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自閉症の人は不安症になる人も多いが幼い頃は恐怖を感じていない

time 2018/08/29

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自閉症の人は不安症になる人も多いが幼い頃は恐怖を感じていない

「自閉症の子は、そうでない子やその他の発達の遅れにある子に比べると、恐ろしいものに直面しても恐怖を感じることが少ない。」
この恐怖感の欠如が、自閉症の子が車が走っている道に気にせず向かって行ってしまったり、水辺に行ってしまうことの理由になるかもしれません。
今回の研究を発表した米イェール大学の幼児発達障害クリニックの所長、カタルジナ・シャワルスカはこう言います。
「自閉症の子の安全に関わる問題に、このことが深刻な影響を及ぼしていると考えています。
自閉症の子は、脅威を理解できないために、常に危険にさらされてしまうのです。」
今回の研究調査では、自閉症の子は感情に影響を与える状況においても、反応があまりないことがわかりました。
つまり、自閉症の子は、感情への刺激に対してほとんど反応しないか、そうでない子よりも恐怖および喜びが少ないと考えられます。
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「私たちは、このような結果になるとは考えていませんでした。
それは自閉症の人は大きくなると、不安や恐怖をかかえることが多いためです。
そのため、幼児期から恐怖や不安を感じやすいと考えていたからです。」
この研究に関わったイェール幼児期社会性認知プログラムのスザンヌ・マカリはそう言います。
米タフツ大学の小児精神医学のマシュー・シーゲル准教授もこう言います。
「恐怖と不安に密接に関連しているので。」
今回の研究では、13ヶ月から40ヶ月の年齢の、43人の自閉症の子、16人の発達の遅れがある子、40人の発達に問題がない子が参加しました。
喜び、怒り、そして恐怖、それらを感じるようにした状況に子どもたちをおきました。
子どもたちの親は喜ばせるために、シャボン玉をふいてあげる。
楽しくおもちゃで遊んでいるところをうでをつかんで無理に途中でやめさせて、イライラさせる。
おもちゃのクモをうごかしたり、おもちゃの恐竜が怖い声で吠えたり、マスクをかぶった男を立たせて、恐怖を感じさせる。
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研究者たちは、それぞれの状況におかれた子どもたちを撮影したビデオを見て、子どもたちの表情や声の大きさなどを評価しました。(評価する研究者は子どもが自閉症かどうかは知りません。)
56人の子どもには、皮膚にセンサーをとりつけて汗から生理的な反応の状況もモニターしました。
マスクをかぶった恐怖の男が部屋に入ってくると、自閉症でない子は恐怖を表情や声で示し、生理的な反応も高くなりました。
一方で恐怖を感じていないように見える自閉症の子は、恐怖の男が部屋に入ってきても、生理的な反応も高くなりませんでした。
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子どもたちは、社会的な不安な状況にもおかれました。
見たことがない人が部屋に入ってきて近づいてきても、自閉症の子はそうでない子よりも恐怖を見せることはありませんでした。
自閉症の子は、他の子どもたちと同じように、驚くべき物や人を見ていたため、恐怖を感じていないのは、見ていない、注意していないことが理由とは考えられません。
自閉症の子はそうでない子や別の発達障害の子に比べて、喜びについては違いがないものの、イライラする状況においては、怒りやすいこともわかりました。
なお、自閉症の子どもたちが示す、恐怖、怒りの程度は、自閉症の重症度とは相関がみられませんでした。
しかし、喜びについては、重度の自閉症の子は軽度の子よりも、少ないようでした。
そのため、喜びの感情については、自閉症の程度により異なるかもしれないと伝えています。
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この研究調査方法であれば、自閉症の子の感情の変化は確かめることが可能だろうと、この研究に関わっていない米ピッツバーグ大学の精神科のカーラ・マゼフスキー准教授はいいます。
しかし、そうでない子と同じような変化を見せたからといって、自閉症の子がそうでない子と同じ感情ではないかもしれないと指摘します。
例えば、おもちゃを取り上げられて遊べなくなったことではなく、遊んでいるおもちゃを取り上げられるときに腕を押さえつけられたこと、その感覚刺激に強い不満を示した可能性もあるからです。
また、恐怖という感情については、男性と女性とで異なるとオランダのライデン大学のキャロライン・リーフェ教授はいいます。
「男の子のほうが、女の子よりも恐怖を感じる傾向があるのです。」
今回の研究調査では、自閉症の子たちの88%は男の子でした。
そうでない子たちでは、男の子と女の子はほぼ同数でした。
つまり、自閉症とは関係なく、男の子ばかりのグループであったために、恐怖を強く感じていると評価された可能性があるという指摘です。
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不安症は自閉症の人の多くが抱えていますが、その現れ方は人それぞれです。
そして、発達に問題がない子、自閉症ではない発達に遅れがある子でも、幼児期の恐怖が、大きくなってから不安症につながる可能性があります。
今回の研究を行った、米イェール大学のシャワルスカ所長はこう言います。
「幼い頃に恐怖を感じることが少ないのに、大きくなると不安症になってしまうメカニズムを解明できれば、効果的な支援を行えるはずです。」
この研究に参加した子の何人かは5歳になりました。
その年齢になると、かかえている不安の程度をきちんと測定しやすくなるといいます。
研究チームでは子どもの感情について、年齢の経過とあわせて追跡し、不安症や恐怖症へのつながりを研究したいとしています。
(出典:米SPECTRUM)(画像:Pixabay
うちの子も危険意識は少なく、危ないです。車が走るような道では、常に手を繋いでいます。
ですが、何に恐怖したのか私にはわからないのですが、泣きながら怯えているようにしているときもあります。
原因がわからず、そういうときは隣に一緒にいることくらいしかできないのですが、恐怖の対象が異なっているのかもしれないのかなとも思います。
発達障害の息子を危険にする深刻な問題行動

(チャーリー)

 


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