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自閉症は漂白剤で治る、危険な嘘情報がSNSで拡散中。英国

time 2025/06/06

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自閉症は漂白剤で治る、危険な嘘情報がSNSで拡散中。英国

この記事が含む Q&A

ケリ・リベラが推奨しているクロリンドキシドは安全ですか?
いいえ、これは工業用の化学物質であり、人間にとって非常に危険です。
自閉症は治すことができるのでしょうか?
いいえ、自閉症は神経の多様性であり、治療可能な病気ではありません。
子どもに有害な化学物質を使用することは認められていますか?
いいえ、医療的根拠なく危険な行為は法律や倫理に反します。

イギリスで、あるインフルエンサーが「自閉症の治療法」として、有害な化学物質の使用を親たちに勧めていることが大きな問題になっています。
その人物の名はケリ・リベラ。
インスタグラムで1万7千人以上のフォロワーを持ち、親たちに「クロリンドキシド(CD)」という化学物質を子どもに与えるよう呼びかけているのです。

このクロリンドキシドは、本来は繊維を漂白したり、工業用の消毒に使われる強力な薬品です。
人間が口にすると命に関わる危険があるにもかかわらず、リベラは「自閉症の原因は寄生虫やミミズで、それを排除すれば治る」と、根拠のない主張をしています。

実際、彼女のSNSや非公開のサポートグループでは、親たちがCDを子どもに与えた結果、嘔吐、発疹、けいれん、そして尿から化学薬品のようなにおいがするなどの深刻な症状が報告されています。
それにもかかわらずリベラは、「これは体が解毒している証拠」などと繰り返し発言し、不安を抱く親たちに「大丈夫」と言い続けているのです。

ある親は、「娘のおむつからアンモニア臭が強くします。寄生虫が死んで毒を出している証拠では?」と書き込んでいました。
こうした考え方は、科学的根拠がまったくないばかりか、子どもに対する深刻な危害を正当化するものになってしまっています。

リベラの主張には「自閉症は治せる」といった記述もありますが、これは明確に誤った情報です。
自閉症は生まれつきの神経のあり方によるもので、「ウイルス」や「寄生虫」が原因ではありません。
そして「治す」ことはできません。

このような主張に対し、イギリスの自閉症支援団体や専門家たちは強く非難しています。

英国自閉症協会のティム・ニコルズ政策担当副部長はこう述べています。

「このような『プロトコル』と呼ばれる危険な指示書は、間違っていて有害です。
自閉症の子どもに危険な化学物質を使って治そうとするのは、決して許されることではありません」

自閉症は治療が必要な病気ではなく、神経の多様性(ニューロダイバージェンス)としての特性です。
本人や家族が苦しむのは、自閉症そのものではなく、それを理解せずに排除したり、治そうとしたりする社会のあり方だと、多くの当事者や支援者が訴えています。

また、英国保健安全庁は、CDを飲むことで、口やのど、胃に激しい痛みを引き起こし、血を吐いたり呼吸困難になるおそれがあると警告しています。
重篤な場合には、体内の血液量が大きく減ってショック状態に陥ることもあるそうです。
子どもが摂取すると、腸の内壁がはがれたり、ピンク色の尿や緑色の便が出たり、けいれんを起こす場合もあるといいます。

リベラはこうした健康被害のリスクを無視し、あくまでCDを使う「プロトコル」をSNSで宣伝し続けています。
さらに、子どもが具合が悪くなったときの対処法まで、親たちに指南しているのです。

リベラの行動に対して、SNS各社も対応を始めています。
TikTokの広報は「アカウントを停止した」とコメントしています。

リベラは以前、自身のアマゾンの販売ページで、自閉症を「治す」と称した本や器具を売っていましたが、活動家たちの署名運動によってそのページは削除されました。

英国の団体「アンビシャス・アバウト・オーティズム」の代表ジョランタ・ラソタも強く警告しています。

「ネット上で売られている偽の治療法は、非常に危険です。
自閉症を治せると主張する人は、根拠のない有害な情報を広めているのです」

彼女はまた、親たちに対し「情報は信頼できる機関から得てください。
たとえばNHS(国民保健サービス)などを利用し、このような詐欺に騙されないよう注意してください」と呼びかけています。

一方で、リベラ自身はこれまでの報道や問い合わせに一切応じておらず、反省の様子も見られません。
彼女のアカウントを削除するよう求める署名は、すでに3万人以上から集まっています。

(出典:英INDEPENDENT)(画像:たーとるうぃず)

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(チャーリー)


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