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自閉症の子どもたちはモノよりも人の顔から情報を得るのが難しい

time 2020/06/21

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自閉症の子どもたちはモノよりも人の顔から情報を得るのが難しい

新しい研究によれば、発達障害である自閉症の子どもは人の顔から情報を得ることに苦労しますが、モノから情報を得ることは優れています。
それが、コミュニケーションをするときに自閉症の人が、相手が見せる社会的な手がかりを見逃してしまう理由かもしれません。
自閉症の人は人の顔よりもモノを見ることを好むことがよくあります。
自閉症の子どもたちは人が見せる社会的な刺激に注意を払うべきなのか、無視するべきなのかを判断することに問題をかかえているのかもしれません。
今回の研究はその疑問に対するものです。
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目にする世界には、人の顔だけでなくたくさんの情報があります。
ほとんどの人は経験を通じて、特定のことに注意を払うことを学んでいきます。
これは「価値学習」と呼ばれます。
たとえば、赤ちゃんは見知らぬ人の顔よりも親の顔から貴重な情報が得られることを学びます。
価値学習はまわりの人とのコミュニケーション、社会的相互作用に不可欠です。
今回の研究を行った米イエール大学の児童精神科のカタルジア・シャワルスカ教授はこう言います。
「今回の新しい研究では、自閉症の子どもの価値学習がそうではない子どもとは異なることを示唆しています。
この違いが、自閉症の人の多くが人が伝える社会的刺激を見ることを優先しない理由だと考えられます」
シャワルスカ教授の研究チームは、自閉症の子ども48人、発達に遅れのある子ども31人、発達に問題のない36人の、1〜6歳の子どもたちの価値学習について比較を行いました。
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無表情の人の顔の画像2つのペア、または抽象的なフラクタル図形の画像2つのペアを子どもたちに見せ、視線追跡装置によりどこを見てるのかを調べました。
どのペアの画像でも1つ1つの画像を見ている時間は、すべての子どもで同じでした。
それから、子どもたちはそれぞれのペアの画像、合計4つの画像を一つ一つ見ました。
しかし、人の顔の画像の一つは笑顔になった画像、フラクタル図形の画像の一つは回転している画像にしてあります。
そして、再び最初に見せた人の顔の画像のペア、フラクタル図形画像のペアを見せて、笑顔になった人の顔の画像、回転していたフラクタル図形の画像を優先して見るかを測定しました。
発達に問題のない子どもと発達に遅れのある子どもは、一度笑顔になった人の顔の画像を長く見ていました。
フラクタル図形の画像については変わりありませんでした。
一方で、自閉症の子どもたちは逆でした。
一度回転したフラクタル図形の画像の方を長く見ていました。
人の顔の画像については変わりありませんでした。
そしてこの傾向は、自閉症の程度と相関がありました。
つまり、自閉症の子どもたちはフラクタル図形については新たな情報を捉えるのことに優れましたが、人の顔から新たな情報を捉えることには問題をかかえていることが示唆されました。
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この研究は、自閉症児がどのように学習するかについての理解を深めると、加トロント大学の小児科のエドキア・アナグノストウ教授はいいます。
「すべての自閉症の子どもが価値学習に同じ違いを示すわけではありません。
しかしこの研究結果により、自閉症と他の発達状態の違いについて考えられます」
しかし、価値学習におけるこれらの違いがどのように発生するのかは依然としてわかりません。
一つの理論は、自閉症の一部の人の脳は、非社会的刺激と同じように社会的刺激を処理しないということです。
その結果、自閉症の人たちは幼い頃からの社会的刺激を見ることをしないかもしれません。
この価値学習は自己強化的であると、米ジョンキャロル大学の心理学のトーマス・フレジアー教授はいいます。
自閉症の人たちが社会的情報を重視しなければ、社会的刺激を求めることも少なくなります。
つまり、社会的刺激を回避することにより、自閉症の人たちは社会情報を評価することを学べないのです。
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あるいは、自閉症の人はモノについて学ぶ傾向だけをもって生まれるのかもしれません。
自閉症の人たちが非社会的刺激に集中するために認知リソースを使用することを好む場合、彼らの脳は社会的刺激を処理する余地をほとんど残さずに、発達していくのかもしれないと今回の研究を行ったシャワルスカ教授はいいます。
これらの理論について確認するためには、自閉症の有無に関係なく、幼い子どもたちが社会的刺激をどのようにして学んでいくのかを解明する必要があります。
そのために、シャワルスカ教授らの研究チームは、これらの処理の違いがいつ、どのようにして最初に発生するかを見つけることを目標に、赤ちゃんで価値学習がどのように行われるのかを今研究しています。
(出典:米SPECTRUM)(画像:Pubmed,Pixabay
うちの子も私の顔や表情に特別関心はないように感じます。小さな頃から。
それでも、昔に比べるとずいぶん私の目や顔を見て、反応してくれるようになってきたと思います。
発達障害の人が目を合わせないのは必要性を感じていないから

(チャーリー)


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