大昔に世界で初めて生まれた芸術の多くは、現代では発達障害とされる人たちによって作られた可能性が高いと、英国の科学者が示唆しています。
考古学者と発達障害の専門家が協力して研究を行いました。
その結果、氷河期の頃の厳しい環境が、遺伝子の特定の組み合わせを導き、約３万３千年前に人間は最初の芸術を生み出したと結論づけました。
厳しい環境条件が長期間続いたことが、人間の細かいことに集中できる能力を発達させたのです。
空間認識能力、イメージ記憶能力、周りの環境や動きのパターンを認識する能力も発達しました。
自閉症スペクトラム障害の人たちの特徴となっているこれらの能力によって、人間は氷河期を生き延びることができました。
そして、これらの進化した能力によって人間は、自然の風景を写したり、記憶から動物のダイナミックなイメージを思い出し、空間認識能力を活かして遠近法も使って、絵にして描くことも可能になったのです。
（仏ショーヴェ洞窟の壁画：現在最古とされている約３万２千年前に描かれたもの。画像：wikimedia ）
英ヨーク大学で医学の研究を行っているバリー・ライトと考古学者のベニー・スピキンズは、英ヨーク大学の生徒を対象に調査を行ったところ、その４％が自閉症スペクトラム障害にあたることがわかりました。
しかし、そのほとんどの学生たちは、能力などに一部影響があっても、自分自身の自閉症スペクトラム障害を実感したことはありませんでした。
また、重度の発達障害の人たちの遺伝子の特徴は、北欧を起源とする人たちにも見られることを発見しました。
北欧を起源とする人たちの多くの祖先は、氷河期を乗り越えてきた人たちです。
スピキンズ博士は、氷河期の芸術について研究を行う、先史文化の専門家です。
「私たちは、発達障害の人の特徴は、最後の氷河期、壮絶な気候条件を乗り越えてきた進化の結果の一部であると考えています。
発達障害の人たちがもっている能力がなければ、凍結環境の中で必要な食料を見つけ、生き延びることはできなかったでしょう。
また、細かいところにこだわる能力がなければ、現実に近い絵を描くことはできませんでした。
この形質も、発達障害の人によく見られるものです。」
英Open Archeology誌に掲載されているこの新しい研究は、先人たちの芸術的な表現は人間の文化的な進歩を示すだけでなく、神経学的、生物としての人間の進化も捉えられることを意味します。
先史時代の技術、儀式、現実的ではない抽象的な芸術など、他の文化の営みについても今後、研究がされる予定です。
研究によって、約２５万年前に現在の人類が出現してからも、ずっと進化が続いていることがわかりました。
人間の進化は、私たちの時代になっても決して止まることはありません。
（出典：英INDEPENDENT）（画像：Pixabay）
こうして多様性、ニューロダイバーシティもあったから人類は進化し生き続けてきたのです。
発達「障害」とされたのは、人類史から見れば短い一時だけなのではないでしょうか。
うちの子は障害とされたことにより、適切に支援を頂くことができ幸せに過ごすことができています。
しかし発達障害は幅広く、人それぞれですので、「進化」と考えたほうがよい方もたくさんいると思います。
そうした方は、少なくとも自分の中ではそう思って自分を発揮されるのがよいはずです。人類にとっても。
発達障害とは現在進行系の人類の進化状態
（チャーリー）
