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自閉症の療育と感情の困難さ、療育の数が多いほど何が起きるのか

time 2026/01/15

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

自閉症の療育と感情の困難さ、療育の数が多いほど何が起きるのか

この記事が含む Q&A

療育にはどのような種類が多く用いられており、どの程度の割合で経験されているの?
言語療法が9割以上、作業療法や行動療法も多く、平均して3種類前後を経験している。
療育の種類が多いほど感情調整の困難さが高くなる理由は何で、因果関係はどう考えられているの?
療育の多さと感情困難の関連は、困りごとが大きい子ほど保護者がより多く療育を探す可能性を示唆しており、因果関係は一時点のデータから特定できない。
言語療法や作業療法・行動療法は感情の困難さにどのような影響を示しているのか?
言語療法は感情の反応性・抑うつ的側面が低い傾向があり、作業療法・行動療法は抑うつ的困難さが低い傾向がある。

自閉症のある子どもにとって、早期療育はとても大切だとされています。
言葉の発達を助ける言語療法、日常動作を支える作業療法、行動を支援する行動療法など、幼児期からさまざまな支援が行われています。
一方で、多くの保護者が日々悩まされている「感情のコントロールの難しさ」は、早期療育の中心的な対象にはなってこなかったのが現状です。

今回紹介する研究は、アメリカ・ピッツバーグ大学医学部精神医学教室によって行われたもので、自閉症のある2歳から5歳の子どもを対象に、早期療育への参加と感情調整の困難さとの関係を大規模データで調べています。
この研究は、「どんな療育に参加しているか」と「感情の不安定さ」が、どのようにつながっているのかを明らかにしようとしたものです。

研究で注目された「感情調整の困難さ(エモーション・ディスレギュレーション)」とは、感情の強さや持続時間をうまく調整できず、生活や行動に支障が出てしまう状態を指します。
たとえば、怒りや不安が急激に高まり、なかなか落ち着けなかったり、逆に楽しい気持ちや前向きな感情が十分に高まらなかったりすることが含まれます。
研究では、こうした側面を「反応性」と「抑うつ的側面」の2つに分けて評価しています。

調査には、アメリカ国内の自閉症のある未就学児を育てる保護者853人が参加しました。
子どもはすでに専門家から自閉症の診断を受けていました。
保護者はオンラインで質問票に回答し、子どもがこれまでにどのような療育を受けてきたか、そして感情面でどのような困りごとがあるかを報告しています。

その結果、まず明らかになったのは、療育への参加率の高さです。
言語療法は9割以上の子どもが経験しており、作業療法や行動療法も非常に多く利用されていました。
ほとんどの子どもが1種類だけでなく、平均して3種類前後の療育を経験していたことが分かりました。

次に注目されたのが、療育と感情調整の関係です。
分析の結果、少し意外な傾向が見えてきました。
参加している療育の「種類が多い」子どもほど、感情調整の困難さの得点が高い、つまり感情面での困りごとが強い傾向があったのです。
これは、たくさんの療育を受けているから感情が不安定になる、という単純な話ではありません。
研究者たちは、感情面の困難が大きい子どもほど、保護者が「何とか助けたい」と考えて、より多くの療育を探し、利用している可能性を指摘しています。

一方で、個別の療育に目を向けると、また別の側面が見えてきます。
言語療法に参加している子どもは、感情の反応性や抑うつ的な側面が低い傾向がありました。
また、作業療法や行動療法に参加している子どもでは、特に抑うつ的な感情の困難さが低い傾向が見られました。
これらの結果は、家庭の収入や子どもの年齢、言語能力、自閉症特性の強さといった要因を考慮した上でも確認されています。

このことは、言葉で気持ちを伝えられるようになることや、日常生活のスキルが高まることが、結果的に子どものフラストレーションを減らし、感情の安定につながっている可能性を示しています。
ただし、この研究は一時点のデータを用いたものであり、「療育が感情を安定させた」のか、「感情が比較的安定しているから療育に参加しやすかった」のかまでは分かりません。

研究者たちは、ここで「もっと多くの療育を受ければよい」という考え方に慎重になる必要があると述べています。
複数の療育を同時に受けることは、子どもや家族にとって負担になる場合もあり、そのストレスが感情面に影響する可能性も否定できません。
今回の結果は、感情調整そのものを明確な目標とした支援が、幼児期からもっと検討されるべきだという問題提起にもなっています。

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この研究は、感情調整が療育の「副次的な結果」として変化する可能性を初めて大規模に示したものの一つです。
自閉症のある子どもにとって、感情の揺れは日常生活や家族関係に大きな影響を与えます。
今後、療育の効果を考える際には、言葉や行動だけでなく、「感情がどう変わるのか」という視点も重要になっていくのかもしれません。

早期療育は、単にスキルを増やすためのものではなく、子どもが安心して日々を過ごせる土台づくりでもあります。
この研究は、その土台の中に「感情の安定」という要素をどう組み込んでいくかを、私たちに問いかけています。

(出典:Journal of Autism and Developmental Disorders DOI: 10.1007/s10803-025-07198-9)(画像:たーとるうぃず)

「もっと多くの療育を受ければよい」という考え方に慎重になる必要がある

親子ともに無理はされないでください。

私はとにかく、うちの子の笑顔が見れることを第一にしてきました。

今でも。

そのおかげで、幸せに過ごすことができていると思っています。

自閉症の子への療育は「多ければ多いほど良い」ではない。研究

(チャーリー)

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