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「自閉症兵器」ヘイトグループに利用されやすい自閉症の人たち

time 2020/06/02

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「自閉症兵器」ヘイトグループに利用されやすい自閉症の人たち

国際的な研究チームにより、ネット上のヘイトグループによって発達障害の自閉症の人が過激化される可能性が高い原因とそれを防ぐための方法について研究が行われています。
カナダにあるオランダブローアビューキッズリハビリテーション病院自閉症研究センターのメラニー・ベナー博士が率いる、カナダ、米国、英国の研究者で構成されるチームで2年間のプロジェクトとして行われているものです。
研究チームのジョン・エルダー・ロビソンはこう言います。
「この研究での私たちの目的は、ヘイトスピーチに関連するオンラインサイトへの自閉症の人たちの関わりについて知ることです」
自閉症の人たちのなかに、ネット上のヘイトグループに参加している人がごく一部いるといいます。
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「自閉症の人はネット上で憎悪の対象やいじめを受けたり、現実の世界でいじめを受けている可能性が高くなっています」
研究チームとヘイトグループに過去に参加し、現在はリハビリに取り組んでいる人たちは、自閉症の人たちがこうしたヘイトグループで食い物にされてしまう、弱い立場にあることを懸念します。
米国を拠点とするウィリアム&メアリーカレッジのニューロダイバーシティ・ワークグループの共同議長でもあるロビンソンは、この研究は教育者、医師、保護者が、自閉症の人たちがネット上のヘイトグループの活動に巻き込まれているのではないかと心配になったときに、対処する方法づくりに役立つ可能性があるといいます。
ロビンソンは自分自身も発達障害の自閉症です。
大人になるまで診断はされていませんでした。これまでに自らの経験について数冊の本を出版しています。
その中でこう著しています。
「私は成人してから自閉症について学びました。
自分自身の違いを知る、友だちを作る、
それらを自分のために行うこと、そのために人に搾取されてしまうこと、
この違いを知ることがどれだけ重要なのかを理解しました。
自閉症の人が自閉症の人を守ることがとても重要だと私は考えています」
ベナー博士はこの研究を行うきっかけとなったことについてこう言います。
「ヘイトグループがネット上で『自閉症兵器』などの用語を使っていることをこれまでに目にしたのです」
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ベナー博士は自閉症の子どもや成人をみてきた医師として、こうしたことについてのこれまでの研究を調べました。
「そうした研究はこれまでにありませんでした」
ロビンソンによれば「自閉症兵器」という言葉は2017年に閉鎖された白人至上主義者のサイトでも使用されていたといいます。
自閉症の人たちを「ひじょうに論理的でロボット的である」と揶揄していました。
「つまり、自閉症の人たちを、忠実に命令に従う感情をもたないロボット兵器であるターミネーターに見立てたのです。
自閉症の人たちはたびたびいじめに直面します。それはいじめの原因と同様の自閉症の人たちに対する偏見です」
ロビンソンは、米国の刑事司法制度の中で自閉症の人たちを支援する活動を行ってきました。
「ヘイトグループが自閉症の人を引き込もうとするときには、自閉症の人の社会的な孤立につけ込みます。
私も含め自閉症の人は、社会的な障害をかかえています。
そのためにヘイトグループに利用されやすいのです。被害を受けることが心配です」
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この研究の第一フェーズでは、白人至上主義者やネオナチズムなどのヘイトグループがよく利用していることが知られているWEBサイトからヘイトスピーチを含む投稿をAIによって分析し、自閉症の人が行ったと思われる投稿を抽出します。
そして、自閉症の人による投稿がこれらのWEBサイトの議論にどう影響するのか、日常生活への影響などについても研究チームが分析します。
「投稿した自閉症の人たちが、
社会的に孤立していることを訴えているか、
雇用されているのか、
どのような教育を受けてきたのか、
こうしたことなどを分析します。」
研究の第二フェーズではヘイトグループに現在参加している、ヘイトグループを抜けようとしている自閉症の人たちへのインタビューを予定しています。
「そうすることで、自閉症についての彼らの感じ方や、日常生活で他に何が起こっているか、そして彼らがヘイトグループの活動に貢献したかもしれないと思うことについて、より理解することができるはずです」
さらにこの研究ではこうした自閉症の人たちと関わる方法として、元白人至上主義者でヘイトグループを組織していたクリスチャン・ピチョリーニの協力があります。
ピチョリーニによれば自分のヘイトグループには、約100人ほどの自閉症の人たちが加わっていたといいます。
その一部の人たちもこの研究に参加する予定です。
ピチョリーニはこう言います。
「元ヘイトグループの過激派だった者として、私は自閉症の人たちをどう引き入れるかを知っています。
私は証拠にもとづいてこの研究に貢献し、自閉症の人たちがヘイトグループから解放されることを期待しています」
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ヘイトグループへのネット上の参加については、男性よりも女性のほうが割合が高い傾向があるといいます。
そのため、ベナー博士は性差についても研究の対象になるだろうと考えています。
この研究では、研究者や自閉症を擁護する人たちのために3つのことをベナー博士は明らかにしたいと考えています。
・自閉症の人がヘイトグループに加わることを防ぐための方法
・自閉症の人がヘイトグループに加わったことを早期発見する方法
・ヘイトグループに既に加わっている自閉症の人への支援方法
ベナー博士はこの研究の最終的な目的は、自閉症の人たちがヘイトグループからの勧誘を避け、自分自身を守る力をもつようにすることだと強調します。
「私たちは自閉症の人がヘイトグループに加わってしまうことについて理解したいと思っています。
そして、私たちはそうしたことを防ぐのに役立つ、何かしらの方法を示したいと思います」
(出典:カナダCTV NEWS)(画像:Pixabay
日頃感じている困難から、つけ込む心理的な隙も多くあるはずです。
また、味方となればすごい活躍をしてくれる期待もわかります。
しかしながら、もちろんこうしたところで発達障害、自閉症の人が活躍されることは望みません。
研究の成果を期待します。活躍できるところが他に多く広がる社会になることを願います。
発達障害の人がサイバー犯罪者になる危険

(チャーリー)


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