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発達障害、自閉症の増加原因は遺伝や環境でなく認知と基準変更

time 2020/06/29

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発達障害、自閉症の増加原因は遺伝や環境でなく認知と基準変更

発達障害の自閉症の診断の増加は明らかで著しくなっています。
1960年代には、およそ10000人に1人が自閉症と診断されました。
米国疾病予防管理センターによれば、現在では54人に一人が自閉症です。
そして、この傾向は米国に限らず世界中の国々で見られます。
この急増の原因は何でしょうか。
科学者たちは、遺伝、環境、および診断方法の変化について活発に議論してきました。
これらの糸のもつれを解く最近の研究では、遺伝的影響や環境影響によるものではなく、診断方法や認識の変化が、増加に関係していると示唆しています。
「遺伝的および環境的な自閉症の割合は、長期にわたって変化はありません」
そうスウェーデンのカロリンスカ研究所の主任研究者で研究の筆頭著者であるマーク・テイラーは言います。
「自閉症の有病率は大幅に増加しましたが、この研究では、環境にも何らかの変化があったためであるという証拠を提供しませんでした」
テイラーの研究チームは、双子の2つのデータセットを分析しました。
1982年から2008年までの自閉症スペクトラム障害の診断を追跡するスウェーデンの双生児登録データと、1992年から2008年までの自閉症の症状について親からの報告を評価したスウェーデンの子どもと青年の双生児研究のデータです。
それらをまとめると、約38000組の双子についてのデータがありました。
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研究チームは、自閉症の遺伝的および環境的ルーツが時間とともに変化しているかどうか、およびどれだけ変化したかを理解するために、一卵性双生児(DNAの100%を共有)と二卵性双生児(DNAの50%を共有)を分けて評価しました。
遺伝は自閉症において重要な役割を果たしています。
ある推定によれば、遺伝率は80%とされています。
“the journal JAMA Psychiatry”で発表された、今回の研究によれば遺伝的および環境的な要因は時間の経過とともに大幅に変化はしていませんでした。
研究チームは、妊娠中の母親の感染症、糖尿病、高血圧などの自閉症に関係している可能性のある環境要因の調査も行っています。
なお、本研究は特定の要因を否定するものではなく、自閉症の診断の急増の原因ではないことを示すだけのものとしています。
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今回の研究結果は、さまざまな方法で同様の結論に達した以前の研究を反映するものです。
たとえば、2011年の研究では、標準化された調査で成人を評価し自閉症の有病率に子どもと成人との間に有意な差はないと結論づけています。
また、自閉症のリスク要因として父方の年齢がしばしば議論されます。
父親の年齢は、自閉症の一因となる可能性がある「生殖細胞変異」と呼ばれる自然発生的な遺伝子変異の可能性を高めます。
これまで男性が父親になる年齢は時間とともに増加してきました。
たとえば、米国では父親の平均年齢は1972年から2015年の間に27.4歳から30.9歳に上昇しました。
しかし、自然突然変異は自閉症診断率の上昇のほんの一部にすぎないと考えられています。
米ワシントン大学医学部の精神医学および小児科教授であり知的発達障害研究センターの共同ディレクターのジョン・コンスタンチノはこう言います。
「自閉症と診断することが、25年前に比べて10〜50倍に増加しました。
父方の高齢化は、それら増加した自閉症の診断の要因としては1パーセント程度の影響でしかありません」
遺伝的および環境的要因が長期にわたって変化していないのであれば、文化的および診断的変化が有病率の急上昇の原因であるに違いないと今回の研究を行ったテイラーは言います。
「過去数十年に比べて現在は、家族も医師も自閉症などの発達障害の症状に気づくことが多くなっています。
そのために自閉症と診断される機会が増えたのです」
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診断基準の変更も役割を果たします。
医師は精神疾患の診断および統計マニュアル(DSM)に記載されている基準に基づいて、メンタルヘルス状態を診断します。
2013年より前のバージョンであるDSM-IVには、自閉症、アスペルガー障害、および他に特定されていない広汎性発達障害の3つのカテゴリーが含まれていました。
しかし現在のバージョンであるDSM-5では、これらのカテゴリーを1種類の自閉症スペクトラム障害にまとめました。
カナダのモントリオール大学の精神医学のローレント・モトロン教授によれば、以前に比べてこのような基準の変更により、自閉症の診断を受ける人が増える可能性があるといいます。
そしてコンスタンチノ教授はこう言います。
「自閉症の特徴について全人口を調査すると、彼らは身長や体重、血圧とおなじように鐘型曲線になります。
現在の自閉症の定義は、最も極端な場合を評価するようになっていません。微妙な場合も含まれるのです」
(出典:米Psychology Today)(画像:Pixabay
発達障害、自閉症の人の増加は遺伝や環境によるものではなく、それに対する認知が広まったことや診断基準が変更されたことなどいわば人的原因によるという研究結果です。
サポートが必要なのに、サポートを受けることができていなかった人を減らすことになるのであれば、増加は悪いことではありません。
自閉症の女の子が自閉症と診断されるのは男の子より1年半遅れ

(チャーリー)


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