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自閉症の子どもの感情や行動は、親の「レジリエンス」で変わる

time 2026/02/08

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

自閉症の子どもの感情や行動は、親の「レジリエンス」で変わる

この記事が含む Q&A

親の心理的レジリエンスは子どもの情緒・行動にどのような影響を与えるのですか?
親のレジリエンスが高いほど子どもの情緒的な問題や問題行動が少なく、向社会的行動が多くなる傾向が、養育スタイルを通じて示されます。
養育スタイルにはどんなタイプがあるのですか?
オーソリタティブ(温かく見守りつつルールを明確)、オーソリタリアン(厳格・命令が多い)、パーミッシブ(放任的)の3つです。
子どもを支えるには親はどう関わるべきですか?
親のストレスを減らしレジリエンスを高め、オーソリタティブな関わり方を心がけることが重要と示されています。

自閉症のある子どもが日常生活の中で見せる感情の不安定さや行動のむずかしさは、本人にとっても、家族にとっても、大きな負担になります。

・かんしゃくが強い
・落ち込みやすい
・友だち関係がうまくいかない
・衝動的な行動が多い

こうした困りごとは、「その子の特性だから仕方ない」と考えられがちです。
しかし近年、子ども本人だけでなく、親の心理状態や関わり方が、子どもの状態に深く関係していることが、少しずつ明らかになってきています。

今回紹介する研究は、中国の大学に所属する心理学・初等教育分野の研究チームによって行われました。
自閉症のある子どもの親がもつ**心理的レジリエンス(心の回復力)が、子どもの感情面・行動面の問題とどのように関係しているのか、そしてその関係に養育スタイル(育て方の傾向)**がどのように関わっているのかを詳しく調べています。

レジリエンスとは、強いストレスや困難に直面したときでも、折れずに立て直す力のことです。

・つらい状況でも気持ちを整え直せる
・問題に向き合い続けられる
・希望を失いにくい

といった心の特性を指します。
この研究では、自閉症のある3〜18歳の子どもを育てている親258人を対象に、質問紙調査が行われました。
調査では、

・親の心理的レジリエンス
・親の養育スタイル
・子どもの感情・行動の特徴

が測定されました。

分析の結果、親の心理的レジリエンスが高いほど、

・子どもの情緒的な問題が少ない
・問題行動が少ない
・向社会的行動(思いやり・助け合い行動)が多い

という関連が見られました。
つまり、親が精神的にしなやかであるほど、子どもの状態が良好な傾向にあるということです。

ただし、ここで重要な点があります。
レジリエンスが高いからといって、直接的に子どもの問題が減るわけではありませんでした。

研究では、養育スタイルを大きく3つに分けて調べています。

1つ目はオーソリタティブ(権威的・民主的)な養育
・あたたかい
・子どもの話をよく聞く
・ルールは明確

2つ目はオーソリタリアン(権威主義的)な養育
・厳しい
・命令が多い
・感情的なやりとりが少ない

3つ目はパーミッシブ(放任的)な養育
・甘い
・ルールが少ない
・制限をあまり設けない

分析の結果、

親のレジリエンス
→ 養育スタイル
→ 子どもの状態

という間接的な経路がはっきり確認されました。

レジリエンスが高い親ほど、

・オーソリタティブな養育が多い
・権威主義的・放任的な養育が少ない

という傾向がありました。
そして、

オーソリタティブな養育 → 子どもの向社会的行動が増える

パーミッシブな養育 → 子どもの情緒的問題が増える

オーソリタリアンな養育 → 子どもの問題行動が増える

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という関係が確認されました。

統計的に詳しく調べると、親のレジリエンスから子どもの問題への直接の影響は消え、すべて養育スタイルを通した影響だけが残りました。
つまり、

親がどれだけ折れにくい心をもっているか

それが育て方に表れる

その育て方が子どもの状態を左右する

という構造が示されたのです。


研究者は次のように考えています。

レジリエンスが高い親は、

・感情が乱れにくい
・衝動的に怒りにくい
・状況を冷静に判断しやすい

そのため、

・落ち着いて対応できる
・説明しながら関われる
・子どもの立場を考えられる

結果として、あたたかく、かつ一貫性のある関わりがしやすくなります。

オーソリタティブな養育では、

・ほめる
・認める
・見通しを伝える
・安心できる枠組みをつくる

といった関わりが多くなります。
自閉症のある子どもにとって、

・環境の予測可能性
・安心感
・肯定的なフィードバック

は、行動の安定や社会性の発達を支える重要な要素です。

この研究は、「親の育て方が悪いから問題が起きる」と主張しているわけではありません。
自閉症は神経発達の特性によるものであり、親の行動が原因で生じるものではないことは、科学的に確立されています。
この研究が示しているのは、親を支えることが、結果的に子どもを支えることにつながるという視点です。

研究者は、今後の支援として、

・親のストレス軽減
・親のレジリエンスを高める心理支援
・オーソリタティブな関わり方のトレーニング

を組み合わせることの重要性を示しています。

子どもだけを訓練するのではなく、家族全体を支えるアプローチが効果的である可能性が示されたと言えます。
子どもの困りごとを変える鍵は、子どもだけの中にあるのではありません。

・親の心の余裕
・親が立て直す力
・親の関わり方

こうした要素が重なり合って、子どもの日常は少しずつ変わっていきます。
「もっと頑張らなければ」ではなく、「親自身が支えられること」が、実はとても大切なのだと、この研究は教えてくれています。

(出典:PLOS One DOI: 10.1371/journal.pone.0329989)(画像:たーとるうぃず)

親を支えることが、結果的に子どもを支えることにつながる

見過ごされたり、忘れられたりしないことを願っています。

自閉症の家庭で、親の感じる「周囲の目」が変えてしまうこと

(チャーリー)

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