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指の開きでわかる?手の動きに現れる自閉症のサイン。研究

time 2025/05/07

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指の開きでわかる?手の動きに現れる自閉症のサイン。研究

この記事が含む Q&A

自閉症の診断に手の動きの分析が役立つことはありますか?
はい、研究により、手の動きの微妙な違いをもとに高精度で自閉症を分類できる可能性が示されました。
どのような動作特徴から自閉症の判別が可能ですか?
指の開き具合や動作の速度、動作時間などの運動特徴が特に有効とされています。
今後の自閉症診断への応用はどのように期待されていますか?
簡易な計測装置を使った客観的な検査や、他の運動情報と組み合わせた診断法の開発が期待されています。

自閉症をより正確に理解し、診断をサポートする新しい手がかりが、私たちの「手の動き」から見つかるかもしれません。

イスラエルのハイファ大学とカナダのヨーク大学の研究チームが発表した最新の研究では、物をつかむときの手の動き(把握運動)のわずかな違いから、自閉症の有無を非常に高い精度で分類できる可能性が示されました。

この研究には、自閉スペクトラムの診断を受けた31人と、診断を受けていない28人の成人が参加しました。
いずれの参加者も知能指数(IQ)は平均的で、視力にも問題はありませんでした。
診断済みの自閉症の方々は、発達の初期に正式な診断を受けており、今回の研究ではさらに専門的な評価によって確認されています。

実験の方法は一見シンプルですが、緻密に設計されたものでした。

参加者は、小さな机の前に座り、異なる長さの細長いブロックを1つずつ親指と人差し指でつかんで持ち上げ、元の場所に戻すという動作を繰り返しました。
このブロックの長さは20ミリから60ミリまでの5種類で、幅と高さはすべて5ミリでした。
ブロックは参加者の正面に約30センチ離れた位置に置かれ、目の前にまっすぐ置かれるよう配置されました。

この動作の際、手の動きは「Optitrack(オプティトラック)」という高性能の3次元動作解析システムによって記録されました。
手には反射マーカーが3つ(親指、人差し指、手首)取り付けられ、それぞれの動きが毎秒100フレームという高精度で追跡されました。
このデータにより、指と指の間の開き具合(開口)、動きのスピード、動作のタイミングなどが数値として記録されました。

この把握実験は2つのブロックに分かれていました。
ひとつは「広い範囲ブロック」と呼ばれ、20ミリ・40ミリ・60ミリのブロックを用いました。
もうひとつは「狭い範囲ブロック」として、35ミリ・40ミリ・45ミリのブロックを使用しました。
いずれのブロックも、3種類のブロックをそれぞれ20回、合計で120回つかむという内容でした。
順番は無作為に設定され、参加者によって交互に実施されました。

研究チームは、動作中のさまざまなデータを数値化し、いくつもの「運動特徴量」を抽出しました。
これには、指の開き具合が最大になる瞬間(最大開口)、動きの開始から終了までにかかった時間(動作時間)、動作中の速度変化や、手がどこまで前に伸びたかなど、計測可能なさまざまな要素が含まれています。

これらの特徴量をもとに、人工知能を用いた解析が行われました。
複数の異なる解析手法を使って、自閉症のある人とない人とを分類できるかどうかを試みたところ、被験者ごとの集計結果に基づいた分類の正確さは非常に高く、誤りはほとんどないレベルで判別できることがわかりました。
さらに、個々の試行(1回の動作)単位での分類でも、85%〜88%の精度を保つという驚くべき結果が得られました。

この研究で特に注目すべきなのは、いわゆる「高機能」と呼ばれる自閉スペクトラムの方々であっても、手の動きにわずかな違いが現れているという点です。
見た目には分からないかもしれないけれど、細かく見ていくと、自閉症に特有の動作パターンが浮かび上がってくるのです。

また研究者たちは、どの動作の特徴が分類に特に効果的だったのかを調べ、データの中からあまり重複しない8つの重要な特徴量を抽出したモデルでも、依然として80%を超える高い分類精度が得られることを確認しました。

これにより、将来的には簡単な計測装置を使った実用的な検査方法の開発が期待されます。

このような結果から、研究チームは「手の動きだけで自閉症を高精度に分類できる可能性がある」と強調しています。
しかも、この方法は特別な質問票や自己申告を必要とせず、シンプルな動作から得られる客観的な情報だけで分類が可能なのです。
今後は、子どもや他の発達段階の人々への応用や、他の感覚運動情報との統合(たとえば目の動きとの組み合わせ)なども検討されています。

この研究が私たちに示してくれるのは、「目に見えない特性」も、注意深く観察し、正しくデータを扱えば、しっかりと可視化できるということです。
そしてその一歩が、「誰もが自分らしく生きられる社会」を実現するための、科学的で人に寄り添ったアプローチへとつながっていくのではないでしょうか。

(出典:Autism Research)(画像:たーとるうぃず)

うちの子でも、いろいろなしぐさに独特な雰囲気を感じることがあります。

こうして、診断に利用できる可能性は理解できます。

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(チャーリー)


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