発達障害の自閉症の子のきょうだい（兄弟姉妹）も、不安症、うつ、社会的な困難をかかえてしまう傾向があるという新たな分析結果が発表されました。
米バージニア工科大学の人間発達の助教授、キャロライン・シバースはこう言います。
「これまでに約７０の研究から、その証拠が見つかりました。」
この分析は、自閉症の子の家族も自閉症の影響を受けるとする「自閉症の広い影響」理論を支持するものです。
しかし、この研究に対して英ロンドン大学の臨床、教育心理学の上級講師のウィリアム・マンディは、「きょうだい」に起こる困難について、家庭環境だけでなく遺伝的なことによる影響の可能性、それが明らかになっていないと指摘します。
「自閉症の子のきょうだいも困難をかかえてしまう、その原因がよくわかりません。
今回の分析をきっかけに、生物学的なアプローチによる研究を行うことによって、遺伝的な影響も明らかになるかもしれません。
もしそうなれば、困難をかかえるきょうだいを助けるための医療方法についての重要な基礎を考えることができるはずです。」
今回の分析では、研究チームは自閉症の子のきょうだい６６７９人と、そうでない子２１２６３人を対象に行なった研究など、これまでに行われた６９の研究結果について分析を行いました。
いくつかの研究において、自閉症の子のきょうだいも発達状態に問題をかかえていたり、他の障害が認められていました。
そして、知的障害の子のきょうだい、自閉症ではない発達障害の子のきょうだいにくらべると、自閉症の子のきょうだいは社会的、感情的に困難な状態となっていました。困難な状況に立ち向かっていることも多く見られました。
今回の分析結果は、自閉症の子のきょうだいがリスクをかかえてしまうことを示唆します。
しかし、米ノースウェスタン大学のコミュニケーションと障害について研究をするモリー・ロッシュ准教授はこう言います。
「この分析は、自閉症の子の家庭内でよく起きている状況が指摘できるものです。」
分析対象となった数多くの研究は、自閉症の子の親やきょうだいに対しての質問と回答をもとにしたものです。
「自閉症の子の親は、他の子どもが見せる行動についても、自閉症と関係づけたり、疑ったりする傾向があるのです。
親が回答した結果をもとにした複数の研究から導いた、この分析結果は正しいものです。
しかし、現実には自閉症の子のきょうだいはそれほど問題をかかえていないのに、親が心配しすぎているだけかもしれません。」
米ニューヨークにあるマウント・サイナイ医科大学の心理学のページ・サイパー助教授はこう言います。
「きょうだいの状況の把握は、親からの聞き取りなどではなく、内面や心理的な分析をもって行われるべきです。そうでなければ、治療を行うべき場合に効果的に行うことができません。」
”the Journal of Abnormal Child Psychology”に掲載された別の研究では、
自閉症でない兄や姉がいる自閉症の子は、そうでない自閉症の子に比べて、社会的スキルが高いことがわかりました。
自閉症でない兄や姉が、自閉症の子にとって良いお手本になっていることが示唆されています。
（出典：米SPECTRUM）（画像：Pixabay）
発達障害のうちの子のきょうだいも、いろいろ悩ましいことを抱えたりしていないか、やはり心配です。
ですが、学校で友だちに何か言われたりすることもなく、本人はそんなことを考えたこともないようです。
本当にありがたく思います。
私の子どもの頃だったら、嫌なことを言う子どもが絶対いました。
昔に比べると、多くの子どもが人間的に良く成長し、優しくなっているのだろうと感じ、本当に感謝しています。
知的障害の兄は恐ろしいほど最高で恐ろしいほど恐ろしかった
（チャーリー）
