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増加が続く自閉症の人たち。それは「障害」ではなく「個性」?

time 2023/08/03

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

増加が続く自閉症の人たち。それは「障害」ではなく「個性」?

イギリスでは過去20年間で自閉症の診断数が7倍に増加しました。
自閉症スペクトラムに含まれる可能性のある子どもは36人に1人という研究結果が示され、サポートを待つ人たちも過去最高に達しています。
そのため、神経多様性への意識はかつてないほど高まっています。

現在、重要な専門家たちが、一部の自閉症の人たちはもはや障害者とはみなすべきではないと主張しています。
そうした人の自閉症については、個性の一部と見なされるべきだと考えるからです。
「神経多様性の母」として知られるジュディ・シンガーはこう言います。

「自閉症とは何か、の定義は激しく議論され、決して確定しているわけではありません。
その定義は非常に複雑で、自閉症が一つの条件で定義できるものではないことを示唆しています。

しかし、自閉症という混乱した医学的診断を受けた一部の人々は自分を『異なる』と考え、一部の人々は障害者として自己を認識する傾向があります」

シンガーは一部の人々にとって、医学的な自閉症のラベルは「非人間的」になる可能性があると述べています。

「それは『あなたの何かが間違っている』という見方であり、それは、彼らの前に障害を作り出している社会の問題については考慮しないものです」

英ケンブリッジ大学の自閉症研究センターの所長であるサー・バロン=コーエン教授はこう述べています。

「自閉症は、医学モデルと障害の社会モデルの両方の視点で見るべきです。
自閉症には、優れた細部への注意力や記憶力、優れたパターン認識スキル、広い範囲よりも深い掘り下げを好むなどの長所や才能があります」

2021年の『Journal of Child Psychology and Psychiatry』によると、過去20年間で自閉症の診断数は700パーセント増加しています。
米国疾病管理予防センターからの今年の発表では、8歳の子どもの36人に1人が自閉症であると推定されています。
これは、以前は100人に1人と考えられていた数字よりも大幅に増加しています。

こうした診断数の増加は、過去20年間に自閉症の定義が広がったことが一因となっています。
とくに女性や女の子についての自閉症の発現方法も含めるようになったことが影響しています。
また、慈善団体の活動とメディア報道の増加、そして政策の変化も原因であり、それによって自閉症への偏見が減少し、診断とサポートの需要が増加したこともあります。
この結果、多くの臨床機関では診断やサポートを提供できる能力を上回るほど、診断への需要が高まっています。

その一方で、自閉症は依然として純粋な医学的疾患と見なされることが少なくありません。
シンガーは、自らが作った言葉「神経多様性」がますます誤用されていると考えています。

「私の意図したところは、人間の精神の無限の変化を意味するだけです」

シンガーによれば、「神経多様性」という用語は、権利擁護の目的で使われるべきでした。

「私は神経状態の観点から見た少数派の人たちの人権を守りやすくするための用語を提案したかったのです。
90年代の、肉体的および知的なものに不適切に限定していた『障害』を、『精神的疾患』やその他の全てを含むを含むものにすることが目的でした」

自閉症権利や神経多様性運動について著名な本『Neurotribes』を執筆したスティーブ・シルバーマンも、自閉症は障害であり同時に違いでもあると認識しています。
しかし、話すことができない「重度」の自閉症の人たちと、「高機能」な自閉症の人たちを分けるようなことには慎重です。

「まず第一に、どんな形態であっても、自閉症を持つ人たちは、自閉症でない人たちの主流社会に適応し変化することが求められます。
第二に、学習障害のない自閉症の人たちも、生活上直面する重要な課題に対して多くの支援が必要となる場合があります。彼らが支援を受ける機会を奪うものではありません。
第三に、話せない自閉症の人々であっても、自分の人生の進路をできる限り決定する尊厳を持ってもらいたいのです。医学的な、「障害」のモデルに閉じ込められることで、その尊厳が失われてしまう可能性があります」

シルバーマンは、知的障害のない自閉症の人たちの自殺率が一般人口の9倍も高いことをとくに危惧しています。
これは主に、社会が彼らの社会的・感情的ニーズを認識し受容しないためだと考えられます。

「学習障害のない自閉症の人たちは、社会的な排除に非常に敏感です。
もし私たちが彼らのためにより良い環境を作ることができたなら、彼らの自殺率は減るはずです」

(出典:英The Guardian)(画像:Pixabay

個性です。

そもそも、みんな違いますからね。

そして、御本人やまわりの人が、相応の支援が必要と考えるなら、障害。

シンプルに私はそう思います。

発達障害などを神経多様性/ニューロダイバーシティと考える功罪

(チャーリー)


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