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自閉症の子の脳波は独特の違いを示し男の子と女の子とでも違う

time 2021/10/14

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

自閉症の子の脳波は独特の違いを示し男の子と女の子とでも違う

自閉症の子どもたちは安静時の脳活動に独特のパターンを示し、そのパターンと行動との関連が、自閉症の男の子と女の子では異なることも、新しい研究で明らかになりました。

これまでの研究では、自閉症の特徴が男の子と女の子で異なることが示唆されていました。
しかしこれまで、自閉症と診断された女の子が研究に参加することは多くありませんでした。
これは、自閉症と診断されるのが男の子に偏っていることが一因です。

米メイヨー・クリニックで自閉症などの神経発達障害を専門とする精神科医のサニル・マタによれば、自閉症のバイオマーカーとなる可能性がある安静時の脳活動を調査した研究は小規模だったうえに、この性別による偏りのために、この活動が生物学的性別によって異なるかどうかを調べることができなかったといいます。

今回の新しい研究は、自閉症の男の子の脳は、自閉症の女の子の脳とは異なる機能を持っているという考えを補強するものとなります。
また、自閉症のバイオマーカーとして安静時の脳活動を検討する際には、この違いに留意する必要があると研究チームは伝えています。
今回の研究を行った米ワシントン大学の精神医学・行動科学のエミリー・ノイハウス准教授はこう言います。

「自閉症の男性について学んだことが、自閉症の女性にも当てはまるとは考えられません。
自閉症の少女や女性はこれまで研究対象に含まれていないことが多く、研究者たちは自分たちの研究結果が女性にも当てはまるかどうか、またどのように当てはまるかを一貫して調べていませんでした」

ノイハウス准教授らは、米国内の4カ所の研究施設で、自閉症の少年81人と少女61人、自閉症ではない少年70人と少女68人の安静時の脳活動を脳波で測定しました。
参加者は全員、8歳から17歳で、認知能力は平均またはそれ以上でした。

参加者は、短い映画を見た後、目を閉じてじっとしました。
研究チームは、活動レベルを反映する脳波の出力を、5つの周波数と9つの脳領域で記録しました。
また、両親が記入した標準的な質問票を用いて、子どもたちの社会性、コミュニケーション能力、日常生活能力も評価しました。

その結果、自閉症の子どもたちはそうでない子どもたちに比べて、アルファ波の出力が低いことがわかりました。
アルファ波は、神経の活性化に反比例して、注意力や感覚のコントロールに関連しており、自閉症のバイオマーカーとして有望であると研究チームはいいます。
この出力の違いは、自閉症の子が指示された静止状態を「課題」として捉えたことを意味しているのかもしれません。

精神科医のマタはこう言います。

「このデータは、普通の人にとっては安静である状態を、、自閉症スペクトラムの人たちには努力と注意を必要としていることを示唆しています」

自閉症の少年に限っては、シータ、ベータ、アルファの各周波数帯の出力が低いほど、社会性が高いことと相関していました。
これらの脳波は、記憶や注意などの認知機能を反映するものです。

また、感覚的な反応や作業記憶などの機能を反映するガンマ波の出力が高いほど、非言語的知能指数が低く、反復的な行動が多いこともわかりました。

一方で、自閉症の少女の脳波パターンは、能力や行動とは相関していませんでした。

今回の研究成果は米国の科学誌”Journal of Neurodevelopmental Disorders”に掲載されています。

なぜこのような違いがあるのかは、よくわかっていません。
精神科医のマタはこう言います。

「男の子と女の子では、同じ社会的状況を乗り切るのに異なる戦略を使っているのかもしれませんし、脳内で実際に異なる回路を使っていて、それが脳波に反映されているのかもしれません」

今回の研究結果から、自閉症の男性と女性の違いをもっと詳しく調べる必要がある。
そう、今回の研究には関与していない英国ロンドン大学のトランスレーショナル・ニューロディベロップメントのエミリー・ジョーンズ教授は言います。

「自閉症の少女がこれまで、研究にあまり参加していないことが、医療や診断、支援サービスへのアクセスの格差につながっている可能性があります」

今回の研究を行ったノイハウス准教授はこう言います。

「性別の違いが自閉症の発症や症状にどのような影響を与えるかを理解するには、最初からそれがわかるように研究を設計しなければなりません。
自閉症のコミュニティの中で、ある研究結果に代表される人とそうでない人がいることを考慮する必要があります。
そうしなければ、自閉症の理論的モデルや診断ツール、療育方法が、研究に参加していない人たちには適切でないものになってしまう危険性があります」

(出典:米SPECTRUM)(画像:Pixabay

これまで研究の対象にもなっていなければ、わかるはずもありません。サポートもできません。

ますますの研究が望まれます。

女の子の自閉症の診断を見落しを減らす。脳と遺伝子の性差研究

(チャーリー)

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