求回避(PDA)

time 2018/05/17

この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

ジキルとハイドになる子、発達障害に伴う病的要求回避(PDA)

子どもを育てていくということは、発達障害の子をもつ親にとっては特に難しいものになります。
夜中に目を覚ます幼児の頃も、10代の頃も、決して楽にはなりません。

病的要求回避 “pathological demand avoidance”(PDA)をもつ子どもである場合には、日常の簡単なお願いが、かんしゃくを引き起こしてしまいます。

PDAは発達障害に伴う行動の一つであり、「ジキルとハイド」のようになる子ども、と例えられることもあります。

キャロライン・エリオットは、娘のエミリーが何が原因かわかないまま、突然人が変わることに気づき、何かの病気ではないかと疑いました。

「娘はとても落ち着かない赤ちゃんでしたが、声を出したりすることはありませんでした。
問題なく話すことはできるようになりましたが、ハイハイしたりしませんでした。
座ったまま、自分がとってほしいものなどを人に伝えていました。

おもちゃで遊ぶこともありませんでした。
いろいろ、おかしいと思うことがありました。

全身を伸ばしたり、唸り声を上げたり、指を回したり、ひらひらさせたり。
ものを持たせることもできませんでした。

赤ちゃんの頃から他の子とは違うことがわかりました。」
p1
「娘のエミリーは楽しくなると、星が浮かぶ中を飛び回っているようでした。

しかし、怒り出すとまわりの世界が崩れたようになりました。

いつも、私はたまごの殻の上を歩いているような気持ちになりました。」

エミリーが2歳になると、行動はもっと極端になりました。
家族で外に出ることが、ますます難しくなりました。
エミリーはちょっとしたことで爆発します。

どうしてこのようになるのか、両親は医療機関に助けを求めました。

母親のキャロラインはこう言います。

「おむつを交換するのも、いつも戦争でした。
簡単におむつを交換できる子どもをうらやましく思いました。

何でもすべて難しいものでした。

服を着せるのも本当に大変でひどいものでした。
髪を洗うことも、食事をすることも。」
p3
「娘を落ち着いたままにするために、私たち家族はいろいろな方法を試しました。
しかし、効果はありませんでした。

家を出ることも本当に難しくなりました。
娘はすぐにパニックになってしまうからです。」

数多くの医師に相談しましたが、エミリーがPDAと診断をされたのは5歳になってからでした。

母親のキャロラインは、今は8歳になった娘がどういう状況にあるのか理解できたのは大きな救済になったと言います。

「私は娘のPDAを受け入れることにしました。

私は理解するために学びました。そして娘の行動について理解できるようになりました。

娘のエミリーは、毎日たくさんの困難に挑戦していたのです。」
p5
PDA協会は発達障害の人が誤解されることのリスクの高さについて報告書を発表しました。

PDAに対する理解の欠如がサポートを阻害する最大の壁になっていると伝えています。

(出典:英Daily Record)(画像:Pixabay

PDA、病的要求回避と訳しましたが私は初めてその言葉を知りました。

英国自閉症協会のWebページにも記載されています。
What is pathological demand avoidance (PDA)?

これを見ると、
・日常生活における人からの要求や期待を極力さけようとする
・自閉症スペクトラム障害の人の中でも、コミュニケーション能力は優れているように見える
・過度の気分の変動や衝動を経験する
等とあります。

避けようとするその要因は、人に要求された場合に起きる高いレベルの不安。
その極端な行動のために「病的、病理学的」と表現されています。

そして、要求を避けるために爆発をするだけでなく、要求者の気をそらすなどいろいろな回避方法をとるということも書かれています。

人からのお願いは避けたい。

誰しも、無関係ではない、程度の問題だと感じるのではないでしょうか。

しかし、あまりにそれが極端であり、サポートが必要なる場合には、その問題を知ってもらうためPDAのような新しい言葉がまず必要となり、そうして必要とされる方への支援が始まっていくのだとわかります。

発達障害と性同一性障害の関係。適切なケア

(チャーリー)


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