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自閉症・ADHDと化学物質不耐性のあいだに見えた関連

time 2026/01/05

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自閉症・ADHDと化学物質不耐性のあいだに見えた関連

この記事が含む Q&A

ケミカル・イントレランスとは何ですか?
特定の化学物質に対して疲労感や頭痛、めまい、皮膚症状など複数の身体症状が同時に現れる状態です。
日本ではケミカル・イントレランスと自閉症・ADHDの関連が確認されませんでしたが、その理由は何ですか?
日本では回答傾向が中間を選ぶ傾向が影響した可能性が指摘されています。
この研究は因果関係を示しますか?
いいえ、ケミカル・イントレランスが自閉症やADHDを生む・その逆であると結論づけるものではなく、関連が観察されたというだけです。

私たちの身の回りには、洗剤、香料、建材、排気ガスなど、さまざまな化学物質があります。
多くの人にとっては問題にならない濃度であっても、強い不調を引き起こしてしまう人がいます。
このような状態は、ケミカル・イントレランス(化学物質不耐性)と呼ばれています。

ケミカル・イントレランスは、特定の化学物質に対して、疲労感、頭痛、気分の変化、めまい、皮膚症状、消化器症状、集中のしづらさ、呼吸の違和感など、複数の身体症状が同時にあらわれる状態として知られています。
一度の強い曝露がきっかけになることもあれば、低い濃度の曝露が長く続くことで始まる場合もあります。
特徴的なのは、最初とは関係のない別の化学物質や、食べ物、薬剤にも反応するようになることがある点です。

このケミカル・イントレランスは、世界的に増加していると報告されていますが、その診断や定義は国や研究によって異なり、いまだ統一された基準はありません。
そのため、「実在する身体的な問題なのか」「心理的な要因が強いのではないか」という議論が長年続いてきました。

一方で、自閉症やADHDもまた、近年その報告数が増えている発達特性です。
自閉症やADHDは、行動や認知の特徴によって定義される神経発達の特性であり、感覚の過敏さ、注意の持続の難しさ、社会的なやりとりの独自性などを含みます。
これらの特性も、遺伝要因だけでなく、環境要因との相互作用が関わっていると考えられています。

今回の研究は、ケミカル・イントレランスと、自閉症やADHDのあいだに、どのような関係があるのかを、国をまたいで検討したものです。
この研究は、アメリカ、インド、日本、イタリア、メキシコの5か国で実施されました。
研究を行ったのは、アメリカ・テキサス大学健康科学センターなどの研究チームです。

この研究では、約5000人の成人を対象にオンライン調査が行われました。
調査では、回答者自身のケミカル・イントレランスの程度と、「自分の子どもに自閉症やADHDと診断された子がいるかどうか」を尋ねています。
ここで重要なのは、これは医療記録を確認したものではなく、あくまで保護者による自己申告であるという点です。

ケミカル・イントレランスの評価には、国際的に使われている質問票が用いられました。化学物質への反応の強さや、症状の重さを点数化し、「低い」「中程度」「高い」の3段階に分類しています。
とくに点数が高い場合は、「ケミカル・イントレランスが強く疑われる状態」とされます。

分析の結果、5か国のうち日本を除く4か国で、ケミカル・イントレランスが強いと分類された人ほど、「自閉症のある子どもがいる」「ADHDのある子どもがいる」と回答する割合が高いことが示されました。
統計的に見ると、ケミカル・イントレランスが低い人と比べて、高い人は、自閉症やADHDのある子どもがいると報告する確率が、およそ2倍以上になる国もありました。

この傾向は、自閉症とADHDのどちらについても、ほぼ同じパターンで見られました。
つまり、ケミカル・イントレランスと、子どもの自閉症やADHDの報告には、国を超えて共通した関連が観察されたのです。

ただし、日本だけは例外でした。
日本では、ケミカル・イントレランスの強さと、自閉症やADHDの報告とのあいだに、明確な統計的関連は確認されませんでした。

研究者たちは、この点について、文化的な要因や回答の仕方の違いが影響している可能性を指摘しています。
日本では、質問票で極端な選択肢を避け、中間的な回答を選ぶ傾向が知られており、それが結果に反映された可能性があるとしています。

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この研究が特に強調しているのは、「因果関係は示していない」という点です。
ケミカル・イントレランスがあるから子どもが自閉症やADHDになる、あるいはその逆だ、という結論は、この研究からは導けません。
調査は一時点で行われたものであり、時間の流れや発症の順序を追ったものではないからです。

また、調査にはいくつもの制限があります。
たとえば、子どもの人数を尋ねていないため、「家族に少なくとも1人、自閉症やADHDの子どもがいるかどうか」という、家族単位の指標になっています。
そのため、一般に知られている有病率と直接比べることはできません。
さらに、社会経済的状況や教育歴などの要因が考慮されていない点も、結果の解釈を難しくしています。

それでも研究者たちは、5か国中4か国で、似た傾向が再現されたこと自体に注目しています。
過去にアメリカ国内で行われた調査でも、同様の関連が報告されており、今回の研究はそれを国際的に確認した形になります。

研究の考察では、ケミカル・イントレランス、自閉症、ADHDが、共通の生物学的な基盤を持っている可能性についても触れられています。
免疫の働き、慢性的な炎症、酸化ストレス、代謝の調整など、複数の身体システムが関わる点で、これらの状態には重なりがあると考えられています。
ただし、これらはあくまで仮説であり、直接的な証明はされていません。

将来的には、遺伝要因と環境要因がどのように組み合わさって、これらの特性や不調につながるのかを、より詳しく調べる必要があると研究者たちは述べています。
そのためには、長期間にわたる追跡研究や、生物学的な指標を用いた研究が不可欠です。

この研究は、政策や医療のあり方をすぐに変えるための結論を示すものではありません。
しかし、私たちが暮らす環境と、心や体の特性とのあいだに、見過ごされがちなつながりがある可能性を示しています。
とくに、化学物質への曝露が多い現代社会において、環境への配慮がどのような意味を持つのかを、改めて考えるきっかけを与えてくれる研究だと言えるでしょう。

なお、この研究は、国際的な調査データを用いた観察研究であり、慎重な解釈が求められます。
その前提を踏まえたうえで、「なぜ同じような傾向が複数の国で見られたのか」という問いを、これからの研究がどう掘り下げていくのかが注目されます。

(出典:Journal of Xenobiotics DOI:10.3390/jox16010005)(画像:たーとるうぃず)

そのような関係の指摘は初めて見ました。

さらなる研究が期待されます。

親が仕事で接する化学物質。自閉症の子の行動や認知との関連

(チャーリー)

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