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母親が社会性に問題をかかえる場合、自閉症の子はさらに顕著

time 2020/11/06

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

母親が社会性に問題をかかえる場合、自閉症の子はさらに顕著

新しい研究によれば、父親よりも母親の微妙な自閉症のような行動と、自閉症の子どもの特徴は関係しています。

とくに、母親が社会的状況でのコミュニケーションに問題をかかえている場合、自閉症の子はとくに顕著に社会的コミュニケーションの困難を抱えている傾向があることがこの研究で明らかになりました。

さらに、これらの母親は自閉症に関係する、一般的な遺伝的変異を多く持っていました。
それは、自閉症に関わる遺伝的な状況の半分くらいにあたると考えられる程度です。

また研究結果では、発達障害である自閉症に関連する遺伝的要因はまた「広い自閉症表現型」として知られている軽度の状態の形質の基礎になっていることを示唆しています。

女性に存在するこれらの自閉症に関わる特徴から、女性が自閉症の遺伝的素因をもっていることが考えられます。

「広範な自閉症表現型の特徴、特に言語関連の特徴は、遺伝的責任がどのように発現しているかを理解し、分子遺伝学的変異と本当に関連しているかを理解する上で本当に重要であると思われることがわかりました」

共同研究者である米ノースウェスタン大学神経発達障害研究室のモリー・ロッシュ所長は言います。

研究者の間では以前から、一部の親が自閉症の子どもに見られるのと同じ特徴の軽度なバージョンを示すことが指摘されてきました。
今回の新しい研究では、自閉症の遺伝的傾向と家族内での自閉症の特徴の発現との関係を調査しました。

それは、自閉症の形質と条件の遺伝学的ルーツの表現が母親と父親とで異なる可能性があるためだと、共同リード研究者の米バンダービルト大学遺伝医学のリーア・デイビス助教授は言います。

この研究結果から、「女性の保護効果」と呼ばれる理論を支持する、男性よりも女性に自閉症につながるより多くの遺伝的要因が関係することがわかりました。

自閉症の軽度の特徴を持つ女性は、自分が自閉症でなくても、自閉症に関連する遺伝子を自分の子どもに引き継ぐ可能性があるということです。

研究チームは、自閉症を持つ2621人の子どもたちとその両親からの遺伝情報と形質情報のデータを分析しました。
このデータは両親が自閉症でなく、一人の子どものみが自閉症である家族についてのもので、自閉症の親たちによって作られているサイモン財団から提供されています。

そして、自閉症診断観察スケジュール (ADOS) と親が記入する 3 つのアンケートによって測定された子どもの自閉症の特性に関するさまざまなデータも分析しました。

また、3つの自閉症関連の特徴(硬直・頑固な性格、社会的疎外感、言語の問題)を評価する36項目の調査、ブロード自閉症表現型質問票(BAPQ)で、人格や言語にかかわる親の反応についても調べました。

父親はBAPQ全体で母親よりも高いスコアを示し、また3つの特徴すべてにおいても高いスコアを示しました。

性格の硬直性における父親のスコアは、親のレポートアンケートで測定された子どもの反復行動と関係がみられました。

母親の全体的なスコアと各領域におけるスコアは、子どもの言語および社会的コミュニケーションの困難さと関係がみられました。

研究チームはその後、各家族の遺伝子データから、彼らのDNAに存在する自閉症に関連するすべての遺伝子変異の合計数、ポリジェニックスコアを測定しました。

ポリジェニックスコアの高い母親は、自閉症に関連した特徴、特に言葉遣いの困難さを持つ傾向があることがわかりました。
対照的に、父親のポリジェニックスコアはBAPQスコアとは関係がありませんでした。

この研究は”Biological Psychiatry”で発表されています。

この研究に関与していない、米バックネル大学の心理学と神経科学のデビッド・エバンス教授はこう言います。

「この研究は、母親の特性の役割と、女性の特徴がどのように彼女の子供の自閉症と相関するかを実証する初めてのものです」

これまでの研究では、父親の広範な自閉症の表現型と子どもとの関連性に焦点が当てられてきたといいます。

今回の研究チームは、女性の広範な自閉症表現型について、より多くの研究を行うことを計画しています。
これは、女の子自閉症がどのようなものであるかをよりよく特定するのに役立つかもしれないといいます。
デイビス助教授ははこう言います。

「現在、男の子についての自閉症の診断はできていますが、大人の女性には同じような診断は難しいでしょう。
今回の研究は、その疑問に対する興味深い方法となります」

(出典:米SPECTRUM)(画像:Unsplash

女性は男性に比べて自閉症になりにくい。「女性の保護効果」という考えがあります。

女性が自閉症に関係する遺伝子変異をもっていたとしても、男性のようには現れにくいということにつながっていきます。

そして、そのために自閉症と診断される女性が実際よりも少なくなっていることも指摘されています。

困難をかかえる人を助けることにつながる研究には期待しています。

自閉症の女の子が少ない理由「女性の保護因子」に対する研究

(チャーリー)


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