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自閉症の研究の多くが「知的障害もある」人を含めていない問題

time 2019/06/11

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自閉症の研究の多くが「知的障害もある」人を含めていない問題

発達障害の自閉症の人々の約半数は知的障害も持っています。

しかし、多くの自閉症についての研究結果は知的障害のない参加者のみから導かれたものとなっています。

にもかかわらず、研究者たちは自閉症の人たち全般についての研究結果だと伝える傾向があります。

こうした、「かたより」は自閉症の理解に長期に渡って影響を及ぼすものとなります。
そして、効果的な治療法の探求機会を失わせる可能性もあります。

例えば、自閉症での社会的な困難の深刻さと、記憶や感情に関わる脳の領域の量との関連についての研究がありました。
ADHDの子どもにおいても同様な傾向が見られたと述べられています。
そのために、自閉症になる、ADHDになる、ことに共通した生物学的原因があるかもしれないという結論を導きました。

しかし、その研究に参加した人の82パーセントは知的障害をかかえない人たちでした。

であれば、「知的障害がない場合には」自閉症になること、ADHDになることに共通した生物学的原因があると言うのが正しい見解でしょう。

自閉症の研究では、自閉症の人々の半数にのぼる知的障害もある人たちにも研究に参加してもらうために、もっと考える必要があります。

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私は研究チームとともに、2016年に発表された301の自閉症の研究、合計で10万人以上の自閉症の人たちが参加している研究について分析を行いました。

自閉症に関わる脳活動の画像化から、遺伝学や疫学、治療方法などの研究についてです。
それらは、すべて「自閉症の人全体」に対するものとして研究結果を伝えていました。

しかし分析の結果、それらの研究に参加した自閉症の人たちの94パーセントは知的障害がない自閉症の人でした。

知的障害もある人が含まれていない、「かたより」があることを認めている研究は30パーセントしかありませんでした。

さらに、話すことが困難な自閉症の人たちが含まれない「かたより」はさらに目立ったものでした。

自閉症の人では話すことが困難な人がいます。しかし必ずしも知能レベルと関係があるわけではありません。

私たちの研究では、話すことができない自閉症の人が参加している研究はたった2パーセントしかありませんでした。

2017年の研究に対する分析では、自閉症の人の脳画像による研究においては、知的障害のある自閉症の人の画像が全く不足していることもわかりました。

それは、知的障害もある自閉症の人たちを研究に参加してもらう方法が十分にできていないためです。

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自閉症の研究の基盤となるデータにも「かたより」が見られます。

米国の自閉症研究データベースでは、47400名のデータがありますが、知的障害もある自閉症の人はそのなかに11パーセントしかいません。

これらの「かたより」の原因は簡単です。

話すことができる自閉症の人たちは研究に参加してもらいやすいのです。

一方で、知的障害もある自閉症の人たちでは、研究の内容や参加するメリットを理解してもらうことが簡単ではなく、参加してもらうために必要な同意を得ることが困難なのです。
研究に使われるツールも、知的障害もある自閉症の人に考慮されていることはほとんどありません。

そして、知的障害もある自閉症の子の親は、研究に参加する余裕がありません。

しかし、研究に存在しているこうした「かたより」は深刻な影響をもたらします。

そのために研究者たちは、かたよりをなくすように取り組む必要があります。

つまり現状では、自閉症の人全体についての研究、理解できていると考えるのは正確でないかもしれないのです。

例えば、自閉症と知的障害の両方がある人の脳の異常は、自閉症だけの人の脳の異常とは違うのかもしれません。

これまでの自閉症の人の脳についての知識は、知的障害もある自閉症の人の脳については使えないかもしれないのです。

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またこの「かたより」は、自閉症の診断にも影響を与えている可能性があるでしょう。

例えば専門家が、自閉症の診断基準を修正する場合に、知的障害のない自閉症の人たちばかりの研究結果に基づいていればそれは正しいものとはいえないかもしれません。
つまり、実際には知的障害をもつ人が半数いる自閉症の人たちの診断がきちんとできなくなってしまいます。

また、自閉症に対する治療方法にもこの「かたより」は影響を与えてしまいます。

ある治療方法は、自閉症の人たちに効果があると認められていても、実際には知的障害のない自閉症の人たちに有効であるものの、知的障害もある自閉症の人には有効ではないかもしれません。
事実、これまでに知的障害の有無にかかわらず、自閉症の人たちの効果の多くは人それぞれであることが示唆されています。

しかしいくつかの革新的な技術や方法が、自閉症の研究をより正しくしてくれるかもしれません。

例えば、身につけて脳のスキャンを行える装置では、誰でも正しく脳の活動を把握できます。
また、かたちをカスタマイズできる頭を動かなくする枕を使うことでもそれは可能となります。
このように、知的障害もある子どもたちから正しいデータがとれるような技術開発が進んできました。

また、研究費用を提供する機関が「知的障害もある」自閉症の人を含めることを求めた研究助成を行うことで、かたよりを減らすことができます。

研究者は、知的障害のある自閉症の人が含まれていない、つまり「かたより」が存在する場合には、それも含めて正しく研究を発表するべきでしょう。

英エクセター大学 精神障害及び発達障害 ジニー・ラッセル上級研究員

(出典:米SPECRUM)(画像:Pixabay

自閉症の研究の多くに、自閉症の人の半数にのぼる「知的障害もある」人が含まれていない、「かたより」があること、

そして、それに基づいた自閉症の理解、診断、治療方法には誤りが生じている可能性についての警鐘でした。

ですが実際問題、重度の発達障害、自閉症で知的障害もあり、話をすることもできない、うちの子が成人したとしても、研究に参加してもらうために「同意」してもらうことはやはり不可能だと思います。

脳の活動をスキャンする装置に頭を入れてもらうことにも「同意」は必要でしょうから、そうなるとそうした意思表示や言葉を発することを求められない研究にも参加できません。

自閉症であり知的障害もある人に研究に参加してもらうことは、本当に困難なことだと察します。

だからといって、自閉症、発達障害の研究が滞ってしまうことは私は望みません。

なので、自閉症の研究には「かたより」が少なくなっていくことを望み、今は、あること踏まえて受け取る。

それが妥当なところなんだと思います。

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(チャーリー)

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