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うまく対応をしている発達障害の子たちは強い不安を抱えている

time 2018/05/28

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

うまく対応をしている発達障害の子たちは強い不安を抱えている

発達障害の子どもは、他の人の考えを理解できないことがことが少なくありません。
そのため事前に自分なりの、人とのやりとりの対応パターンを作って、うまくそれを補っていることもあります。
しかしそうすることで、大きな犠牲を強いられているかもしれません。
新しい研究では、そうした対応をしている子どもたちは、異常なほどの強い不安を抱えているということを伝えています。
発達障害の子の中で、話すことや、精神的なスキルが高くない子でないほど、そうした傾向が高くなっています。
相手はこう思っているだろう、こう言ったらこう思うだろうと、相手を理解する能力が足りないことを、そうして準備した行動をとることで補っているのです。
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英キングス・カレッジ・ロンドンの研究員、ルーシー・リビングストンはこう言います。
「こうすることで、相手のことを理解できていないのを補って、ふるまうことができています。
しかし今回の研究からは、こうした無理が大きな負担を与えていることが示唆されています。」
その研究結果から、そうした相手への対応方法をとっている発達障害の子どもたちの不安を和らげ、社会的なスキルを向上させるサポートができるように、そうした子どもたちをきちんと発見できることが求められます。
「こうした、相手とのやりとりにかかえる大きな不安を和らげることができれば、より効果的に社会的なスキルを身につけることができるようになるはずです。
正しく療育を行うことができます。」
そう英ロンドン大学の行動科学と脳科学のデイビッド・スクーゼ助教授は言います。
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今回の研究では、発達障害の10歳から15歳までの子どもたち136人が参加しました。
研究チームは自閉症診断観察スケジュール(ADOS)を利用し発達障害の状態を評価しました。
その子どもたちと親たちは、不安のレベルをアンケートで答えました。
子どもたちは非言語のIQテストを受け、短期記憶、そして、あることから別のことに切り替えられる能力なども評価されました。
136人のうちの約半数が、ADOSの評価では社会的スキルは高いものでした。
これらの子どもたちは相手を理解する能力の不足を、うまく振る舞って、「補っている」可能性があります。
この社会的スキルが高かった子どもたちのIQテストの平均結果は93点と全体平均よりも9点も高く、ものごとの切り替え能力も、他の子どもたちよりも優れたものでした。
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そして、この子どもたちは自分自身が答えたアンケートでは強い不安を答えていました。
一方で、親が自分の子どもの不安状態について答えたアンケートからは、この子どもたちの親は、子どもが強い不安を持っていることに気づいていないことがわかりました。
「子どもたちはまわりの期待に合わせているのです。
持っている高いIQ、優れた切り替え能力を使って。
そうしてそのために、強い不安を抱えているのです。」
この研究は”Journal of Child Psychology and Psychiatry”に掲載されています。
女の子は発達障害であることをうまく隠してしまうことがあることは知られています。
しかし、今回の研究では男女で差はありませんでした。
とはいえ、136人のうち112人が男の子であり偏りが大きかったために性差を見つけられなかった可能性があります。
研究チームは発達障害の子どもたちの中でどの程度、こうした振る舞いを身につけることによって相手のことを理解する能力の不足を補っている子どもたちがいるのか?
そして、そうした行動をとるようになる子どもたちを見つける方法などについては、今回の研究ではわからないと伝えています。
「わかったことは、とても限られています。」
そう、米ジョージ・ワシントン大学の小児科精神医学のローレン・ケンワーシー准教授が言います。
「今回の研究では、相手のことを理解できないことを、うまく補う行動に注目をしていますが、
今回のような検査の機会とふだんの生活の機会とでは、同じようには考えられないかもしれません。
現実のふだんの生活で、相手のことを理解できないことを補い、振る舞うことは、もっととても難しいことのはずです。」
今回の研究を行ったチームでは今後、遊び場や教室などふだんの現実の世界に近い環境のなかで、相手のことを理解するスキルの不足を「補う」子どもたちについて研究したいとしています。
また、どのような選択、方法を使って補っているのかも調査する予定です。
そうして、無理をしているその「補い」が強い不安に見合ったものといえるのかを判断できるようにしたいと考えています。
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(出典:米SPECTRUM)(画像:Pixabay
相手のことがわからないのを、そうして補う。
そのために強い不安を抱え続けている。
発達障害の有無にかかわらず、誰しもが想像できそうなことです。
発達障害の子や方であれば、それはさらにすごく大変であろうことも想像できると思います。
無理して合わせることない、みんな違ってみんないい、とみんなが思うようになれば、そうした不安もなくなっていくはずです。
発達障害によって氷河期を乗越え絵も描けた

(チャーリー)


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