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自閉症の成人、6人に1人が30日以内に再入院。米国調査

time 2025/07/20

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自閉症の成人、6人に1人が30日以内に再入院。米国調査

この記事が含む Q&A

自閉症の成人は精神科の再入院リスクが高いのですか?
はい、安全な退院と継続支援の欠如が再入院につながると研究で示されています。
自閉症のある人の再入院率は他の精神疾患を持つ人と比べてどうですか?
自閉症のある成人は30日以内の再入院率が約17%と高く、特に知的障害を併せ持つ場合は25%に達します。
女性の自閉症患者は男性と比べて再入院しやすいのですか?
はい、調査によれば自閉症の女性は男性よりも約3割高い再入院リスクがあるとわかっています。

精神科に入院したあと、たった1か月でまた同じ病院に戻ってくる人がいます。
入院で回復するはずだった体調やこころの状態が、退院しても落ち着かず、ふたたび悪化してしまうのです。
こうした再入院が頻発しているのが、自閉症のある成人です。

アメリカの大規模な全国データを用いた研究で、自閉症のある成人の精神科入院とその後の再入院が、他の人たちと比べて際立って多いことが明らかになりました。
調査を行ったのは、ドレクセル大学・自閉症研究所の研究チームです。彼らは、医療研究・品質庁(AHRQ)が管理する「全国再入院データベース(National Readmission Database: NRD)」の2019年版をもとに、全米30州・約1800万件の入院記録(補正後は3500万件相当)を分析しました。

調査対象となったのは、18歳以上の成人で、精神疾患を主な理由として入院したケースです。
自閉症、知的障害、ADHD、その他の精神疾患という4つのグループに分けて、入院率と30日以内の再入院率、そしてその背景を比較しました。

結果として、自閉症のある成人の入院全体のうち、36%が精神疾患によるものであることがわかりました。
この割合は、知的障害のある人(23%)やその他の精神疾患を持つ人(12%)を大きく上回っており、ADHDのある成人(41%)に次ぐ水準でした。

さらに深刻なのは、その後の再入院率の高さです。精神疾患で入院した自閉症のある成人のうち、30日以内に再入院した人は17%にのぼっていました。
6人に1人以上が、退院してから1か月も経たずに再び病院に戻っていたことになります。
知的障害のある人では25%、ADHDのある人では17%、その他の精神疾患の人では14%でした。

とくに、自閉症と知的障害の両方を併せ持つ場合は再入院率が25%と高く、知的障害のみの人と同等の水準でした。

精神疾患の内容として最も多かったのは統合失調症であり、自閉症のある人の入院理由のうち約3割(30.4%)を占めていました。
次いで、うつ病(25.4%)、双極性障害(19.9%)が続きました。知的障害のある人でも統合失調症が最多(51.0%)で、その他のグループではうつ病やアルコール関連障害が上位にありました。

統合失調症で入院した場合は、再入院のリスクも高くなっていました。
自閉症のある人で、最初の入院理由が統合失調症だった場合、22%が再入院しており、うつ病による入院(13%)よりも明らかに高い割合でした。

性別による違いも明らかになりました。
自閉症のある女性では、再入院率が20%に達しており、男性の16%よりも高くなっていました。
この傾向は非自閉症の人には見られず、自閉症のある女性に特有の支援上の課題がある可能性が示されています。

入院時の医療保険の種類も再入院と関係していました。
自閉症のある人では、メディケイド(低所得者向け医療保険)が40.6%、メディケア(高齢者・障害者向け)が24.7%を占めており、公的保険が主な支払者になっていました。
再入院率は、メディケアが20%、メディケイドが19%で、私的保険(13%)よりも高い結果でした。

詳しく分析した結果からは、「自閉症がある」ということ自体が、再び入院してしまう可能性を高める要因であることがわかりました。
統計的には、自閉症のない人と比べて、自閉症のある人はおよそ1.5倍の確率で再入院していたことになります。

さらに、自閉症だけでなく知的障害も併せ持っている人は、知的障害のない自閉症の人と比べても、再入院の可能性がほぼ2倍に上っていました。

また、自閉症のある女性は、男性よりも再入院しやすい傾向も明らかになりました。
割合としては、女性のほうが約3割ほど高い再入院リスクを持っていたことになります。

まとめると次のように、調査結果からはいくつかの重要な傾向が読み取れます。

  1. 自閉症のある成人の36%が精神疾患を理由に入院していた
  2. 精神疾患で入院した自閉症のある成人のうち17%が30日以内に再入院していた
  3. 自閉症と知的障害の両方を持つ人の再入院率は25%と非常に高い
  4. 統合失調症による入院は、うつ病などに比べて再入院リスクが高い
  5. 自閉症のある女性は男性よりも再入院しやすい傾向がある
  6. 公的保険を利用していた人は私的保険の人より再入院しやすかった

こうした結果から、研究チームは複数の課題を指摘しています。


まず、自閉症や知的障害のある人に対応できる精神科医療の体制が不足していること。
そして、退院後に地域の外来や支援サービスにつながる体制が弱く、継続的な支援が途切れてしまうことです。

また、発達障害に関する支援と精神疾患に関する医療制度が分かれて存在しているため、両方の特性を持つ人が制度の間に取り残されやすいという構造的な問題もあります。
医療者側にも、自閉症のある人への理解や専門性が不足していることが、退院後の計画づくりや支援の実行を難しくしている現状があります。

再入院の背景には、個人の問題ではなく、制度や支援体制の不在があることが、今回の研究によって改めて浮き彫りになりました。

(出典:Research in Autism)(画像:たーとるうぃず)

「30日以内に再入院」

難しく、厳しい状況があるのですね。

家族の相当な厳しさも想像します。

自閉症の女性は精神疾患になりやすく入院するリスクも高い。研究

(チャーリー)


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