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ディスレクシアの強み「探求」で人類が繁栄。英ケンブリッジ大

time 2022/06/26

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ディスレクシアの強み「探求」で人類が繁栄。英ケンブリッジ大

発達性ディスレクシア(失読症、読み書き障害)の人たちは、未知のものを探求することに関連する強みを持っています。

それが、私たち人類の適応と生存の成功につながりました。

認知、行動、脳を研究する英ケンブリッジ大学の研究者たちは、ディスレクシアの人たちは未知のものを探索することに特化した人たちと結論付けました。
人間が環境の変化に適応し生存する上で、重要な役割を果たす人たちです。

研究者らは、視覚処理から記憶までの複数の領域で、またあらゆるレベルの分析で明らかになったこの知見に基づき、ディスレクシアを神経疾患とみなすのを改めるべきだと主張しています。

ケンブリッジ大学マクドナルド考古学研究所所属の研究員で、英ストラスクライド大学の研究員でもある研究を行ったヘレン・テイラー博士は、この研究結果は、個人と社会の両レベルに影響を与えるものであると述べています。

「ディスレクシアを欠陥のように捉えるのは、一面しか見ていないのです。
この研究は、ディスレクシアの人たちの認知的強みをよりよく理解するための枠組みを提案するものです。

私たちは、ディスレクシアの人たちが経験する困難な領域は、新しい情報の探索と既存の知識の活用の間の認知的トレードオフから生じると考えています。
つまり、ディスレクシアは発見、発明、創造性などの特定の領域で確認できる強みなのです」

ディスレクシアに関する研究の分析に、進化論的な視点を用いた学際的なアプローチが適用されたのは、今回が初めてです。

「学校、学術機関、職場は、ディスレクシアが活きる探索的な学習を最大限に活用するように設計はされていません。
しかし、人類が適応し、重要な課題を解決し続けるためには、これを育むことが早急に必要なのです」

ディスレクシアは、国や文化、地域に関係なく、一般人口の最大20パーセントに見られるといわれています。
世界神経学会では、「従来の教室での学習では、知的能力に見合った読み、書き、綴りの言語能力を獲得できない子どもの障害」と定義されています。

この新しいディスレクシアの理解は、「相補的認知」(人間の祖先は、それぞれ異なるが相補的な思考方法に特化して進化してきたため、協調することで、人類全体の適応する能力が高まったという理論)の文脈で説明できるものです。

ディスレクシアは、「新しい情報の探索」と「既存の知識の活用」という、よく知られたトレードオフに根ざしたものです。

たとえば、食べ物をずっと食べるだけであれば、全部なくなれば飢餓に陥る危険があります。
しかし、食べ物をずっと探していたら、エネルギーを無駄に浪費してしまうことになります。

「新しい機会を求めて探索することと、特定の選択肢から得られる利益を活用することのバランスをとることが、適応と生存の鍵であり、私たちが日常生活で行う多くの決定を支えているのです」

そうテイラー博士は言います。

「探索」は、実験、発見、革新など、未知のものを探す活動です。
「活用」は洗練、効率、選択など、すでに知られているものを使用する活動です。

「このトレードオフを考慮すると、ディスレクシアは、読み書きなどの『活用』に関連するタスクに問題がある理由を説明できます。
そして、ディスレクシアの人たちが芸術、建築、工学、起業などの探索関連の能力を必要とする特定の職業に引き寄せられるように見える理由も説明できそうです」

研究者たちは、この発見が、他のいくつかの分野の研究からの証拠と一致することも発見しています。

たとえば、これほど多くの人口にディスレクシアが見られるということは、人類が不確実性と変化の多い時代に進化してきたに違いないことを示しています。
これは、人類の進化が劇的な気候や環境の不安定さによって何十万年に継続して、形成されてきたことを明らかにしている古環境学分野の知見と一致します。

研究者らは、異なる能力を持つ人間たちの「協力」があったことで、人類は並外れた適応能力をもつことができたことを強調しています。

この研究成果は、学術誌『Frontiers in Psychology』に掲載されています。

(出典:英ケンブリッジ大学)(画像:Pixabay

「トップガン」などで有名なトム・クルーズもディスレクシア/識字障害であることがよく知られています。

違うことはデメリットではありません。メリットなのです。

そう捉えられるようになってきたことも人類の進化でしょう。

発達障害の人の特徴となっている能力で人間は氷河期を生き延びた

(チャーリー)

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