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自閉症、ADHD、発達障害の「分類」により生まれる問題点

time 2024/01/16

この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。

自閉症、ADHD、発達障害の「分類」により生まれる問題点

ジェーン、ジュリー、ジェマは6歳で同じクラスの女の子たちです。
この3人は行動や認識にいくつかの共通点を持っています。
3人とも新しい課題を始めるのに苦労し、課題の切り替え、注意を持続させること、社交的な交流に参加し続けることが難しいです。
また、言語発達にもわずかな遅れが見られます。

これらの日常機能において3人は共通であるにもかかわらず、

ジェーンは自閉スペクトラム症(自閉症)と診断されています。
ジュリーは注意欠陥・多動性障害(ADHD)の不注意型と診断されています。
ジェマはいずれの診断基準にも該当しません。

上記の診断分類に基づいて、ジェーンはジュリーに比べてより多くのサポートを受けており、ジェマはサポートの対象になっていません。
さらに、ジェーンとジュリーは日常生活で似たような課題を抱えているにもかかわらず、学校や治療環境で受けるサポートはADHDや自閉症特有のもので大きく異なっています。

研究によれば、「診断」は子どものニーズを大雑把にしか示さないことがあります。

診断ラベルは、個人が必要とする認知的または行動的サポートの種類を予測するのにあまり効果的ではありません。
カテゴリー的な診断は、研究者、実践家、教師に個人のニーズの非常に粗い像を提供するだけです。

神経発達状態(NDCs)は、子ども時代に始まる一連の課題です。

現在の臨床ガイドによると、神経発達状態は一般的に幼少期に現れ、通常は学校に入る前に始まり、成人期にまで続くことがあります。
これらの状態の主な特徴には、生活の一つまたは複数の領域(社会的、学術的、個人的、職業的)での適応機能への悪影響が含まれます。

これらの状態とその障害の程度はスペクトラム上に存在し、同じ診断を受けていても、個人によって症状や欠陥の程度が異なることがあります。
しかし、診断はカテゴリー的であり、特定の状態があるかないかのどちらかです。

知的障害、コミュニケーション障害、自閉スペクトラム症、ADHD、神経発達運動障害、特定の学習障害などのカテゴリーによる分類に大きく依存しているためです。
医療現場と研究は、『精神障害の診断と統計マニュアル(DSM)』や『国際疾病分類(ICD)』によって導かれています。

これらの分類マニュアルは、精神保健の専門家や研究者によって日常的に使用され、精神保健や神経発達状態の個々の症状に対する診断の包含と除外基準を明確にしています。
これらのマニュアルでは、各神経発達状態は明確に定義された境界を持つ独立したものとして扱われています。
たとえば、ADHDの診断であれば、ADHDの診断基準を満たすかどうか、ADHDおよび/または自閉症に属するかどうか分類されます。

カテゴリー的な診断は、多くの研究者や臨床医によってベストプラクティスと見なされてきました。
研究の設計、サンプリング、分析アプローチ、理論、評価、治療はすべて、神経発達状態のカテゴリーが基礎的な現実を捉えているという前提に基づいています。
このカテゴリー的な考え方は、神経発達状態の科学的構造のあらゆる側面を形作り、今も影響を与え続けています。

しかし、神経発達状態の現在のカテゴリー的分類システムには3つの根本的な問題があります。

第一に、現在の診断システムは、学習、行動、社会機能の面でサポートを必要とする広範な人口のニーズを捉えるのに効果的ではありません。
恣意的な閾値の使用は、機能に重大な影響があっても軽度の困難を持つ個人であればサポート不要と分類し、その結果、サポートを利用できなくなる原因となります。
例としては、自閉症にもADHDにも分類されなかったジェマのような子どもたちが挙げられます。
彼らは困難や遅れを示しますが、いかなるカテゴリー的状態の診断基準も満たしていません。

第二に、現在の診断システムは、同じカテゴリーの神経発達状態であっても「異なる」ことが多い現実に対処するのに苦労しています。
例えば、同じ診断を受けた人でも、症状の性質や影響において大きく異なることがよくあります。
これにより、診断は研究への参加者の募集や介入支援のための信頼できるガイドとなることが難しくなっています。

第三に、現在の診断システムは、神経発達状態のカテゴリーを複数もつ人を受け入れることを困難にします。
例えば、多くの研究で、特定の診断の有無に基づいて高度に選択的に参加者を募っており、複数の状態を持つ人を参加させていません。

こうした、カテゴリー的分類システムに対して、多次元的で診断を超えたアプローチは、特定の神経発達診断に関わらず、子どもの潜在的なニーズを広範に評価する基盤となり得ます。
この子ども中心のアプローチは、実践者が尋ねる二つの核心的な質問に対し、直接情報を提供します。

「この子の強みと困難は何か?」
「そして私たちはどのようにして彼らを花開かせることができるか?」

診断を超えた枠組みの利点は、診断の閾値を満たさないかもしれないが、日常生活においてそれでも影響を与える微妙な困難に対して、より敏感になれる可能性があることです。
また、機能的な結果が診断の閾値を満たすほど顕著になる前に、より早期の介入を促進できる可能性があります。

さらに、固定された診断基準を脇に置くことで、発達の変化を許容する神経発達状態のより動的な特徴づけの道が開かれます。

証拠に基づく診断を超えた、多次元的なアプローチは、神経発達状態の真の異質性を広範囲にわたる人口で捉えるための柔軟性を持った魅力的な代替案を提供するものです。

(出典:豪Psychology Today)(画像:たーとるうぃず)

「分類」することには、まさにご指摘どおりの問題があると思います。

しかしながら、「一人ひとりみんな異なる」ことをそのまま受け取れば、いくらAさんについて研究しても、他の人には利用できない知見しか得られないために、研究する対象にはならなくなります。
そもそも、一人ひとり違うという当たり前のことをそのまま受け取れば、「しかたないこと」と思考停止してしまうことも多そうです。

そうなれば、医療や支援の方法も設計されず、現在あるような、うちの子と私が得てきた支援もなかったでしょう。

Aさんだけでなく、「分類」することで、Aさんと似たような「人たち」とAさんだけでない複数人にしたことで、研究の対象にでき、医療や支援を設計することができたはずです。

最善策であっても「分類」を利用するときには、問題点や弊害があることを忘れないで、ということなのでしょう。

そうした理念だけでなく現実的には、AIの利用なども進み、分類のさらなる細分化と組み合わせにより、それぞれの人にあった診断・支援がより良くなっていくものと思います。

自閉症の子の3/4にADHDなど他の発達障害もあった。研究

(チャーリー)


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