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自閉症の人は運動機能に関わる脳領域の活動に違いが見られた

time 2019/09/20

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自閉症の人は運動機能に関わる脳領域の活動に違いが見られた

米カンザス大学寿命研究所の研究者による”Journal of Neurophysiology”に掲載された新しい研究は、自閉症スペクトラム障害(ASD)の人たちの運動機能に関わる脳活動を初めて調べたものです。握力テストを利用しました。
自閉症の人たちがかかえる問題に大きく関わる可能性のある新しい証拠、異常な脳の皮質および皮質下組織での活動の変化を捉えました。
研究に参加した自閉症の人たちはMRIの装置のなかで脳のスキャンが行われるなか、ディスプレイ上に表示された黒い背景に映る二本の線を制御しつつ、握力テストを受けました。
ASDでない人たちも比較対象として参加しています。
米カンザス大学寿命研究所及びカンザス自閉症研究・訓練センターの研究員である今回の研究を行ったキャサリン・ウンルーはこう述べています。
「自閉症の人たちは脳の他の領域を使うことで、抱える問題をカバーしている可能性も示していました。」
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発達障害である自閉症スペクトラム障害は社会的コミュニケーションスキルに関わる困難や特定の反復行動などにより診断がなされます。
しかし、それは脳のスキャンなどに比べると客観的に測定することは難しいものだとキャサリンは言います。
「運動能力は自閉症の症状の程度に関係なく、自閉症の人たちは不十分なものとなっています。
そのため目の動きにとても微妙な特徴が見えることもありますが、特別な機器がなければ測定することができません。
運動機能にかかえる困難は、手で文字を書けないというレベルから、スポーツなどがうまくできないなどより一般的な運動でのレベルまで、人により異なります。」
今回の研究では高精度な握力テストを用い、自閉症スペクトラム障害の20人と、比較対象となるそうでない18人について、一つの運動とそれに関連する脳活動を調べることができました。
「この脳スキャンはとても正確に定量化できるものです。
社会的な能力、コミュニケーション能力を定量化し、数字にすることは困難です。
それに比べれば、これはとても確かで使いやすい、診断に利用できる方法になります。
これまでよりも脳の実際の活動を正しく捉えることができるものです。」
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この研究に関わった、同じく寿命研究所の研究員であり米カンザス大学の臨床小児心理学プログラムの准教授であるマット・モスコーニはこう言います。
「自閉症スペクトラム障害の人たちは、感覚や運動に関わる問題が大きなストレスになっている可能性があります。
コミュニケーションや行動における問題にくらべると、それは見過ごされてしまっています。
感覚や運動に関わる問題、運動の調整や制御の困難は自閉症スペクトラム障害の人では一般的なものです。
そして、それらは日常生活において大きく影響を与えて、精神的な健康にも関わってきます。
自閉症の人がかかえる運動や感覚の問題についての研究は、自閉症の人が経験している多様な課題を理解するのに必要不可欠なものです。」
そして、今回の研究では自閉症の人とそうでない人での違いがわかっただけでなく、自閉症の人の間でも異なっていることがわかりました。
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「重要なのは、さまざまな課題をかかえる自閉症スペクトラム障害の人たちとそうでない人たちを区別できるだけではありません。
自閉症スペクトラム障害の人の中でも、脳の測定をすることで、感覚や行動に関わる課題の違いが把握できるのです。」
今回の研究では、自閉症スペクトラム障害の人は複数の感覚情報を迅速に統合して、正確に筋肉を動かし、調整する能力が不足していることも発見されています。
「こうした能力の不足が、発達障害での問題となる社会的なコミュニケーション能力や認知処理の能力の困難の原因にもつながっている可能性があります」
(出典:米カンザス大学)(画像:Pixabay
運動機能にも困難をかかえている方は多いと思います。
うちの子も走る姿を見ると左右対称ではありません。
特別支援学校でも、そうでない生徒さんをよく見かけます。
かかえる困難に適切な支援ができるようにこうした研究は確かに進んで頂きたいと願います。
「自発的」運動が自閉症の子の症状を改善する可能性。東大の研究

(チャーリー)


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