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自閉症の人のうつ等と「カモフラージュ」の強い関係性。豪研究

time 2023/02/24

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自閉症の人のうつ等と「カモフラージュ」の強い関係性。豪研究

オーストラリアで行われた自閉症の子どもと青年の研究によれば、不安やうつ,あるいは同様の症状に苦しんでいる人は,社会的状況において自分の自閉症的特徴を隠そうとする傾向がより顕著になっていました。

また、思春期の子どもたちは、自分の自閉症的特徴をカモフラージュする傾向が強くなっていました。
この研究は、Autism Research誌に掲載されています。

自閉症は、コミュニケーションや社会性の障害、制限された興味、反復的な行動などを特徴とする発達障害です。
女の子よりも男の子に多くみられます。
しかし、男の子よりも女の子の方が自閉症的特徴を発見しにくいという研究結果もあります。

自閉症の早期発見の障害となりうるものとして、自閉症的特徴のカモフラージュが指摘されています。
カモフラージュとは,社会的な状況において自分の自閉症的特徴を隠したり,覆い隠したりすることを意図した一連の行動のことです。

これは、社会に溶け込むために適用される対処法といえます。
幼少期から青年期にかけて行われるようになります。
カモフラージュをしている間,子どもは意図的に他人のボディランゲージを真似たり,顔の表情,身振り,興味,会話の話題を真似ることをします。

このようなカモフラージュは、ストレス、不安、抑うつなど、健康に悪影響を及ぼす可能性があることが研究により示されています。
初期の研究者たちは、カモフラージュをポジティブなものとして捉えていましたが、自閉症の当事者は、それを社会的、感情的、身体的な危険に対するものだと表現しています。これは生存戦略なのです。

本研究の著者であるアリス・ロスとその共同研究者らは、自閉症の子どもや青年がどの程度カモフラージュを行うかを調べました。
彼らは、男性よりも女性の方がカモフラージュが多いこと、女性は男性よりも親から(医師からではなく)障害があると評価されること、カモフラージュが内面化症状(うつ病や不安など、人の内面的心理機能の問題)の強さと関連していることを予想しました。

研究に参加したのは、自閉症スペクトラム障害と診断された女子359名と男子374名(年齢は4歳から18歳弱)です。

研究者は、自閉症診断観察スケジュールを用いて、参加者の社会的コミュニケーション、社会的相互作用、遊び、制限行動や反復行動を評価しました。

子どもの社会的コミュニケーション(Social Responsiveness Scale)および感情や行動の困難さ(Child Behavior Checklist)について保護者からの報告も評価しました。

研究者の評価と保護者の評価の差が、カモフラージュを表すと考えました。
保護者が研究者よりも、子どもの困難を多く評価していた場合には、子どもは研究者との対話の中で自閉症的特徴をカムフラージュしていることを意味します。

この結果、研究者による評価には男女差はありませんでした。
しかし、女の子の保護者は男の子の保護者に比べて、より多くのコミュニケーション困難を報告していました。
また、13歳以上の子どもは、13歳未満の子どもに比べて、より顕著にカモフラージュを行うことが示されました。

カモフラージュのスコアが高いほど、より顕著な内面化症状、すなわち、より高いレベルの抑うつ、不安、または類似の症状と関連していました。
年齢、性別、知能とは無関係でした。

「本研究は、自閉症の子ども・青年におけるカモフラージュの役割について、自閉症特性に関する親や医師の報告における性差の存在や、カモフラージュと不安や抑うつなどの内面化症状との関係などの証拠を提供するものです。
また、年齢がカモフラージュに及ぼす潜在的な影響も明らかになりましたが、これをより深く理解するためにはさらなる研究が必要です」

そう、今回の研究は結論付けています。

この研究は、自閉症の子どもや青年の社会的機能に関する科学的知見を広げるものです。
しかし、考慮しなければならない限界もあります。

この調査研究では、いかなる因果関係の結論も導き出せません。
自閉症の人がカモフラージュをより広範囲に使用することで不安やうつにつながるのか、あるいはうつや不安をかかえるためにカモフラージュするのかは、わかりません。

さらに、研究著者らは、子どもたち自身にインタビューや評価を行っていません。
Simons Simplex Collection (SSC) データベースのデータを分析したのみとなっています。

(出典:米PsyPost)(画像:Pixabay

カモフラージュ、マスキングは多くの人も程度は違えど、していたり、それを続ける困難はわかるはずです。

病んでしまうほど、それをしなくていいようになることを心から願います。

「自分の自閉症は公表したほうがいい」そんな単純な話ではない

(チャーリー)


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