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それぞれの自閉症の子の能力レベルを認識し対応できるロボット

time 2020/02/28

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それぞれの自閉症の子の能力レベルを認識し対応できるロボット

発達障害である自閉症の子の多くは、コミュニケーションや行動上の課題、社会的相互作用の困難などの発達の遅れをかかえています。
このため、従来の学校環境では特に新しいスキルを身につけることは簡単ではありません。
これまでの研究で、社会的支援ロボットが自閉症の子の学習に役立つことが示唆されています。
ロボットを利用した療育ではロボットが子どもの行動を正確に理解し、適切に反応できる場合に最も効果なものとなります。
現在、アメリカの南カリフォルニア大学のコンピューターサイエンス学部の研究チームが、自閉症の子ども向けのパーソナライズされた学習ロボットを開発しています。
また、機械学習を使用してロボットがどれほど子どもが興味をもって取り組んでいるのかがわかるようにしました。
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研究チームは17人の自閉症の子の家に一ヶ月間ロボットを置きました。
ロボットは療育の時間にそれぞれの子どもの学習パターンに合わせて指導とフィードバックを行いました。
その後、ロボットは90パーセントの精度で子どもの取り組み具合を理解できたことがわかりました。
子供が90%の精度で関与しているかどうかをロボットが自律的に検出できると判断しました。
この研究の結果は“Frontiers in Robotics and AI” と“Science Robotics”に掲載されています。
長期間の家庭環境において自閉症の子どもの学習パターンと興味を対象にした初めての研究になります。
「現在のロボットは融通が効きません」
社会的支援ロボットのパイオニアであるマヤ・マタリック教授から指導を受けている、今回の研究を行ったショミック・ジェインはそう言います。
「現実の子どもの学習では、先生も子どもについて学び、子どもも子どもから学びます。
つまり双方向なのです。
しかし、現在のロボットでの療育はそうなっていません。
この研究の目的は子どもの行動を理解し、そしてリアルタイムで反応するようにロボットを賢くすることです」
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ロボットは、人間の代わりに療育を行う存在になるのではなく、療育をより効果的にするための存在だといいます。
「専門の療育はとても重要です。
しかし米国ではすべての家庭にとって行える、または手頃な価格で行えるものではありません。
そのために、こうした社会的支援ロボットが求められているのです」
そう、共同して研究を行ったカルテック・マハヤンは言います。
全米科学財団(NSF)の助成金により、研究チームは自閉症スペクトラム障害をかかえる3歳〜7歳の17人の子どもの家に約一ヶ月間、ロボットのキウイを置きました。
ほぼ毎日、子どもたちはタブレットで宇宙をテーマにした算数のゲームで遊びました。
身長60センチのロボットのキウイがその間、教えたり反応したりしました。
キウイの反応とゲームの難易度は、それぞれの子どもにリアルタイムで調整されました。
人工知能(AI)で利用されている機械学習の一つである強化学習によりそれを実現しました。
算数ゲームで子どものパフォーマンスを把握します。
たとえば、子どもが正解した場合、キウイは「おつかれさまでした」と言います。
間違った場合には、キウイはヒントを教えたり、次に出す問題を易しいものにします。
ロボットの目標は子どもがより難しい問題がとけるようになることであり、たくさんの間違いを指摘することではありません。
「子どもの能力レベルがわからないときには、たくさんの問題を投げつけるようなことは適切な学習になりません。
しかし、ロボットが能力レベルを把握し適切なレベルの問題を出せれば、本当に学習体験を向上させることができます。
自閉症の人に対して、ロボットはとても役立つはずです。
なぜなら、自閉症の人はそれぞれ症状や程度が異なります。
それぞれの人に合わせることが重要で、それが可能だからです。
子どもの能力レベルを認識できれば、台本に従うだけ以上のことをロボットは提供できます。
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しかし、通常のAIの機械学習ではそれは簡単ではありませんでした。
なぜなら、たくさんの学習データが必要となるからです。
自閉症の人たちはそれぞれが違うため、それを取得することは不可能です。」
通常の機械学習では、大量の似たようなデータから一貫したパターンを見つけるようにするものです。
それでは、一人ひとり個々人にあわせることはできません。
「今回の研究は、一人ひとり個々人からロボットが学習できるようにしたことが最大のポイントでした」
子どもたちの家にロボットが置かれた一ヶ月間の前と後とで、自閉症の子どもたちの評価が行われました。
研究チームはもちろん、自閉症の子どもたちが改善することを期待していましたが、それ以上の結果となりました。
参加した子どもたち全員、100パーセントが算数の成績が向上しました。
そして92パーセントの子どもたちは、社会的スキルも向上していました。
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またこの研究では、ロボットが話した直後はすべての子どもたちの興味、関心が高くなることが確認されました。
ロボットが話した直後は70パーセントの子どもが興味を示しました。
一方で、一分以上ロボットが話さなかった場合には興味を示した子どもは50パーセント未満でした。
さらに、子どもた長期間にわたって興味をなくしてしまった場合には、人が行うべきことが観察できました。
短期間の場合であれば、ロボットによって、興味を再び持つことができていました。
マタリック教授の研究室では、今回の研究から取得できたデータによる研究が続いています。
その一つは、混乱や興奮などの感情を含んだ、子どもの認知感情状態をAIがわかるようにすることです。
今回の研究を行ったジェインはこう言います。
「この研究室や他での研究室でも、今回の研究結果を引き継いで、もっと魅力的でそれぞれの人にあったロボットと人間の関係が実現できることを願っています」
(出典・画像:米南カリフォルニア大学
たしかに、機械学習には膨大なデータが必要です。
一人ひとりに合わせようとすると、一人から得られるデータは限られるので、たしかに学習させるのには工夫が必要でした。
ロボットがもっともっと身近に早くなってほしいと願っています。
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(チャーリー)


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